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ツーショット写真を真ん中から切る!

……というと、離婚後元配偶者との、あるいは別れた恋人との写真を想定しそうですが、まったく異なるエピソードを想い出しました ── 真野愛子さんの記事を拝見して。

真野さんにとって4人目の『美人』として、小学生時代にあるパーティーで見かけた安室奈美恵さんへの『愛』が語られています。

私も一度ですが、安室さんに会ったことがあります。
彼女が主役を務めた映画『That's カンニング! 史上最大の作戦?』の撮影現場を、『原作者として』というよりも『純粋な野次馬根性で』見学に行った時のことです。
撮影は拓殖大学の八王子キャンパスで行われており、ちょうど大教室でのカンニング・シーンを撮るところでした。

主役の安室さんと山口達也さん、それに(今は100%政治家の)山本太郎さんなど主な配役の方々に(短時間ですが)お会いし、主役おふたりとはツーショット写真も撮らせていただきました。

その時『アムロちゃん』は18歳になったばかり、小室哲哉さんプロデュースの『Chase the Chance』がミリオンセラーを記録し、紅白に初出場するという時期です。

巷には彼女のファッションやメイクを真似る、いわゆる『アムラー』があふれていました。真野さんがパーティーで彼女を見たのもこの頃でしょうか。

とにかく、その美しい『小顔』に驚きましたね。
私は『大顔族』の出身で、家族親類のオトコたちはもちろん、女性縁者の多くも『顔がデカい』。
異次元の『小顔』だけでも、直感的に、
「このひとはスターだ!」
と感じました。

自宅に帰り、写真をプリントして小学生の娘ふたりに自慢しましたが、どちらもまったく反応しない。
(可哀そうに……こんな男と写真撮らされて……)的冷ややかさだったのはもちろん、アムロちゃんのせいではなく、私の家庭内での行状のせいですが……。

しかし、5年生の長女が熱心なアムロちゃんファンの友人にその話をしたところ、写真を欲しがっている、と言う。
家族ぐるみの付き合いもあり、ツーショット写真を大きく引き伸ばして渡しました。

しばらくして、娘に、
「あの写真、どうしてるかな?」
と尋ねたところ、
「自分の部屋に貼ってたよ」
「へえ、そうか? あげて良かったな」
「あ、でももちろん、真ん中で切って、アムロちゃんの部分だけね」
「ああ……で、オレの部分は?」
「そりゃあ……捨てたでしょ、当然」

しかし、私も他人ひとのことは言えません。
映画公開のタイミングで、原作を含む小説集が文庫本になり、出版社から、カバーに載せる最近の顔写真を送るよう頼まれました。
その頃、自分の写真といえば、指名手配犯のような運転免許用しかなく、1番まともなのが、アムロちゃんの横で笑っているショットでした。
「うーん……これしかないか」
しかし、そのまま送るのは問題が多そうなので、アムロちゃんが写った左半分を切り落とし、自分のパートのみを送りました。

文庫本はあまり売れず、出版社には迷惑をかけましたが、あのカバー写真の隣で、実は『世紀の歌姫』が微笑んでいたコトは、私だけのヒミツです。

最後に、『That's カンニング』のエンディング・テーマ曲『SWEET 19 BLUE』をどうぞ。
同じ表題のアルバム『SWEET 19 BLUE』は初回出荷305万枚と当時の日本記録を樹立したそうです。

映画公開から数年経った頃から、(もちろん本職の材料研究関連で)高専や大学から講義を頼まれるようになりました。
最後の雑談中に『歌姫とのツーショット写真』をチラ見せすると、教室の後方で講義中は退屈そうにしていた学生ほど、
「おお!」
と大きな反響を示します。
それを見るのもまた、隠れた愉しみのひとつでした。

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