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フリーランスで働く(せきららインタビューwith コロッケ屋みね)


Guten Tag!
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
ドイツはまさかの梅雨モード突入。一週間じめじめが続いていますが、日中でも22度前後と過ごしやすい気温が続いています。

日本人はどうやって海外に暮らしているんだろう?
そんな疑問皆さんあるでしょう。
今回は、ベルリンでフリーランスで活躍されていた、現在愛知県名古屋市北区に店舗を構えるコロッケ屋みねの店主であり、当時ベルリンの恩人の一人と言っては過言ではない、嶺村歩(みねむら あゆみ)さんがインタビューに答えてくれました。
ベルリンには2008年から2021年まで滞在し、2016年にはストリートフードの世界へ入り込み、個人事業主として生活されていました。
どうしてフリーランスに、当時の生活感や生活費等赤裸々に語っていただいておりますので、参考にしていただけたら嬉しいです!

コロッケ屋みね
Instagramm:https://www.instagram.com/kitchen_mine/




S(しゅん)「それでは手短に自己紹介をお願いします。」
M(みねむら)「名古屋市北区でコロッケ屋をやっている、嶺村です。」

1.なぜドイツへ?


S「ドイツでフリーランスやられてたわけですが、そもそもなんでドイツに来たんですか?」

M「もともと現代美術をやっていてい、作品を作っていて、結構海外の展示が多かった。スイスに所属ギャラリーがあったりとか。それがきっかけで現代美術でも有名なベルリンに住んでみようかなと。」

S「きたての頃は、アーティストになるぞ、みたいな意気込みで来たってことですか?」
M「そう。アーティストとしてベルリンをベースにやっていこうと思っていました。」
M「ただ、それが2008年にベルリンに行ったんですが、その年にリーマンショックがあって、行って半年後に、私が所属してたギャラリーがつぶれちゃったんです。あと、東京のギャラリーにも所属してたんですが、そこも
同じ原因で解雇にあってしまって、入国半年わずかで路頭に迷うみたいな感じになっちゃって。。」

S「あらら。。それは災難で。。」

2.どんな種類のVISAを?


S「その当時は何のVISAだったんですか?」
M「その当時はアーティストVISAだった。」

S「その時点でアーティストにあることはあきらめた?」
M「いや、4、5年くらいはアーティストとして活動は続けていたよ。ギャラリーがつぶれた年に国から助成金も出てたから、それで食いつないでは行けてたかな。」

S「でももちろん助成金だけじゃないですよね?働きながらって感じで」
M「そうだね。たまに作品出しながらね。」

S「そこからフリーランスに変わっていくと思うんですけど、その間は就労VISAはさんだりとかあったんですか?」
M「ベルリンで12年間はずっとフリーランスビザだった。アーティストVISAって4年たつアート以外の活動もできようになるの。保険とかも自分でやって。」
S「あ、じゃ自動的にフリーランスのVISAになってって感じだ。」
M「申請の時に、アーティストVISAの制限を解除してほしいと申告するんだよね。」
S「アーティストVISA取ってから4年後ですか?」
M「それが人によって違って、早い人だと2年でそれができてたね。」
S「じゃそれも恒例の外国人局次第って感じですね。」
M「あと、担当の窓口の人次第だね。2年で永住権取れた人もいるからね。」
S「でも10~15年前ってやっぱり申請自体も緩かったんじゃないですか?
M「そうだと思うよ。その永住権取れた人は当時全然ドイツ語しゃべれなかったもん。」
S「今はB1以上ないと永住権取れないですもんね。」
M「でも収入は結構あったみたい。」
S「なるほど。(笑)」

3.食という道へ


S「でもなんでそこから食の道へ行ったのかっていうのは疑問だったんですが。」
M「最初はもうみんなから言われた「これやってみなよ」に手を出してた感じかな。その中で日本食でどんぶりを提供しているのカフェみたいなのがMehringdamm(ベルリンの町)にできて、そこで働き始めて半年で、どんぶりの売り上げを6倍にできたの。」

M「その噂を聞きつけた別の店のオーナーが引き抜きにきて、別の店舗を任されるようになったんだよね。」

M「当時ラーメン屋やりたいってことで別の人が進めてたんだけど、その人が急きょ抜けて、ラーメンの教科書だけ渡されて、引き継ぎ一日で、ラーメン屋任されるっていう蓋開けたらひどい話だったよ。そこのラーメン屋では大体1年3~4か月くらい働きましたね。」

M「いつかレストランに荷物が届いて、それを事務所にもっていったら、銃の弾で。面白半分で、銃口を額に当てられて、いいだろって。これを機にやめようって思ったね(笑)」

S「やっぱりいかれてますね。(時期が違えど同じオーナーの下で働く運命でした)まぁでもやっぱり、食という道に転じたのは、偶然だったんですね。」
M「まぁそうだね。でももともと作るのは好きで、プライベートでふるまったり、アートとして作品にして料理の作品出してみたりはしてたから。」

4.ストリートフードの世界へ


S「ではラーメン屋やめてから直接ストリートフードの世界へ殴り込みって感じですか?」
M「そうですね。」
S「なんでストリートフードへ?」
M「ラーメン屋さんで働いてた時に、イベントとかで、屋台出してたの。書類とかは全部事務所側がやってくれてたけど、運営側は全部丸投げで(笑)
だからノウハウはあったし、楽しさも知ってたからいいかなって。」

S「なんでコロッケだったんですか?」
M「まぁやっぱり原価安いし、ドイツ人はジャガイモ好きだから、外さないかなって。あとは、ドイツでやっても料理のクオリティが下がりにくいものにしようと思ったかな。すしなんて相当頑張らないと日本のクオリティで提供できないじゃん?だからドイツでやっても質が安定するコロッケを選びました。」

5.フリーランスでよかったこと、苦労したこと

s「ずっとフリーランスだったわけですから、この質問はナンセンスかもしれませんが、フリーランスでよかった点、悪かった点はありますか?」

M「怒られないってこと(笑)実際ラーメン屋で働いてた時は、フリーランスとは言えども、賛同できなくても(味とか)社長のやりたいことを形にしなきゃいけなかったから、自分には合ってないなって感じて。フリーランスになってからはそういうことはなくなったので、やっぱりやりたいことをやれてるってところは良かった点ですね。」

M「休みも自分次第で決められるというところはすごく楽です。収入も自分次第だし。」

S「逆に難しいなとか苦労した点は?」

M「まぁドイツに限らず、書類関係の事務作業が増えるのはやはり大変ですね。ドイツでとなるとその仰々しいドイツ語を理解して作業しなきゃいけないので、苦労しました。」

6.日本人としてドイツで働くこと

S「日本人としてドイツで働くことはメリットありますか?」
M「かわいがってもらえることかなぁ。やっぱりお客さんからも周りの同業者からもかわいがってもらってたと思う!ドイツ人からしたら外国人が一人で頑張ってるって見てもらえてたと思う。」
M「あとはビジネスとして、ドイツで日本のことをやるっていうところでドイツ人はもちろん日本人からも注目を浴びやすいってところは大きなメリットだと思う。」

S「なるほど、デメリットみたいなことはありましたか?」
M「出店している場所が客さんの質もいいところに出店するケースが多かったから、そんなに感じたことはないかなぁ。あったかもしれないけど気づいてないだけかも。当時はそんなことに気を配ってる余裕なかったし。」

S「ドイツ人の方が優遇されるってこともなかったですか?」
M「というよりは古株が優遇されるってことはあったかな。まぁでもこれは日本も同じだよね。」

7.金銭面について


S「金銭面についてはどこまで話せますか?(笑)」
M「全然大丈夫!」
※一番下に公開します!

8.日本に帰ってから


M「日本には2021年の3月に帰りました。名古屋市の北区に賃貸で一軒家を借りて、自分地域に人の助けを借りながらでフルリノベーションして、コロッケ屋として営んでいます。」

S「今すごい勢いありますよね。」

M「全然です。(笑)自分の行きたいところまでなかなか行けないので悩んでます。やりたいことも多すぎて(笑)。でもやりたいことをどうやって形にしていこうか考えてるのは楽しいから、これは常に悩んでいたいね。」

S「日本とドイツ比べて、決定的に違うところってありますか?」

M「サービスだね。接客は全然違うね。フレンドリーさは大事だけど。商売の姿勢が違うんだよね。ドイツは売ってあげるよって感じだけど、日本は買ってあげるよって感じなんで、慎重に対応するように心がけてます。」

9.「食」「飲食」が抱える社会問題への対応

S「ベルリンでは特に現在、食が抱える社会問題について積極的に改善に取り組む動きがある。(例:動物性食品の消費量を減らし、環境問題を軽減する。フードロスをなくして、人々に食料がいきわたる社会にするなど)そういう取り組みに挑戦していこうみたいなことはありますか?」

M「コンポスト事業だね。大家さんか土地を持っていて、アーバンガーデニングって言って小さい区画を畑として貸し出してて、そこの区画で、今コンポストを作ってるよ。コロッケ作って出るごみを利用してなにか生み出すみたいな循環システムを作りたいなぁとはベルリンにいたときに、日本帰ったらやりたいとずっと思ってたね。今は試行錯誤してるところです。」

10.日本人が輝くために

M「日本に帰って来てびっくりしたのは、ベルリンにいた日本人はすごくチャレンジ精神が高かったね。できないことに挑戦してみようみたいな。だから、何か頼んだ時に、やったことないけどやってみますって人が多かったんだけどさ、日本に来て今まで働いてた人を比べると、マニュアルがないと働けないみたいな人が多かったかな。少なくとも屋台で働いてた子はみんな、ドイツ語できなくても初日で接客やってくれてたし。ベルリンにいた日本人に比べると臨機応変さに欠けると感じました。」

S「ズバリ、日本人がドイツ、ベルリンにてフリーランスで活躍できる秘訣とは?」
M「日本人さとは関係ないかもしれないけど、愛嬌、フレンドリーさと自分が弱者であることを自覚することは大事だね。弱者であればあるほど、周りが助けてくれるんだよね。言語の壁もあるし、強がっててもしょうがないかなって(笑)」

S「なるほど。貴重なお時間ありがとうございました!」


当時はクリスマスマーケットで販売していたみねさんのコロッケに心打たれ、長らくバイトさせていただいておりました。コロナ期間中は、マーケットの出店も制限され、収入も安定しない状況でも、コロッケの冷凍販売や配達事業に即座に切り替えられる順応性と対応力には感動しました。

私もこんな感じで働かせて頂いてました笑
コロッケを求める大行列!!


さぁお待ちかねのフリーランスで活躍されていた収入、生活費を大公開!!!
※本人許可をいただきましたので、一部抜粋して公開いたします。

収入&生活費 2018年度(現在のレートで換算)

マーケット出店回数:87回
年間売り上げ:63.700 €(約985万円)
年間合計収入:32.300 €(約500万円)

月の生活費
家 賃:560 €
光熱費:90  €
携 帯:15 €
保 険(自賠責込):200 €
雑 費:48 €
合 計:913 €(約14万円)

マーケット出店への初期投資は約5000€。自分でDIYすることで経費をかなり抑えられたそうです。
海外のストリートフードに興味がある方は、参考にしてみてください!


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