eスポーツはスポーツか?|よしペン先生講義メモ①
ゲーム・eスポーツで平和な世界を!
Yoshipenです。
昨年春から短大で非常勤講師もしております。
科目は、デジタル情報系のカリキュラムの1つとして「ソーシャルeスポーツ」という授業を担当しております。
全国でも希有な科目かと思いますが、授業用の備忘録を記していきます。
初回の授業では、ガイダンスとして授業の目的・ねらいのほか、「eスポーツとは何か?」「eスポーツは、スポーツか?」という話をします。
eスポーツの定義を整理
まず「eスポーツ」の定義について整理します。
英語版のWikipediaの説明では、
これがアメリカを中心とした海外での「eスポーツ」の概念であろう。
一方で、日本における「eスポーツ」の定義は、スポーツ庁が示されているものを引用する。
英語版と日本で、「eスポーツ」の定義が、微妙に違う。
海外では、eスポーツが「競技」の一形態とし『ゲーム大会』としているのに対して、日本では「娯楽」の言葉が先に出しつつ『スポーツ競技』として捉えようとしている節を感じる。
ちなみに日本では、コンピューターゲームとビデオゲームが、別物として並列に説明されているが、「Video game」を英語版Wikipediaで調べると、コンピューターゲームも含まれている言葉と説明されている。
世界と日本で、eスポーツに対しての微妙なニュアンスの差があるが、これが意外と深い溝になっているのではないかと思う。
このニュアンスの差はゲーム開発におけるアメリカと日本の歴史、スタンスの違いによるもので、それが今日の日本の「eスポーツ」に影を落としていると思慮しているが、それはまた別の機会にまとめるとする。
eスポーツは、スポーツか?
2023年4月に、アサヒ飲料が全国の小・中・高校生の子どもと同居する親御さん500名に行ったアンケート調査で、下記のような結果が出ている。
アンケートを回答した親御さんの年代的は、30代~50代とのこと。今年8月に47歳となる僕と、同世代も多いであろう。
今の日本を支えている中心世代である。また、これよりの高齢世代は、さらに割合が100%に近づくであろう。
日本において「eスポーツとはスポーツか、否か」の議論は、まだしばらく続くことであろう。
スポーツの語源を探る
eスポーツの語源は、ラテン語の「deportare(デポルターレ)」だと言われいる。
日本のスポーツ庁の公式サイトをみると、について下記のように説明している。
スポーツの元々の意味は「気晴らし」で、中世のヨーロッパでは、狩猟や乗馬、釣りなどを指していたと言われている。
スポーツ庁の説明でも、「精神的な次元の」と表現されているように、元々の意味は、身体運動に限った単語ではなく、「遊技」「遊び」という要素も含まれていた。
体育=身体を鍛える=スポーツ
「sports」という言葉は、明治初期に日本に伝わったと言われているが、その前に「Physical Education」という単語が、日本に入ってきたという。
これを日本語に訳すと「身体教育」であり、これが『体育』の語源となる。
体育も元々は、身体教育という観点から「衛生」と「運動」の2つの要素が含まれており、さらに「運動」の中にも遊技も含まれていた、富国強兵を掲げる国家の下で「身体を鍛える」ことが主眼に置かれるようになる。
概念として「体育」=「運動」として混同されるようになり、その後に入ってきた「sport」という概念に「体育」が転用されるようになったという。
しかし、最近になって「体育」という言葉は、学校の授業というイメージが強いということで、「スポーツ」に置き換えるという動きが活発化している。
2018年に日本体育協会が、日本スポーツ協会に、また2020年に体育の日が、スポーツの日に、また2024年からは、国民体育大会(国体)が、国民スポーツ大会(国スポ)へと名称変更される。
興味深いことに国民体育大会が、国民スポーツ大会への名称変更とともに英語表記も変更になったことだ。
eスポーツも、スポーツも、ゲーム
「eスポーツ」は、和製英語ではなく、スポーツから派生した外来語であり、eスポーツがスポーツにカテゴライズされるかは、見解の分かれるところであろう。
ただ「sport」そのものは、「game」にカテゴライズされるものであることは、国スポの英語表記からも読み取ることができる。
僕は、スポーツとeスポーツは、同列に語られるものと考えている。
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