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ホームグラウンドのPR動画を紹介

一般的に研究者は、少なくとも現役時代、複数の学会に所属しています。私も、最盛期には海外を含め、5か6の学会に入っていました。会費だけでもけっこうな額になり、会社が補助してくれることはなかったので更新時期はいつも、
「うーん、どうしよう」
と迷いましたね。
ジジイになるにつれてひとつ、またひとつと退会していきましたが、最後にひとつだけ、最も長く会員を続け、かつ、賞をいただいたり、論文誌の編集業務に携わったりした、いわば《ホームグラウンド》である、
『日本セラミックス協会』
のメンバーシップだけはリタイア後も(永年会費を払って)続けています。

といってもリタイアしたすぐ後にコロナ問題があり、学会参加も3年ぐらいはリモートになっていました。
ジジイの役割である、学会でポスター発表した学生に評価点を付ける(優秀ポスターは表彰対象)なんてのもここ2年ぐらいサボっています。

ところで協会が、一般の人たち、特に中学・高校の生徒に
『セラミックスって面白いぜ!』
とアピールする目的(たぶん)で作ったYouTube動画を発表しました。
「関係の方に周知をいただけると幸いです」
と連絡してきたので、微力ながら(ホントに微力ですが……)PRに貢献したいと思います:

別アカウントには数日前に掲載したのですが、来週名古屋大学でシンポジウムが開催される(聴講だけなら学生は参加無料)こともあり、

こちらの名前でもPRさせていただきます。

『日本セラミックス協会』は、40年近く前まで『窯業協会』という名称だったのですが、この『窯業』という業界名がなんだか古臭く、
・陶器
・土管
・煉瓦
・便器
のような『Old Ceramics』しか連想しない、これじゃあ学生に人気がないぜ、ということで改名しました。

実は『窯業協会』の米国版である『The American Ceramic Society』も同じ悩みを抱えていて、1990年ぐらいの米国学会で土産用に販売されていたのがこの自虐的Tシャツ

男性がズボンとパンツを下ろして便器に腰かけ、
新聞を読んでいますね……

セラミック・エンジニア……のオレたちゃあ、みんなが腰を下ろすモノを作ってるだけじゃないんだよ。

自虐Tシャツに書かれているのは……

ううーっ、わかる!
イリノイ大学で同じ研究室だったジェフは、実家に帰るたび、近所のおじさんに専門を聞かれ、
「へーえ、レンガが何か作ってるのかい?」
と反応されると嘆いていたっけ。

ということで、中高生に、
「セラミックってファンシー!」
と思ってもらうこと、重要なんですね。

こんな出張授業もやっているようです:

小学生向けのパンフレットもあります。

……しかし、上記動画は、女子高生にアピールしたい、というココロが感じられますね。少子化で先細りの中高生にこちらを向いてもらおうと、各研究分野も競争激しいのでしょう。

私が愛用しているセラミックスは、
・酒器(陶器・磁器・グラス)
・便器
はもちろんですが、
・キャパシタ(スマホ、TVなどあらゆる電子機器に)
・センサ(自動車、自動照明などに)
・電池材料(これも自動車、スマホなどの蓄電池に)
などの電子セラミックスがとてつもなく大きな市場です。

……と、ここまで書いて唐突に想い出したことがあります。
『日本セラミックス協会』の月刊機関誌『セラミックス』で、21世紀を目前に控えた1998年の1月号が、
『21世紀のセラミックスの夢』
と題して特集号を組んだことがありました。
各界の人びとに関連した短い記事を書いてもらう、というものです。
ほとんどの著者は専門分野のマジメな『展望記事』を書いておられます。
しかし、私に期待されているのは当然、小説でしょう、ということで、
『21世紀のToo-smart Ceramics』
と題した1500文字ぐらいの近未来SFを書きました。
思えば、ここにその後に某誌に連載することになる、『エレクトロニック・ショートショート・カタログ』の原点がありますね。

ちょっと長くなりすぎるので、明日あたり、この昔書いたこの掌編を掲載しようかと思います。

愛すべき陶器たち
織部、黄瀬戸、志野、伊賀焼

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