J3 第30節 レビュー 【いわてグルージャ盛岡 vs 鹿児島ユナイテッドFC】及第点と懸念点
及第。
勝ちました。
メンバー入れ替えの中での勝利。
現地の方、岩手は寒かったと思います。
本当にお疲れさまでした。
今節の結果、昇格は厳しいままですが、食らいつけはしました。
今回も勿論、チームとして上手く行ったところ・行かなかったところ双方あったと思います。そこについてもいくつか拾っていきたいと思います。
が、今回は出場やスタメンがお久しぶりな選手も多かったので、気になった選手を、項ごとの話題の中心として振り返っていこうと思います。
それでは、行きましょう。
0.スターティングメンバー
と、その前にスタメンの振り返りです。
この流れも板に付いてきました(?)
まずは鹿児島。
野嶽兄が開幕以来のスタメン。薗田も久しぶりにスタートから名を連ねました。サスペンションの岡本に代わったのは、藤原。ここは既定路線でしょうか。
そして、田辺・ニウドのコンビが復活。
ツイートもしましたが、試合では良くも悪くもこのコンビが帰ってきたな…!という印象です。
一方で、岩手。
左HVで殆どの試合先発していた8番脇本に替わり、2番下畠が名を連ねています。
コンディションの問題でしょうか?
正直把握していませんが、とにもかくにも殆どいつものメンバーで挑んでいます。
さて、次項から内容を見ていきます。
1.薗田の貢献
久しぶりにスタメン出場の薗田。
相手のレベル感もあると思いますが、期待に応えるプレーをしていたと思います。
まず、SHやDHなどと連動した場面は今節よく見られたかと思います。
各々との上下・内外の関係が思った以上にスムーズで盛岡DFを錯乱させていました。
そして、楔の収め役(4項で言及します。)、サイドに流れてロングボールの収め役、裏抜け役と様々な場面に顔を出して貢献した薗田。
今後、もう少しレベルの高い相手にも同じようにプレーしていけるようスキルを伸ばせれば、酒本に取って替われる選手になれるのではと思います。
2.野嶽、貢献と課題と。
そして、もう一人。
開幕以来のチャンスを掴んだ野嶽兄です。
こちらは評価にあたってプラスなプレーとマイナスなプレーの振れ幅が大きいなぁと感じました。
まずは、プラスな点から。
プラス面
プラスな面への言及はあまりいらないかもしれません。
積極的な攻撃参加で、何度もチャンスを演出してくれました。
得点も野嶽の裏抜けから。
説明不要の好プレーを連発してくれています。
ここは、試合を見た誰もが認めたであろうので、軽く飛ばします。
マイナス面
度々、ん?と感じたのは、主にトランジション局面でした。
1番気になったのは、第1Q最後の被カウンター場面です。
始まりはショートコーナーから田中→野嶽と繋いだところでロスト。
盛岡のDFブロック前で待っていた野嶽のポジショニングも去ることながら、まだ準備の出来ていない野嶽にパスを出した田中も判断ミスのような気がしますが、相手DFの視野内で奪われたシーン。
盛岡はボール奪取後、11番ブレンネルがドリブルで前進、6番モラレトが裏に抜け出し、シュートまで持ち込まれます。
頭を抱えたのは、ネガトラ。
スプリントを始めたモラレトの姿は、恐らく野嶽の目に入っていますが、野嶽は追うのを止めました。
結果的に田中の対応が追い付き、難を逃れたので良かったものの、盛岡の選択が一つ違えば決定機の場面でした。その場面でスプリント出来ないのは、ちょっと厳しい。
これ以外にもポジティブ/ネガティブ問わず、随所にワンテンポだけトランジションの遅さが散見された野嶽兄。
現状では、リスクの点から主力では使いにくいなという印象です。
もっともSB以外という選択肢もあると思いますし、相手によって長所とどう折衝するかによりますが。
後半、足が攣ったのを見るに、コンディションの問題もあったのかもしれませんが、いずれにせよ意識1つで変わる部分もあると思うので、今後に期待です。
3.牛之濱と米澤と、時々中野。
少し手慣れてきた?3バック戦。
鹿児島両SHの貢献は大きいものでした。
米澤は外切りを選択。WBへのパスコースを切ります。
盛岡は、ビルドアップのパターン上(恐らく選手の質・得手不得手の関係で)、米澤サイドにボールを集めることが多かったです。
そこでSHが大外を切り、逆サイドへ誘導するようにプレスするので、牛之濱サイドに展開、18番宮市目掛けたサイドチェンジが多くなりました。
幸い、サイドチェンジはフワッとした球が多かったため、牛之濱が戻る時間が出来ていたので、野嶽はスペースを守ることに徹することが出来ていました。
このようにして前半は、多くの場面で盛岡WBが上手く仕事を出来る機会を逓減させていました。
両SHの運動量はかなり高かったのですが、よく走ってくれました。感謝。
ただし、16分。
牛之濱がHVへプレスに行こうとしますが、中途半端になります。CBからWBへボールを供給されました。
これにより、野嶽がWBへ対応。
中央は数的同数となりました。
この辺り、SHが出るならばWBへのパスコースは断つor他の選手が対応できる時間的余裕を生むという意識は持っておきたいですね。
一方で、盛岡。厄介だったのが49番中野。
数的・位置的優位のため、関与したり離れたりと、盛岡にとって好サイクルを生み出していたと思います。
一つ一つ言及していきたいですが、書き出したらキリがない程度には好プレーが見つかったので、良かったよね!という情報を残すために記しておきます。
4.ビルドアップの形
最後に少しだけ。
田辺・二ウドコンビが本格的に復活して、立ち位置が標準化された影響もあり、GKから繋いで前進という場面が増えたと思います。
18:57~を抜粋します。
場面は大西からスタートします。
水本→田辺→水本と繋ぎ、ブレンネルと中野を水本サイドに誘導します。
盛岡プレスラインが左寄りになったところで、田辺がもう一度受け直して逆サイドの藤原に展開。6番モレラトがセオリー通りプレスに向かいます。
この時、モレラトが空けた背後のスペースに田辺が侵入します。
藤原からパスを受けた野嶽は宮市のプレスに遭いますが、スペースに入り込んだ田辺にワンタッチでパス。安全に前進できました。
この時に、ニウドは逆サイドで5番石井をピン留め、薗田が降りてきていたことで39番小谷も引き寄せており、盛岡DHが田辺にプレッシャーを掛けられない状況を作り出していたのも奏功しました。
特に薗田は、小谷に先んじてパスを受けに来て、楔を受けます。1項でも言及しましたが、こういったプレーを薗田もしてくれていたことは本当に有難いです。
そして薗田は、プルアウェイでマークを剥がした牛之濱にレイオフ。サード3への侵入が完成しました。
牛之濱からは上手く行かず、やり直しを強要されましたが、このようにクリーンな形で繋いで前進するシーンは再現性が高かったと思います。
5.後半の劣勢
後半は、さすがに運動量も落ちてきて、オープンな展開で前進を許すことも多くなりました。
特にフォーメーションとは関係ない展開で田中が晒される機会が多く、彼には相当の負担があったと思います。よく耐え忍んでくれました。
ボール非保持では、落ちたブレンネルに楔が入ると、重戦車ドリブルで前進されるので、厄介も厄介でした。
ここは、二ウドの動きすぎる癖+運動量落ちてスペースを埋めきれないことが、ブレンネルへのパスコースとなるスペースをもたらしたことも一因だと考えます。良くも悪くもの悪い方ですね。
そして盛岡は、守備時の5-4-1ブロックも後半になってやや距離感が狭まったような気がします。これにより、前半ほど小気味良く効果的な前進は減ったように感じます。それでも、冴えていた薗田が収め役になってSBに展開などチャンスは作れていましたが。
一方で、鹿児島自身の劣勢に陥った要因として、プレスを強め、人への意識が強くなったことでしょうか?
具体的には、牛之濱が縦横無尽に動きすぎになっていたと思います。
結果、牛之濱が担当するWB宮市がスピードに乗ってサイドチェンジを受ける機会が増えました。
牛之濱が動きすぎていた理由としては、単純にスクランブルな盤面になっていたことや中央のスペース埋めの為に奔走していたことなどが挙げられると思います。
先発復帰したばかりの選手も多い中で、避けられない部分もあったかとは思いますので、今後は徐々に解決してくるでしょうが、ヒヤヒヤさせられる場面が多かったですね。
6.あとがき
相手のミスにも助けられながらも1-0の勝利。
盤面上もほとんど制していた上、技量的にも押し込めるところを押し込んだか否かの差であったので、チーム力の勝利でしょう。
そんなこんなで、リーグもあと4節。
昇格圏との差は7。
次節敗れるようなことがあると、他会場の結果によっては昇格が消滅します。いよいよ。
況してや、昇格の為に追い越すべき数は7。
まさに奇跡が起こるかどうかですね。
正直、このゲームからは残り試合に期待が持てるかどうかは判断し難いです。あまり基準にしてはいけない気がします。
ただ、可能性がある内は貪欲に狙うだけだと思います。
奇跡を祈ります。
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