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なぜ服が着られないのか
●着衣失行
着衣失行の徴候に関しては、
・視覚認知処理に関する「視覚認知エラー」
・実際にまとう動作に関する「操作エラー」
・工程の計画、順序に関する「手順エラー」
の3つに分類される。
●着衣動作の工程
①衣服を手に取る
②衣服を広げる
③片側の袖通し
④後ろ見ごろを後方へ回す
⑤反対側の袖通し
⑥衣服を整える
⑦ボタン操作
●評価すべき項目(関連要因)
・閉眼状態でできるか(視覚情報処理)
・人形へ着衣できるか(自己身体認知、体性感覚を含む上肢操作)
・左右の袖通しの順番を変える(一側性や左右認知、方向性認知)
・衣服を手に取る工程(到達運動)
・他の着衣工程での徴候の有無(一般的な道具使用)
・衣服(前開き、かぶり型等)の形態による差(形態認知)
・合併症の有無
●開眼状態で前開き型の始めの袖通しができない場合
・視覚情報処理で何らかの問題が生じている
→通すべき袖の内側から見た穴周辺と通す腕のいずれか、あるいは両方の視覚情報が利用できない?
・人形でも同様の症状が出る
→自身と人形両者の背景には同様の障害がある可能性。視覚情報の利用困難は否定的。袖の内側から見た穴のような特徴を持つ何か棒状の対象に通すことの問題。
・衣服構造の認知低下、衣服と身体の位置関係の認知低下、着衣動作のイメージ構築の低下、動作遂行困難でもなし
→従来の着衣失行とも一致しない
●袖通しのみに特異的な工程
衣服を身体へ合わせる(fitting)という行為が始められる段階
着衣時は、衣服形態、さらに衣服と身体の空間的関係も連続的に変化している。着衣工程が進むにつれ、fittingし終わった箇所が増え、両者の関係を把握する手掛かりが多くなり、処理は容易になる。
●前開き型の特異性
かぶり型は着衣開始時と完了時に形の変化はないが、前開き型は展開した状態からボタンを留めるまでで形が変化する。
開眼・閉眼でにた着衣障害の徴候 山本潤 他 神経心理学
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