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人を突き動かすものは何か?ビジネスパーソンのためのクリエイティブ入門

こんにちは、ナカムラです。今回は「ビジネスパーソンのためのクリエイティブ入門」という書籍を紹介したいと思います。

「NTT ドコモ: 森の木琴」や「日本は、義理チョコをやめよう。GODIVA」を手掛けた日本を代表するクリエイティブディレクター原野守弘さんの新書です。

広告人としては、原野さんの代表作品が生まれた過程を写実的に知れる、ある意味ドキュメンタリー的な要素が面白くてあっという間に読み終えてしまいましたが…本書の肝はそこではなく「人を突き動かすものは何か?」という点にあります。

このnoteでは、本書の中核となるメッセージを紹介するとともに、私なりの「こんな風にクリエイティブ入門してみようかな」という実践方法を紹介したいと思います。

1)本書のメインメッセージ

「好き」という感情こそが人を突き動かすのである。

本書のメッセージは、このひと言に尽きます。

「頭では分かってるけど、なんだか気乗りしない。」
「論理的には正しそうだけど、納得感がない。」

あるいは、

「言葉で説明できないけど、すごい映画だった。」
「あの子のことを考えると、ソワソワする。」

この、事実や数字や論理ではなく、純粋な感情に動かされる感覚は、多くの人が共感できるのではないでしょうか。中でもポジティブな感情の総体たる「好き」という感情こそが、より多くの人を動かす原動力である、というのが原野さんのメッセージです。

少し広告の話に寄ってしまいますが、印象的な言葉として、

偉大なブランドは、自分のことではなく、自分の愛するものについて語る。

という言葉が何度か登場します。「好きが人を動かす」という原理に則ると、広告で伝えるべきことは商品の特徴ではなく「ブランドが愛するもの」、すなわちブランドの目的や信念である、ということです。原野さんの作品を見ると、その意味するところが直感的に伝わってきます。

もう一つ、印象に残った言葉を紹介させて下さい。

あらゆるアートは、ファンアートである。

これは、アート(クリエイティブ)って全くのオリジナルは存在しなくて、過去の作品を元にした二次創作(ファンアート)だよね、という意味です。それが悪いこと、という話ではなく、好きなものへ敬意を払いながら、自分なりにアレンジして新しいものを創造していくことこそクリエイティブだよね、ということです。

なので、全くのゼロから新しいものを生み出そうとしなくても、自分の中に色々な「好き」をストックしていって、ズラしたり、拡張したりして新しいものを生み出すことができるし、実際に原野さんの過去作品もそういったプロセスで制作されている、と語られています。

※原野さんは「感情が人を動かす」ことの裏付けとして、サイモン・シネックの「ゴールデンサークル」を引用しています。↓の動画を見てみると分かりやすいです(約18分)。

●ゴールデンサークルとは
Why…「なぜやるのか」=目的、主義、信念。
How…「どうやってやるのか」=差別化要素、独自のプロセス。
What…「なにをするのか」=商品やサービス、個人の活動。
この3つをWhy→How→Whatの順で伝えることで人は動くという理論。なぜなら、感情と意思決定を司る脳の領域がWhyに対応しているから。

2)3つの実践方法

本書を読んでやってみようと思ってることを3つほど紹介します。

①「好き×いいもの」を仕入れる
本書でも紹介されていますが「クリエイティビティを発揮するには引き出しを増やすことが重要」なので、自分が好きだなと思えるもの、かつ世の中的に評価されているもの(=共感されているもの)をインプットしていこうと思います。対象は海外広告、漫画、絵画、詩、哲学、Techあたりを考えています。

②好きなものを言語化する
好きなものをストックしつつ、何を好きだと感じるのかを明らかにしていきたいと思います。その方法として、前回の直感と論理をつなぐ思考法をマスターするnoteで軽く紹介した「偏愛コラージュ」をやってみます。自分の心が動いたものを写真におさめて、好きだと感じた理由を簡単にメモし、Pinterestに保存していきます。

③デコンストラクション+α
プランニングスキルを鍛えるために、私の部署ではデコンストラクション(脱構築)というトレーニングを行なっています。世の中のイケてる広告やコンテンツを分解して「アイデアに至ったプロセス」を探るというトレーニングです。そこで取り上げたアイデアをただ分解してストックするだけでなく、コンセプトを置き換えたり、ズラしたり、拡張したりして新しいアイデアに変えてみる、というのも面白いかも?と思いました。

あくまで個人的な活動ですが、参考にしてみて下さい。

3)最後に

マーティン・スコセッシ監督の言葉に「最も個人的なことが最もクリエイティブなことだ」という言葉があります。

本書でもこの言葉が引用されており、個人的な「好き」という感情は、実は他の人も同じように感じていて、だからこそ共感が生まれ大きなムーブメントになることすらある、と説明されています。

一方で、以前紹介した「欲望とインサイト」という書籍では同じ言葉を引用して、自分が経験した非常に個人的な経験から得られる情報こそが、他人からみると最もオリジナリティがある、だから人は惹きつけられる、と解説されていました。

この違いがとても面白く、どちらも正しいのではないかと私は思います。

単純に「共感される」だけであれば、話題になるほどは広まらないと思っていて、多くの人が惹きつけられるものには共感以上の何かがある、と考えています。それが個人的な経験から生み出されるオリジナリティなのではないか、と思うのです。恐らく原野さんの仰る「共感」には、このオリジナリティが含まれているのだと思います。

個人的な好きを起点にした共感とオリジナリティ、これが人を動かす力を生むのではないでしょうか。

以上、人を突き動かすものは何か?ビジネスパーソンのためのクリエイティブ入門でした。あくまで私個人の捉え方なので、ぜひご意見下さいませ~!

最後までお読みいただきありがとうございましたm(_ _)m

ナカムラ

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