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シャント術について

水頭症の患者は、髄液が入る脳室が大きくなっている。


髄液は脳と脊髄の周囲にある水分で、クッション材のような役割をはたしている。

脳の細い動脈から水分が移動してつくられ、不要な物質を静脈やリンパ管に洗い流している。

洗い流すところが年齢とともに目づまりを起こすと、髄液がたまって脳の機能が低下する。


腰椎のすきまから針を刺して髄液を抜き、症状が改善するかどうか確認する。


髄液を抜く管を体に埋めこむ手術によって、脳の機能を回復させる。この管をシャントという。手術は全身麻酔で行う。


歩きにくくなってCTやMRI 検査で水頭症が疑われ、シャント手術を行った患者の80%が、症状が改善したと報告されている。


シャント手術は管を埋めこむ場所が3種類ある。


1.脳室―腹腔シャント(VP シャント)

前頭部か後頭部の頭蓋骨に1個の孔を開ける。ここから髄液が溜まった脳室にむかって2㎜ほどの太さの管を挿入する。管のもう一端は皮膚の下を頚部、前胸部を経て腹部まで通し、腸と腸のあいだに入れる。

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2.腰椎―腹腔シャント(LPシャント)

背中から腰椎のすきまを通して髄液のある空間に、1㎜ほどの太さの管を挿入する。管のもう一端は皮膚の下を腰部から腹部まで通し、腸のあいだに入れる。

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3.脳室―心房(しんぼう)シャント(VAシャント)

前頭部か後頭部の頭蓋骨に1個の孔を開ける。ここから髄液が溜まった脳室にむかって2㎜ほどの太さの管を挿入する。管のもう一端は頚部(けいぶ)の静脈から心房にむかって入れる。

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3種類の方法は効果に差はない。

患者さんそれぞれの状態によって選択する。

たとえば頭部の手術や感染をくりかえした患者では、脳室―腹腔シャントは閉塞や感染しやすくなる。

年齢とともに腰椎の変形が強くなっていると、腰椎―腹腔シャントは閉塞してしまうことが多くなる。

心疾患があると脳室―心房シャントは勧められない。


手術前日に入院し、食事は止めて入浴や点滴などの準備を行う。

手術は1〜2時間程度で終了する。

手術翌日から食事や歩行を開始し、1〜2週間で退院する。


シャント術で重い合併症がおきる可能性は3%と報告されている。

硬膜下血腫、腸管穿孔、シャント閉塞、シャント感染などが挙げられる。


https://www.tmghig.jp/hospital/department/surgery/neurosurgery/nph/ 参考

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