見出し画像

現代における『ハーメルンの笛吹き男』

テレビやラジオなどの企画を考えたり台本を書いたりする放送作家が綴るエッセイ風note。

 『ハーメルンの笛吹き男』という話を知っているだろうか?

 ドイツの街「ハーメルン」で700年以上前に起きた出来事についての伝承で、グリム兄弟を含む複数の記録が残され、現代にまで伝わっているお話。
 【グリム童話】なんかで有名だとは思うが。

 ざっくりと”あらすじ”を説明すると……

・ハーメルンの人たちがネズミで困っていた
・「笛吹き男」に退治を依頼
・男は笛の音色でネズミを一掃したが、街の人は報酬を支払わず
・怒った笛吹き男が街の子供たちを笛で連れていってしまう

 みたいな流れ。

 で、最近…夜のスーパーで「これが現代の『笛吹き男』か…」と思ってしまうような現象に遭遇しているな〜と気付いた。
 それは…

画像1

「スーパーの店員」「弁当や惣菜の値引きシールを待つ人々」の構図

 これが、どうも『ハーメルンの笛吹き男』っぽく見えて…(苦笑)。


 まず、20時を過ぎたぐらいの時間になると、高齢者を中心にゾロゾロと弁当・惣菜売り場に人が集まり始める。
 彼らは商品を手に取るわけでもなく、なんとなく売れ残っている商品をチェックしている。

 それから5〜10分ぐらいすると待ちに待った【笛吹き男(=店員)】の登場!
 にわかにザワつき始める売り場の空気!
 「どの商品からシールを貼るんだろう?」という熱い視線が店員に注がれる。

 やがて、割引シールを貼っている店員の後をゾロゾロと人が付いていき始める「ハーメルン現象」が起き、人々は狙っていた商品にシールが貼られると我先にとすかさずゲットしていくわけで。
 中にはシールが貼られる前の商品を先にキープし、割引シールを貼り始めた店員に「これにも貼れよ!」と差し出す”猛者”もいるけど…。

 シールは、最初は10%割引から始まり、20%、30%ときてラストは「半額」が多いかな?
 なので…だいたい1日に4回ぐらいは、この「ハーメルンの笛吹き」現象が起きていることになる(苦笑)。
 特に寿司系は人気商品だと。


 まぁ…高齢者は年金貯蓄の切り崩しで生活している人も多いだろうからね。
 ”キャッシュイン”が見込めないなら”キャッシュアウト”で節約を頑張るしかない。
 人生100年時代、先は長いんだし。
 だからこういう割引きされた商品を狙うってわけだよね…。
 しかも、中には「冷凍して数日を過ごすんだろうな…」という量の弁当を買い込む高齢者も見かけたりするが。


 とかいう俺も、その”笛”の音色に踊らされている一人なわけで……(苦笑)。
 今宵も、22:30前後に値引きシールが貼られる「半額寿司(250円)」を狙って、夜中にスーパーへと向かうのだった…。

画像2

画像3

 一貫あたり約30円。
 これにハイボールの晩酌があれば、それだけで幸せ。
 まいう〜である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?