見出し画像

成功と挫折は表裏一体「挫折力」

こんにちは、ナカムラです。2022年最初の投稿は「挫折力―一流になれる50の思考・行動術」という書籍を紹介したいと思います。

こちらは経営共創基盤CEO冨山和彦さんの著書です。

タイトルにある通り、「挫折力」をテーマに思考・行動のポイントを①~㊿紹介する形式になっており、ひと言化されているポイントをざっと眺めて、目に留まった部分を詳しく読む、という読み方でも十分学びがあると思います。

今回は、挫折力とはどういうものかについて説明した上で、私が個人的に響いたポイントをいくつか紹介したいと思います。

1)挫折力とは

まず、本書における「挫折」の定義を確認すると、

挫折とは、自分の能力以上のことに挑戦した証拠である

とされています。

自分のできる範囲内のことをやった結果としての失敗は「挫折」とは呼ばず、あくまでも自分の能力圏外での挑戦における失敗経験を「挫折」と呼んでいます。

特にリーダーにとっては、大きな決断を伴う挑戦(≒賭け)、二兎を追わず何かを捨てる覚悟を伴う経験を指しています。

(※この「リーダーにとっての挫折」に関連して、これまでの日本に多かった「優等生型リーダー」について述べられた一節があるのですが、これが中々グサグサと来るものだったので自戒を込めて引用しておきたいと思います。

これまでの優等生型リーダーは総じて、「お勉強」頭がよく、一方で失敗を恐れる。そのため、あらかじめ成功しそうなことにしか挑戦しない。だから成功体験はあっても、挫折を知らない。成功しそうなことにしか挑戦しないから、ギリギリに追い詰められたときの緊張も知らない。追い詰められて泣きそうになっている自分を知らない。正解がいくつもあることを知らない。

―日本の組織の空気というやつは、おおむね軋轢や紛争を嫌う。だから抵抗勢力と一線交えようとしても、ついつい空気を乱さないよう、相手の意図を汲み取って丸くおさめようとしてしまう。反対を恐れてやるべきことに手がつけられない。

…耳が痛い。)

さて、普通に考えたらそんな大失敗は避けたいものですが、挫折をすることのメリットは何なのでしょうか?本書では、

●打たれ強くなる
●過去をリセットできる(過去に囚われなくなる)
●敗因を分析することで、次の戦いに活かすことができる
●「自分」という人間がよく分かる

とまとめられています。個人的には、2点目と4点目に発見がありました。

賭けに出て大きな失敗をすると、過去の小さな失敗や余計なプライドがどうでもよくなる、ということなのだろうと思いますが、これは存外大きなメリットになると思います。

というのも、それなりに仕事を続けていると「その環境における自分という像」が固まってきて、その枠から出て行きづらくなるように思うからです。しかもその像をきれいに保っていたいから、傷がつくようなことは無意識的に避けてしまう。

だからこそ、一度大きな失敗をして、その像がただの虚像だったと知ることで気が楽になり、さらに枠の外で挑戦しやすくなるのだろうなと想像できます。

総じて、挫折力とは「(挫折によって培われる)挫折を愛し、乗り越え、活かしていく力」と言えます。

2)挫折を乗り越える思考・行動

ここからは、本書に登場する「挫折を乗り越える思考・行動のポイント」の中から、個人的に響いたものをいくつか紹介します。

●POINT⑦:人間は失敗からしか学べない生きもの。だから優等生人生は、不機嫌な人生、役に立たないリーダーへの道を約束している。
優等生人生は「抑制の人生」。相手の顔色を伺って対立を避ける。しかし、本気で自分の意志を貫くには、対立を避けられない時もある。

どういう状況なら事を荒立てても大丈夫か、あるいは場が荒れたときにどうすればそれを自分に有利に作用させられるか。こうした勝負勘、自分自身の得意不得意は、軋轢の修羅場、特に自分より強い立場の人たちや集団全体を敵にまわすような体験をして初めて身につくものだ。そしてちょっとやそっとの軋轢や衝突では、人間関係も自分の人生も壊れないことがわかる。

●POINT⑧:自分の好き嫌いを磨き、深めることで、迷いや後悔から解放される。
これは以前「人を突き動かすものは何か?ビジネスパーソンのためのクリエイティブ入門」というnoteで紹介した「偏愛コラージュ」と同じ考え。自分の中の好き嫌いの軸を言語化することで、自分の判断に自信が持てる。迷わない。

●POINT⑭:「常に進歩しなければならない」という思い込みは捨てよう。人生には休むべきとき、三十六計逃げるに如かずのときがある。
実際の人生において、自分では制御しきれない外部要因というものが必ず存在する。色々なことが逆風になる時期もあり、大きな「気の流れ」のようなものが反対方向の時に人のできることは限られる。「風車 風が吹くまで 昼寝かな」精神も大事。

●POINT⑯:全身全霊をかけて戦う自分とともに、自分の負け戦を他人事のように予想し、備えておくもう一人の自分を作り上げておく
解決が難しい局面で撤退・先送りするためのコツ。①撤退基準を設ける。②退路と撤退のロジスティクスを密かに準備しておく。③あえて決めない方がいい時もある。

問題が解決困難な袋小路に入ってしまった場合、それを抜本的に処理するのにかかるコストやリスクと、問題を放置して発生する追加損失とを比べたときに、前者のほうが明らかに大きい場合、むしろ意図的に「放置プレー」にしてしまった方がいい。判断に必要な情報が時間経過とともに手に入る場合、その情報の価値が、それを待つために必要なコストよりもはるかに大きい場合も同様だ。

●POINT㉖:シーソーは51対49になるまでびくともしない。
大きな改革や組織全体を巻き込むコトを進める際には、反発や抵抗が生まれるもの。ただ、一発で全員を味方にしたり、抵抗勢力を下すことは難しい。とにかく耐えて、ジリジリと味方を増やしていくことが重要。

日本人の場合、長期間にわたり、念仏のように何度も何度も囁かれ、訴えられているうちに、「情」と「理」が絡まりあいながら腹に落ちていくというプロセスを踏む場合が多い。

●POINT㉘:簡単に意気投合してくる人を信じるな!
信頼できる味方はどうやって見つけるか?まず、出会ってすぐ「意気投合した、やりましょう」と言う人間には要注意。結局信頼できる関係とは、修羅場をくぐりながらも壊れなかった関係。信頼できる味方は挫折経験の中で見つけるべし。その時の視点は、①人間的にどこまで信用できるか/②置かれた立場がどこまで信用できるかの2点。

●POINT㉛:「捨てる」覚悟こそ、これからのリーダーに必須のもの
これは「進撃の巨人」第27話でアルミンが放った「何かを変えることのできる人間がいるとすれば、その人は、きっと…大事なものを捨てることができる人だ」と同じく、人の世の真理(完全に主観です)。

●POINT㊸:チーム全体の利益と、人間関係上の利益と、個々人の利益との間に、共通集合領域をつくること。
チームを機能させるには、戦略設計、組織設計、インセンティブ設計、要員計画の各視点において、チーム全体の利益・目標と、チーム構成員間の人間関係上の都合と、個々人の利益との間に、共通する”何か”を作り、最大化することが必要。

3)最後に

本書の主旨を象徴する言葉として「禍福は糾える縄の如し」があります。

”禍(わざわい)が福になり、福が禍のもとになったりして、この世の幸不幸は縄をより合わせたように表裏をなすものである”という意味です。

挫折しそうな時、この言葉を思い出して「人生そういうもんだ」と大きく構えておくくらいがちょうどよいのかも知れません。

以上、成功と挫折は表裏一体「挫折力」でした。最後までお読みいただきありがとうございましたm(_ _)m

ナカムラ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?