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写真史の稀書・奇書・寄所

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2020年4月の記事一覧

写真史の稀書・奇書・寄所(2)ー『Magasin pittoresque』1839年版合本

写真史の稀書・奇書・寄所(2)ー『Magasin pittoresque』1839年版合本

古書探しをしていてなにより歯がゆいのは、買えるシロモノではない値段の本に出会ってしまった時だ。

 こんかい紹介する『マガザン・ピットーレスク』もそんな一冊である。同書は1833年から1938年まで、じつに1世紀以上年も刊行されていた総合文芸雑誌である(刊行周期は週刊→月刊→隔月刊となっていく)。日本でいうと博文館の『太陽』にちょっと似ているだろうか。

 わりといろいろな本屋や蚤の市でみかける

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写真史の稀書・奇書・寄所(1)ー『L'art en photographie』1905年夏の特別号

 20代の頃、なによりも心待ちにしていた読み物がANAの機内誌『翼の王国』に鹿島茂さんが連載していた「稀書探訪」。毎月手に入れることができたので、ほとんど全部読んでいると思う。

 稀代の古書マニアとして知られる仏文学者・鹿島茂さんのコレクションから毎月一冊、19世紀フランスを中心とした稀書や奇書が紹介され、なによりこころ踊るのはその入手経緯の逸話だ。「稀書探訪」は書籍化されていないのだが、『子供

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