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機械仕掛けのコウノトリ 12
私には彼女たちが答えを探しているようには見えず、それはおろか本当に悩んでいるのかさえ疑問を感じざるを得なかった。
なぜなら、彼女たちの前には登り階段しか用意されていないからだ。
彼女たちの持っている疑問はつまり「階段の途中で息切れしたり、想像以上に長かったらどうしよう」という話し合いでしかなく、それに対するお互いの答えが「その心配良く分かる」と言い合っているだけなのだ。
ただ、こういった会話を生み出せていること自体が意味のあることなのだろう。
もしも一昔前ならば、この会話が生まれる前に子供はすでに生まれているのだから。
私は本を開いたまま一ページもめくれずにいた。
そして、このような自分の考えをただつらつらと彼女たちの会話の上に蓋を被せるようにして思考を抑えていた。
そして、私が今の私に気づいた時、私はそろそろ限界であることを理解した。
イヤホンを耳につけ、音楽を聴く。
曲はなんでも良く、できる限り明るいバカみたいな意味のない歌詞の歌が好ましかった。
私はそれを五六曲選んで何度もリピートした。ようやくページをめくることができた。
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