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第95回アカデミー賞最終予想

みなさんこんばんは。
まもなくアカデミー賞授賞式ということで、ギリギリになりましたが最終予想を書いていきます。
◎→本命 ○→対抗 ☆→大穴

短編実写映画賞

『An Irish Goodbye』

◎『An Irish Goodbye』
『Ivalu』
○『無垢の瞳』
☆『真冬のトラム運転手』
☆『The Red Suitcase』

 BAFTAを受賞した『An Irish Goodbye』が本命、キュアロンがプロデューサーについた『無垢の瞳』が対抗。
 社会問題を扱った『真冬のトラム運転手』『The Red Suitcase』も可能性はあるでしょう。『Ivalu』だけはないと思います。
 全て鑑賞しましたが、推しは『真冬のトラム運転手』です。

短編アニメーション映画賞

『ぼく モグラ キツネ 馬』

◎『ぼく モグラ キツネ 馬』
『The Flying Sailor』
○『氷を売る親子』
『My Year of Dicks』
☆『An Ostrich Told Me the World Is Fake and I Think I Believe It』

 昨年サプライズが起きた部門。正直読めない。
 『ぼく モグラ キツネ 馬』は誰にでも受ける感動作という意味で本命、芸術性の高さでは抜きん出ている『氷を売る親子』が対抗、実験的な作品である『An Ostrich Told Me the World Is Fake and I Think I Believe It』を大穴と予想します。
 ただし『The Flying Sailor』は老会員に受けるだろうし、実験的な作品ということでは『My Year of Dicks』もかなり。全てに可能性があるでしょう。
 全て鑑賞しましたが推しは『氷を売る親子』です。

短編ドキュメンタリー映画賞

『マーサ・ミッチェル 誰も信じなかった告発』

☆『エレファント・ウィスパラー:聖なる象との絆』
『Haulout』
『How Do You Measure a Year?』
◎『マーサ・ミッチェル 誰も信じなかった告発』
○『Stranger at the Gate』

 分かりやすいテーマの方が受ける傾向があるので、女性の名誉回復を扱った『マーサ・ミッチェル 誰も信じなかった告発』、イスラム教への偏見を扱った『Stranger at the Gate』は可能性が高いと思います。
 『マーサ・ミッチェル』と同じくNetflix作品である『エレファント・ウィスパラー:聖なる象との絆』もこの中では観やすいかもしれません。
 全て鑑賞しましたが推しは『Stranger at the Gate』です。

国際長編映画賞

『西部戦線異状なし』(ドイツ)

◎『西部戦線異状なし』(ドイツ)
○『アルゼンチン1985 歴史を変えた裁判』(アルゼンチン)
☆『CLOSE クロース』(ベルギー)
『EO イーオー』(ポーランド)
『The Quiet Girl』(アイルランド)

 ここはノミネートの時点で『別れる決心』(韓国)が漏れたのが意外でしたね。
 前哨戦の時点では『RRR』(インド)の存在もあり混戦模様でしたがここにきて急激に勢いが出てきたのが『西部戦線異状なし』(ドイツ)です。BAFTAでの大量受賞、そしてアカデミー作品賞への候補入り。ここまで来ればある程度受賞確実でしょう。
 対抗はGGを受賞した『アルゼンチン1985 歴史を変えた裁判』(アルゼンチン)でしょう。
 批評家賞では強かった『EO イーオー』(ポーランド)ですが重要賞では全く候補に入らなかったため『CLOSE クロース』(ベルギー)の方が強いでしょう。
 『The Quiet Girl』(アイルランド)はノミネートこそが勝利、受賞はない。

長編アニメーション映画賞

『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』

◎『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』
『私ときどきレッサーパンダ』
『長ぐつをはいたネコと9つの命』
『ジェイコブと海の怪物』
『Marcel the Shell with Shoes On』

 ここは前哨戦ほぼ全てを席巻した『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』に間違いありません。批評家賞で健闘した『Marcel the Shell with Shoes On』に僅かに可能性があるくらいでしょうか。

長編ドキュメンタリー映画賞

『ナワリヌイ』

『オール・ザット・ブリーズ』
☆『All the Beauty and the Bloodshed』
○『ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦』
『A House Made of Splinters』
◎『ナワリヌイ』

 ショートリストで『おやすみ オポチュニティ』、ノミネートで『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・ドリーム』と有力作品が落選したこの部門、PGAとBAFTAを制したのは『ナワリヌイ』でした。このご時世ですしメッセージとして入れたい人は多いでしょう。
 対抗は圧巻の火山映像が見ものの『ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦』、大穴は金獅子賞作品の『All the Beauty and the Bloodshed』と予想します。批評家賞での受賞は後者の方が多いですがPGAから漏れたため前者が対抗ではないかと。

歌曲賞

「Naatu Naatu」『RRR』

「Applause」『私たちの声』
「Hold My Hand」『トップガン マーヴェリック』
「Lift Me Up」『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』
◎「Naatu Naatu」『RRR』
○「This Is A Life」『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

 GGとCCをとった「Naatu Naatu」『RRR』が最有力。組合賞では「This Is A Life」『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が受賞しましたがそもそも「Naatu Naatu」は候補になっていなかったので。『RRR』推しの会員は他で投票できないのでここにぶっ込むんじゃないですかね。

録音賞

『トップガン マーヴェリック』

◎『トップガン マーヴェリック』
○『エルヴィス』
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』
『西部戦線異状なし』
『THE BATMAN -バットマン-』

 ここは『トップガン マーヴェリック』の独走。ここは間違いないです。ひっくり返せるとすれば音響効果組合賞を受賞した『エルヴィス』でしょうか。

作曲賞

『バビロン』

◎『バビロン』
『イニシェリン島の精霊』
○『フェイブルマンズ』
☆『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
『西部戦線異状なし』

 批評家賞を席巻しGGを受賞した『バビロン』が最有力です。対抗はそれに次ぐ成績でジョン・ウィリアムズというネームバリューのある『フェイブルマンズ』でしょう。
 作品の勢い次第では『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』もひっくり返せる可能性はあるかも。まあでも『バビロン』でしょう。

視覚効果賞

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』

『西部戦線異状なし』
◎『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』
☆『THE BATMAN -ザ・バットマン-』
『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』
○『トップガン マーヴェリック』

 ここも抜群の強さをみせ、組合賞、CC、BAFTAと重要賞を全て制した『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』で間違いありません。
 対抗は批評家賞でもある程度の強さがあり重要3賞全てで候補入りした『トップガン マーヴェリック』でしょうか。批評家賞ではほぼ無視されたものの重要3賞で候補入りした『THE BATMAN -バットマン-』が大穴としてあげられます。

美術賞

『バビロン』

『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』
◎『バビロン』
『エルヴィス』
『フェイブルマンズ』
『西部戦線異状なし』

 二番手だった『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が落選したことで『バビロン』の勝利はほぼ間違いないものとなりました。組合賞、CCも受賞しています。

衣装デザイン賞

『エルヴィス』

『バビロン』
☆『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』
◎『エルヴィス』
○『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
『ミセス・ハリス、パリへ行く』

 かなりの混戦状態です。『エルヴィス』は組合賞とBAFTAを受賞していますが、批評家賞の成績は『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』と同等。CCは後者が受賞しました。同じく組合賞を受賞した『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』も作品自体の勢いもありないとは言い切れず。『エルヴィス』と並んで組合賞、CC、BAFTAの重要賞全てにノミネートされた『バビロン』も無視できません。
 しかし『バビロン』がここも受賞してしまうと、作品賞候補作でもないのに3部門とってしまうんですよね。
 ここは重要賞を結果を重視して『エルヴィス』を本命、推しである『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を対抗とします。

メイクアップ&ヘアスタイリング賞

『エルヴィス』

『THE BATMAN -ザ・バットマン-』
○『ザ・ホエール』
『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』
◎『エルヴィス』
☆『西部戦線異状なし』

 重要賞全てを制した『エルヴィス』が順当でしょう。しかしインパクトという点では『ザ・ホエール』の方が。批評家賞では『エルヴィス』より受賞しています。
 三番手は『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』ですがそんなにこの部門が秀でていた記憶がないので、あえて『西部戦線異状なし』を大穴にしました。『西部戦線異状なし』は今のところ国際長編映画賞以外確実というのがないのでここあたりでくるかも。作品賞ノミネートされるほどなので他にも何かとってもおかしくないですよね。

編集賞

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

☆『エルヴィス』
◎『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
『TAR ター』
○『トップガン マーヴェリック』
『イニシェリン島の精霊』

 作品賞に直結すると言われているこの部門、批評家賞、重要賞ともに『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の圧勝でした。作品自体の勢いも考えると敵なしでしょう。作品賞をとれなかったとしてもここは間違いない。
 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』とともに組合賞を制し重要賞全てで候補入りした『トップガン マーヴェリック』が対抗でしょうか。次いで成績がいいのは『TAR ター』ですが、BAFTAに漏れてしまったため、重要賞全てで候補入りした『エルヴィス』を大穴としました。

撮影賞

『エンパイア・オブ・ライト』

○『エルヴィス』
◎『エンパイア・オブ・ライト』
『TAR ター』
『バルド、偽りの記録と一握りの真実』
☆『西部戦線異状なし』

 批評家賞で独走状態だった『トップガン マーヴェリック』の落選が大きな衝撃だったこの部門、大本命が不在で混戦状態です。
 『エンパイア・オブ・ライト』は組合賞、CC、BAFTAの重要賞全てで候補入り。またロジャー・ディーキンスというネームバリューも大きい。その意味で本命としましたが受賞はしていないんですよね。
 組合賞は『エルヴィス』が制しました。マンディ・ウォーカーは受賞したら初の女性撮影監督となるため、女性を支持したい人は入れるかもしれません。
 BAFTAを受賞した『西部戦線異状なし』が不気味です。確かに素晴らしい撮影だったのでないとは言い切れず。

脚本賞

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

○『イニシェリン島の精霊』
◎『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
『TAR ター』
『フェイブルマンズ』
☆『逆転のトライアングル』

 批評家賞、重要賞ともに『イニシェリン島の精霊』と『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の一騎打ちでした。GGは前者、CCは後者と完全に互角です。組合賞はそもそも『イニシェリン島の精霊』が対象外のため当てにならず。
 それでも作品賞をとるならこの部門は押さえる必要があるし、好みから言っても『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』なので本命としました。
 前哨戦ではあまり目立たなかったのに入ってきた『逆転のトライアングル』を大穴としました。『パラサイト』的な脚本なので受けはいいでしょうがやはり受賞するとは思えません。

脚色賞

『ウーマン・トーキング 私たちの選択』

◎『ウーマン・トーキング 私たちの選択』
『ナイブズ・アウト グラスオニオン』
☆『生きる LIVING』
『トップガン マーヴェリック』
○『西部戦線異状なし』

 結果的に2部門のみのノミネートとなってしまった『ウーマン・トーキング 私たちの選択』は前哨戦結果から言うと順当です。組合賞、CCを受賞しています。
 しかし2部門ノミネートでここを受賞してしまうか?というのがどうも疑問。もう少したくさん入ってくれれば間違いなかったんですが。
 前哨戦二番手は『ナイブズ・アウト グラスオニオン』ですが受賞するとは思えず。三番手だった『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』は落選してしまいより読めなくなりました。
 その中ではBAFTAを受賞した『西部戦線異状なし』は誰もが知る名作のリメイクであり可能性があります。
 同じく名作のリメイクである『生きる LIVING』もあり得るかなと。でも『西部戦線異状なし』ほど欧米で知られているかというと分かりません。

助演男優賞

キー・ホイ・クァン『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

◎キー・ホイ・クァン『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
○バリー・コーガン『イニシェリン島の精霊』
ブレンダン・グリーソン『イニシェリン島の精霊』
ジャド・ハーシュ『フェイブルマンズ』
☆ブライアン・タイラー・ヘンリー『その道の向こうに』

 演技賞で唯一確実と言える部門がここ。BAFTAこそ逃しましたがほぼ全てで受賞、感動的なスピーチで好感度マックスです。
 他はほぼ目がないですがBAFTAを受賞したバリー・コーガン『イニシェリン島の精霊』、演技賞唯一の黒人候補となったブライアン・タイラー・ヘンリー『その道の向こうに』が僅かに可能性があるでしょうか。
 ブレンダン・グリーソン『イニシェリン島の精霊』とジャド・ハーシュ『フェイブルマンズ』はベテラン同士で相打ちになる。ブレンダン・グリーソンは素晴らしかったのであげてもいいと思うんですが難しいですね。

助演女優賞

ジェイミー・リー・カーティス『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

◎ジェイミー・リー・カーティス『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
ステファニー・スー『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
ホン・チャウ『ザ・ホエール』
☆ケリー・コンドン『イニシェリン島の精霊』
○アンジェラ・バセット『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』

 一番の混戦状態にあるのがこの部門。序盤はGGやCCをアンジェラ・バセット『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』が受賞。しかしBAFTAではケリー・コンドン『イニシェリン島の精霊』が受賞、組合賞ではジェイミー・リー・カーティス『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が受賞しました。
 ステファニー・スー『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』とホン・チャウ『ザ・ホエール』は混戦の中勝ち抜いたことが勝利。受賞はない。キャリー・マリガン『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』やクレア・フォイ、ジェシー・バックリーら『ウーマン・トーキング 私たちの選択』組が入ってもおかしくなかったところです。
 組合賞を受賞したこと、ベテランとして尊敬を集めていることを鑑みてジェイミー・リー・カーティスを本命にしました。アンジェラ・バセットはベテランという意味では同じですがアメコミ映画での演技に投票するのをためらう人は多そう。
 そこで割れたところで安定感のある正統派ケリー・コンドンが…というのも考えられなくもない。

主演男優賞

コリン・ファレル『イニシェリン島の精霊』

◎コリン・ファレル『イニシェリン島の精霊』
○ブレンダン・フレイザー『ザ・ホエール』
○オースティン・バトラー『エルヴィス』
ビル・ナイ『生きる LIVING』
ポール・メスカル『アフター・サン』

 コリン・ファレル『イニシェリン島の精霊』、ブレンダン・フレイザー『ザ・ホエール』、オースティン・バトラー『エルヴィス』の三つ巴の戦いが繰り広げられています。
 コリン・ファレルを本命としたのはキャリア的に文句なしであり、『イニシェリン島の精霊』がここでとれないと無冠になる可能性があるからです。
 組合賞、CCをとったブレンダン・フレイザーはキャリア復活劇はドラマチックですが作品の力が弱いのが気にかかります。GGとBAFTAをとったオースティン・バトラーはまだ若手であることが気がかりです。
 ビル・ナイ『生きる LIVING』とポール・メスカル『アフター・サン』は候補入りこそが勝利。受賞はない。

主演女優賞

ケイト・ブランシェット『TAR ター』

◎ケイト・ブランシェット『TAR ター』
○ミシェル・ヨー『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
アンドレア・ライズボロー『To Leslie/トゥ・レスリー』
ミシェル・ウィリアムズ『フェイブルマンズ』
アナ・デ・アルマス『ブロンド』

 悪い意味で注目を浴びてしまったのがこの部門。アンドレア・ライズボローのやり方は僕は汚いと思います。アカデミー協会がノミネート剥奪しなかったのに未だに怒りを覚えています。そのせいでヴィオラ・デイヴィス『The Woman King』とダニエル・デッドワイラー『Till』が入らなかったのは一生忘れません。
 それはさておきライズボローは受賞はまずない。ケイト・ブランシェット『TAR ター』とミシェル・ヨー『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』の一騎打ちです。
 BAFTAとCCを制したのはケイト・ブランシェットですが組合賞を受賞、GGもブランシェットとともに受賞したのがミシェル・ヨー。完全に互角です。
 組合賞を受賞したヨーの方が強いとするのが普通ですが、それでもケイト・ブランシェットを本命としました。なぜならミシェル・ヨーがここもとると演技賞4つのうち3つを『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が占めてしまうから。最近は一つが突出して受賞数が多いということはあまりないため、ここでしか受賞できなさそうな『TAR ター』にあげるという心理が働くとみました。
 ミシェル・ウィリアムズ『フェイブルマンズ』はキャリア的にあげたいですが今回はムリですね。アナ・デ・アルマス『ブロンド』はあの作品評価でよく入った。二人ともまだこれから先チャンスがあるでしょう。

監督賞

ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

◎ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
○スティーヴン・スピルバーグ『フェイブルマンズ』
トッド・フィールド『TAR ター』
マーティン・マクドナー『イニシェリン島の精霊』
リューベン・オストルンド『逆転のトライアングル』

 GGはスティーヴン・スピルバーグ『フェイブルマンズ』、BAFTAはエドワード・ベルガー『西部戦線異状なし』と逃しましたが批評家賞を席巻しCCと組合賞を受賞したのはダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でした。
 監督組合賞はオスカーとの一致率が高く、この10年で不一致だったのは2019年サム・メンデス『1917 命をかけた伝令』(オスカーではポン・ジュノ『パラサイト 半地下の家族』)と2012年ベン・アフレック『アルゴ』(オスカーではアン・リー『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』)だけです。
 対抗のスティーヴン・スピルバーグ『フェイブルマンズ』でもダニエルズの勢いには勝てないでしょう。

作品賞

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

◎『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
○『イニシェリン島の精霊』
☆『西部戦線異状なし』
『TAR ター』
『ウーマン・トーキング 私たちの選択』
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』
『逆転のトライアングル』
『トップガン マーヴェリック』
『エルヴィス』
『フェイブルマンズ』

 まずないのは監督賞から漏れた『ウーマン・トーキング 私たちの選択』『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』『エルヴィス』『トップガン マーヴェリック』でしょう。『トップガン マーヴェリック』は思ったより勢いがあると聞きますが監督賞ノミネートされない時点で考えづらい気がします。
 監督賞ノミネート作でも『TAR ター』と『逆転のトライアングル』もないですね。前者は主演女優賞狙いだろうし、後者はよく入ったなと。
 GGを受賞した時点では『フェイブルマンズ』も有力でしたが今となっては勢いがほとんどない。無冠に終わってもおかしくないでしょう。
 BAFTAを受賞した『西部戦線異状なし』、GGを受賞した『イニシェリン島の精霊』、CCや組合賞、俳優組合キャスト賞を受賞した『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が有力作と言えます。
 『西部戦線異状なし』はヨーロッパからの支持は相当ですが監督賞に入らなかったことが痛いです。外国語というのは今や大きな障害ではないですが『パラサイト』ほどの熱狂は感じられないですね。ただ他の二つが変わったストーリーテリングなのに対して正当派な演出が好きな人は一定数いるかも。
 『イニシェリン島の精霊』は『スリー・ビルボード』の流れを受け継いでかなり有力。強力な二番手と言えます。ただ下ネタやグロ描写がかなり強烈、そこに躊躇する会員はいるかも。
 その意味では下ネタが多くアクションファンタジーというオスカー受けするとは思えない題材の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』がここまで受けるというのは意外。しかし裏を返せばその要素がありながらも支持せざるを得ない作品と認めているからこそのこの評価とも言えますよね。PGAとSAGキャスト賞を受賞したのはかなり大きく、現時点ではひっくり返すのは難しいでしょう。またこの部門の投票方式から言っても、根幹にある家族の話は多くの人の胸を打つはず。1位ではなくても上位に入れるはずなのでその意味でも強いと思います。

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