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#012 Netflixが1.5兆円をコンテンツ製作に投資する理由

NetflixとYouTubeがヨーロッパにおける配信品質を引き下げるというニュースがありました。新型コロナウィルスによるパンデミックの影響で、在宅時間が増える中、ネットワークの負荷を低減することが目的とのこと。

裏を返せば、それだけNetflixとYouTubeの影響力が大きいということです。今回は、Netflixの戦略をキャッシュフローの観点から整理します。

Netflixの有料会員数の伸び

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2019年末のNetflixの有料会員数は、1億6,000万人強です。上記のグラフから、アメリカ以外の世界各国での伸び率が大きいことが分かります。

日本のNetflix会員数は、2019年9月時点で300万人です。これは、競合であるWOWOW(286万人)やhulu(200万人)を上回る数値です。何よりも驚きなのは、前年からの1年で会員数が130万人増加していることです。驚くべきペースで増加していることが分かります。

競争優位獲得のため年1.5兆円をコンテンツに投資

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驚異的な会員数の伸びをもたらしているのは、Netflixのコンテンツ投資です。競争優位獲得のため、Netflixは年間約1.5兆円をコンテンツ制作に投資しています。ざっくりいうと、毎週「タイタニック」を作ってもお釣りがくるレベルです。

日本では、嵐の活動休止を追ったドキュメンタリーや「全裸監督」が話題になりました。世界でも「Stranger Things」や「The Irishman」などの話題作を飛ばしています。ちなみに、Irishmanの製作費は約170億円です。

単なる映像配信サービスに留まることなく、コンテンツ制作という川上に進出しているのがNetflixの特徴です。さながら、小売業がプライベートブランド商品の開発に注力する姿と重なります。

キャッシュフローを見るとまだまだ成長期

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コンテンツに多額の投資をした結果、Netflixの営業キャッシュフローのマイナス幅は拡大しています。営業キャッシュフローは「本業で稼いだ現金」を表します。

キャッシュフローを見ると、まだまだ先行投資が必要な段階であることが分かります。ですから、Netflixは無配を貫いています。利益を配当することなく、全額再投資に回しているのです。

Netflixは、PL上では利益を計上していますが、キャッシュフローと組み合わせてみると、まだまだ成長段階にあることが分かりました。同社は、コンテンツ製作に年間1.5兆円を投じることで、競争優位を獲得しようとしているのです。

今回は以上です。

最後に、キャッシュフロー計算書の解説を載せておきます。

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