アメリカ大学院受験記
2022年の秋から、University of California, Santa CruzのComputer Science and Engineeringの修士 (M.S.)で勉強することにしました。大学院の受験を決めてから今に至るまで、やったことをまとめておこうと思います。
受験を決めるまで
University of California, Santa Cruzに学部生として入学したのが2018年。時間の経過は早く、2021年の秋に4年生になると、卒業後のことを真剣に考えないといけなくなりました。
卒業後の進路の選択としては、大きく「大学院に進む」か「就職する」といったところで、私の場合はその2つに合わせて「日本」「アメリカ」という場所の選択があり、計4つの選択肢があるような状態でした。せっかく学部でアメリカの大学に進んだので、そのまま日本に戻るのはもったいない気もしていて、アメリカで進学するか、就職するか、どちらかかなと思っていました。
そんな中、2021年の秋学期に、学部生として大学院のコンパイラの授業を履修しました。20名弱の履修者の中で学部生は2人だけで、最初は緊張もあったのですが、講義の内容も専門性が高く、またクラスメートとの話も盛り上がり、一番楽しみな授業になっていました。進路を考えるにあたっても、このような環境に身をおいて勉強できれば、その先に役立つ知識やスキルを身につけることができると感じるようになりました。
同時期に、仲良くさせてもらっている教授数名に相談をしました。大学で教授をやっている人は全員アカデミアに残る選択をした人なので、ある程度のバイアスがあることは承知していたのですが、それまでの私との交流から「大学院に進んでも成果を出せると思う」「授業や研究の内容も楽しめると思う」と背中を押していただけました。
これらのことを総合的に判断して、10月末にアメリカの大学院を受験することを決めました。
受験にあたって
アメリカの大学院を受験するにあたって、以下のものが必要となります。
学部での成績
Statement of Purpose (志望動機をまとめたエッセイ)
学校によっては追加のエッセイ
推薦状3枚
テストのスコア (GRE, TOEFLなど)
GREはコロナの影響もあり多くの大学で任意となっており、私が出願したかった大学も必須ではなかったので、私は受験しませんでした。参考書だけ購入していたのですが、難易度が高く、入試にプラスの影響を与えるにはかなり勉強しないといけない、という印象を受けました。一方で、高得点を取ることができれば、他の志願者と差別化を図れること、また英語の勉強になることから、しっかり準備をすればよかったなとも感じています。
TOEFLに関しても、私が出願した大学は全て英語圏の大学で学士を取得予定であれば必要ありませんでした。学部受験の際に3ケタに乗せていて、それからアメリカの大学で4年過ごしたのであまりにもひどい点数になることはないと思いますが、受験するとなれば多少なりとも準備が必要で、時間もお金も必要になります。その点は、アメリカの大学で学士を取得するメリットだなと感じました。
学部での成績は、受験に際して突然何かできるものではないのですが、私は高めの水準をキープできていたので、ネガティブに影響することはなかったと思っています。
Statement of Purposeには、自分がこれまでやってきたこと、大学院に進学して成し遂げたいことを、ダブルスペースで1枚、1200語程度でまとめました。書き始めたときには、「これを研究したい」といった具体的な目標がなかったため、ストーリーを組み立てることに苦労しました。これまでやってきたこと、漠然とある自分の興味分野、受験する大学をつなげるエッセイになるように努力しました。大学院受験をした先輩や教授にもフィードバックをもらいつつ、1ヶ月ほどかけて完成させました。大した内容ではないですが、興味がある人がいればシェアできます。
University of Californiaの複数のキャンパスからは、Personal Statementなどと呼ばれる追加のエッセイの提出が求められました。Statement of Purposeが研究領域や実績などにフォーカスするのに対して、こちらにはより個人的なモチベーションを記載します。私は特にドラマチックなエピソードなどないので、Personal Statementとの差別化に苦労しました。最終的には、どうしてコンピュータサイエンスを勉強したいのか、自分の経験をベースにまとめました。
推薦状は、これまで授業を取った教授の中から、自分の興味領域に近く、「いい成績を取った」以上のことを書いてくれそうな人にお願いしました。私は学部ではあまり研究に関われなかったのですが、課題を動かすためのDockerfileを書いたり、(学部の課題としては)整理されたコードを提出したり、チューターとして生徒の課題の手助けをしたりしていました。そうしたエピソードを書いてくれないかお願いしたところ、3人とも快く引き受けてくださいました。
資料の作成に関しては、Matt Might氏の以下のブログ記事がとても参考になりました。
提出する資料は、大学によって大きな差はありませんでした。一方で、特にStatement of Purposeでは出願先の大学の教授陣やプログラムについてリサーチする必要があり、あまり知らない大学に関してはWebサイトなどで情報を集めました。その点において、学部で在籍していたUC Santa Cruzは、教授の研究内容や、カリキュラムなどについても既に把握しており、限られた時間のなかで、より説得力のある資料になったと思います。
学校選び
当然ですが、出願するにあたって、学校を選ぶ必要があります。Computer Scienceには CSRankings というCSの分野ごとに学校をランキングにしたWebサイトがあり、そちらをかなり参考にしました。
私はProgramming LanguagesやSoftware Engineeringといった領域に興味があったので、そこにチェックを入れ、大学を調べていきました。日本との距離や気候を考えるとどうしても西海岸に残りたくなってしまい、結局受験したすべての大学は西海岸でしたが、このサイトは非常に参考になりました。
出願から合否発表まで
私が出願した大学は、12月半ばから1月半ばにかけてが出願の締め切りでした。そのため、エッセイをはじめ、出願にあたって必要なものは12月半ばまでに仕上げました。
エッセイもその他の資料も、一度書いたら終わりとはいきません。学校ごとに、志望動機や興味のある研究などを書き換えたり、異なる単語数の制限に合わせて再構成を行う必要があります。冬休みを中心に、出願を進めました。
1月下旬には全ての出願が終わり、そこからは待つことしかできない嫌な時間が始まりました。日本の受験は一般でもAO/推薦でも合格発表日が決まっているのが一般的かと思いますが、アメリカの大学は突然合否の連絡を送ってきます。2月下旬、結果が通知される時期になると、全てのメール通知が合否通知かもしれない恐怖の中で生活することになりました。
幸いにも、3月上旬に最初の合格をいただき、気分的にはかなり楽になりました。その後、4月上旬ごろまでには、結果が出揃いました。
進学先選び
受験の結果、合格をいただけたのは以下のプログラムでした。
University of California, Santa Barbara M.S. Computer Science
University of California, Irvine M.S. Software Engineering
University of California, Santa Cruz M. S. Computer Science and Engineering
University of Southern California M.S. Computer Science
正直、どのプログラムもそれぞれ魅力があり、この中から一つを選ぶのは大変でした。
学部で通っていたUniversity of California, Santa Cruzを選ぶ決め手となったのは、学部時代に築いたコネクションでした。私自身は、「絶対にこれをやりたい」といった研究テーマがあるわけでも、「絶対にこの教授の元で活動がしたい」と思う教授がいるわけでもありませんでした。一方で、自分の興味関心と近い研究や専門分野を持った教授も多く、進学後のイメージも持つ頃ができていました。授業を受けて、修論を書いて、という一般的な修士プログラムの内容はどの大学でも行えます。UCSCに残れば、私が知っている、また私のことを知ってもらっている教授と、授業でも研究でも幸先の良いスタートを切ることができます。TAをする際に、学部の授業を受けたことがある点もプラスとなりました。
ランキングだけで見るとUCSCは他の大学よりも下ということもあり、本当にこの選択でいいのか、ギリギリまで悩みました。一つの大学にしか選べないので、どの決断が一番良かったのか判断することは不可能ですが、卒業時に「他の大学にすればよかった」と思わないように、これからの時間を有意義に活用していかなければいけないと感じています。
さいごに
そんなこんなで、University of California, Santa Cruzで大学院生をすることになりました。あと2年ほどはいますので、近くにお立ち寄りの際はお声がけください。
大学院の受験にあたっては、本当に色々な方にサポートしていただきました。特に、大学の教授と同じ領域で大学院進学経験のある先輩には、学校選びやエッセイ執筆などで多くのアドバイス・フィードバックをいただき、感謝しかありません。また、進学を快諾してくれた両親にも感謝しています。
大学院生活をよりよいものにするため、まずはこの夏休みから、しっかりと準備をしていきます。
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