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朝日とともにタートルアンへ(1)

日が昇る前の朝5時半。まだ風が少し肌寒いとも感じられるような中、ビエンチャンの中でも中心的な寺院であるタートルアンの前には数万人とも思われる人々が集い、ゴザを敷いて座っている。女性は皆ラオスの正装であるシン(ラオスのスカート)を身に着け、男性も含めてパービアンと呼ばれる布を肩から掛けている。いわゆる仏教行事での正装だ。

そう、2022年11月には新型コロナ以降3年ぶりに代表的年中行事の一つ、タートルアン祭りが再開された。11月8日の早朝は特に重要な托鉢が行われる日であり、全国、そして周辺国からもお坊さんや信者たちが訪れる。

妻と私は、眠い目をこすりながら5時に起き、作り置きのカレーを食べ、暗い中タートルアンへ向かった。前日の夜まで爆音で音楽や宣伝を流していた参道に立ち並ぶ派手な屋台たちも、さすがにこの仏教行事の最中に音を流すことはなく、ひっそりとたたずんでいる。

それら屋台の前には、主に何も持ってきていない観光客向けに、托鉢の際にお供えするカオニャオ(もち米)やお菓子を販売している人たちも散見される。その先を進むと、タートルアンの前に存在する超巨大スペース(駐車場のようなコンクリートのエリア)が現れ、そこにもこれから托鉢の列が並ぶのであろう。すでに参拝者の人たちが持参しているゴザが敷かれ始めていた。

その駐車場を超えると、いったい何時から来ているのだろうと思われる大量の人々がゴザを並べている。中央にはお坊さんたち立ち並ぶ列が設けられているものの、その左右にはびっちりとゴザが敷き詰められており、新参者が座れるところはほとんど見られない。

そんな状況でも未練がましく少しスペースが空いているところがないか探していると、優しい現地の方々は我々のために場所を開けてくれた。いかにも観光客である外国人でも、迎え入れて気遣ってくれる方が多いのが、ラオスの数え切れない素晴らしいところの一つである。

座る場所を確保できてほっと一息。さて、そこからのお作法があまり分かっていない我々である。とりあえず、周囲の皆さんのお召し物や、お供え物などを観察しながら、何かが始まるのを待っているのであった。


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