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たった1割の人が実践している、学びを成長に繋げる「ある行動」

このnoteは何について書いているのか


20年強、ビジネスの世界に身を置き、今は営業アドバイザーとして外部から企業の営業組織を支援する仕事をするなかで、前から気になっていることがあります。それは「情報を得たり知識を学んでも実行に移す人はとても少なく、成果に繋げられている人はさらに少ない」ということです。

例えば、SNSで情報収集したり、noteで色んな人たちの記事を読んだり、セミナーに参加したり、情報や知識を得る手段は本当にたくさんあります。インターネット万歳。とても素晴らしい環境になっています。
しかしせっかく学んだ情報や知識を元に実行することなく、ただインプットするのみ。せいぜい自身のSNSアカウントで発信をする程度に留まっている人がとても多い印象です。これはつまり目的が「自身の成長」ではなく「学ぶこと」になっているのではないでしょうか。

統計をとったわけでもないのでただの僕の体感ですが、学ぶだけで終わってしまっている人の割合は90%で、実践する人は10%、さらに成果を出すまで継続実行する「成長する人」はその中の半分もいないのでは、という体感値です。

かくいう僕も偉そうなことを言えた立場ではありません。そもそも学ぶということに対して今ほど積極的に取り組んできませんでしたし、学んだことを全て実行してきたのか?と問われるとまったくそんな人ではありませんでした。

しかし、現在営業アドバイザーという立場で仕事をする中で、数多くの営業職の方々から「営業に困っている」「売上が上がらず困っている」「受注が取れなくて困っている」等の様々なSOSをいただき、そして支援を依頼されるのですが、何か変化・成長が必要だと思って支援を依頼してきたにも関わらず、こちらからのアドバイスを実行しない人が一定数いるのは何故なんだろう?ということが本noteを書くきっかけです。

もちろん僕のアドバイスがわかりにくいとか、理にかなっていないとか、抽象的で行動に移せる粒度で理解できないとか、そういう側面もあるかもしれません。ただ、実際に実行し、見違えるような成長を遂げて企業の大黒柱に育っていっている人がいるのも事実。一体この差はどこにあるんだろうか。仮に同じインプットをしたときに、人によって行動に差が出るのは何故なのだろうか?という問いに僕なりの考察を書いていきます。

このnoteを読むことで「学びを実行に移し、成長できる人」の特徴を理解し、今日以降皆さんの成長に少しでも寄与できれば本望です。

すくすくと成長しますように


4つの領域を経る「成長へのステップ」

はじめに、そもそも学びや実行、成長がどういった因果で繋がっているかを整理します。ちなみにこれは僕の考察であるため、1つの考え方として受け取ってください。

成長領域には簡単にはいけないんですよね

この図は、僕がビジネスパーソンの成長について考えるときに思考の土台として引用させていただいている「成長に向けた4つの領域」です。インターネットには数多くのメディアに上記に似た図が引用されているのですが、どこの誰が提唱したものなのか、ソースは不明です。
この4つの領域は、人の成長とは強く関係していると思っていますし、何故そう思うのかを説明していきます。是非一緒に考えながら読み進めていただければと思います。

この図の概略をお伝えすると、人は「①安心(Comfort)」「②怖れ(Fear)」「③学び(Learning)」の領域を経て「④成長(Growth)」に到達するという考え方です。
安心とは、ストレスや緊張のない穏やかな精神状態を示しています。いわば凪です。変化の少ない状態とも言えますから、状況としては現状維持にあたります。
そんな良くも悪くも安定した状態に対し、何らかのきっかけで「このままではまずいぞ」と自覚すのが怖れの領域。そして、怖れから抜け出そうと取り組むのが学びの領域であり、その先にあるのが成長の領域という構造です。

どうでしょう。このステップに大きな違和感はないのではないでしょうか。コンフォートゾーンを抜け出しても、成長に至るためには間に2つの領域が存在している、と捉えて欲しいのです。

冒頭でお話しした「学ぶ人たち」は、積極的に学ぶ意思を持っているということなので、現状に対する危機感や渇望感、焦燥感といった感情をもっているのでしょう。成長に向けて必要不可欠な要素をしっかり持っているという点ではとても素晴らしいと思います。
しかし学びで足を止めてしまうことは、上図において「怖れと学びを行ったり来たりしている状態=学びの領域で留まっている状態」と言えます。周りが頑張っているし成長しているのだから、自分は何もしないわけにいかない。皆がやっているように積極的にウェビナーを視聴したり本を読んだりしないといけない。SNSを通じて色々な人たちの発信を得ないといけない、といったように。

自ら学ぶ機会を獲得しにいくという素晴らしい態度をとっているにも関わらず、なぜ成長領域に進めないのか。なぜ危機感があり成長意欲もあるのにラーニングゾーンにとどまったまま成長に繋げられないのか。

僕の考えですが、学びの領域から成長の領域に進められる人には、ある共通点があるのでは?という考えに至りました。それが「内省」です。

自らの思考や行動を振り返り、もっと違う考えや行動はなかったか?もっと良くしていくために何が必要か?といった問いを立てる。そんな内省ができる人は、どの領域においても、ブレることなく成長に向けて道を切り拓いていけると思うのです。

まだ抽象的でよくわかりませんよね?なので、もう少し詳しく説明していきます。

省みる時間、確保してますか?


自分を俯瞰して分析する「内省」

内省とは、誤解を恐れずに簡単に言うと「振り返り」です。「なぜ自分はこうしようと思ったのか?」「なぜこうしたのか?」と自らに問いかけ、分析することを指すと捉えていただければと。

僕が見る限り、学びを成長に繋げられる人は、現状の自分に何が足りないのかを日常的に自問自答している傾向にあると思います。良かったことは次に繋げ、悪かったことは改善を図る。内省によってトライ&エラーを重ね、自ら成長を促しているわけですね

どうして内省が成長に繋がるのかというと、内省によって「社会人の学び」ができるようになるからだと考えています。

比較する対象は「学生時代の学び」です。学生時代に求められる学びというものは、一般的には「正解を学ぶ」というものです。先生に教わったことを正解として身につけ、テストでは正解を示せれば評価されます。

この「学生時代の学び」を社会人になってビジネスシーンで取り入れようとすると、例えば営業の領域においては以下のような質問をすることになります。

「どうすれば営業活動がうまく行きますか?」
「何をしたらお客さんとの信頼関係が築けますか?」

一旦広めに僕の考えを聞きたい、という意図があってこのように聞いているのであればOKですが、逆質問をして「あなたはどう考えていますか?」と聞くと考えを述べられない人が散見されます。

この危うさ、皆さんわかりますか?
ビジネスにおいて正解はありません。明らかに非人道的や倫理に反することは不正解なこととして存在しますが、「これが正解だからこれをやれば良い」というものは(少なくとも営業の世界には)ありません。何故なら商売の世界には必ず売り手と買い手、そして競合が存在しています。自社のみならず買い手も競合も常に外部環境に合わせて変化し続けています。ある一瞬を切り取ってうまくいったことがこの先もうまくいくとは考えられないですよね。

この「正解を知りたい」という姿勢自体が、ビジネスにおける学び方として正さないといけない点だと考えています。

僕は、社会人に求められる学びの姿勢は、「自ら問いを立て、探求し、実行すること」が何よりも重要だと捉えています。正解を知るのではなく、自らの思考や行動を正解にする、という考え方に立つことがスタートです。

立てた問いに対して考えながら調べ、自分なりの仮説をつくります。そしてその仮説が確からしいのか実行しないとわかりません。実行したあとに「立てた問いの自分なりの考えはどうだったのか・改めるポイントは何か」といった振り返り(内省)をすることは次の「問い」に繋がります。問いの解像度が高まり、自らの行動を正解にしていく自発的なスタイルだと考えています。

こういう思考&行動プロセスを踏むことで、上司や先輩、外部の人たちに意見を求めたり壁打ちをしてもらう際に以下のような投げかけができるようになるでしょう。

「XXと考えて〇〇という活動をした結果、△△な状況になりました。この結果を見ると**ではないか?と考えているのですが、どう考えますか?」
という投げかけができるようになることで、より自身の活動を正解にしていくためのネクストステップが見えるようになってくると考えています。

尚、先ほどの「正解を教えて」の問いと比べると、より自身の思考と行動がアップデートされる状態になっていることがわかるのではないかと思います。

内省している人にアドバイスをすると、リアルにこんな反応が返ってきます


「危機感」の醸成が内省を促す

では、どうすれば内省できるのでしょうか?

僕は、「危機感」が、内省を促すのではないかと考えています。成長したい、もしくは成長しなければ、という意思は危機感を抱いてなければ生まれないのではないでしょうか。現状に満足し「コンフォートゾーン内にいればいいよね」と考えている人は成長しようとは思いません。

ただ、危機感を抱きましょう!と言われて抱けるものではないです。何に危機感を抱くのかは人それぞれで、上昇できない不安、コンプレックス、経済的な事情など人によって千差万別です。

危機感を抱いたきっかけは、同期や友人の昇進・転職の報告や、同世代でバリバリ稼ぐ経営者の活躍、ビジネス系インフルエンサーの発信、もしくは家庭環境や幼少期の体験といった原体験などが影響するなど、外部刺激であることが多いと捉えています。この危機感の一部は嫉妬心や劣等感等がその内部にあることも多分に考えられます。

これを読んだマネジメントの方へ。成長意欲が低い部下がいて悩んでいると言っても「じゃあ部下に外部刺激を与えて内省を促そう」と思うのは性急すぎます。
人の琴線に触れる「危機感を促す刺激」は表面化していなかったりします。劣等感やコンプレックス、幼い頃の辛い原体験がコアにある場合は特に、です。職場の他人に、そこまで深い話を本音で話してくれると思いますか?

マネージャー自身が経済的な欲求を満たすことに対して強い危機感を持つタイプだからといって、「今期の数字を達成しないと、次の昇給は厳しい」と部下に危機感を煽ったところで大して意味はありません。
その部下が現状の経済状態に満足しているのであれば、全く響かないどころか「金の話で煽ってくる上司」という目で見られるのがオチでしょう。職場での関係性にも支障が出かねません。

一度の刺激で危機感が生じる人もいれば、生じるまでに複数回の刺激が必要な人もいますが、一方的に外部から当人に対して刺激を与えるという構図ではなく、本人が能動的に刺激を得る環境や機会を作ることが重要だと考えています。

危機感を意識するための刺激とはいえ、何もギャーギャー煽るだけがすべてではありません。なかなか変化しない相手にイライラすることもあるでしょうが、強い言葉で発破をかける前に、「この相手に対して危機感を自覚してもらうためには本当にこのツボを押すことで良いのか?」という点を自問するようにしてください。この問いに明確にYESと言えないのであれば、逆効果のコミュニケーションになります。よかれと思って伝えた危機感醸成の話が、下手をするとハラスメントになったりします。

1on1ミーティングは、こういう「その人それぞれのツボ」を知るためにあるのではないでしょうか。案件レビューの時間になってませんか?



成長への4つのステップにおける「内省」と「危機感」の役割と位置付け

ここまでの話を整理すると、下の図のようになります。
十分な危機感とそれに伴う深い内省によって、怖れと学びの行き来を脱して、実行そして成長へと繋げることができる…ということを表しています。

我々は、「何かしていること」で満足したり安心してしまう生き物だと思っています。「ただ学んでいる状態」に対して「学んでいる自分は前進している」と捉え違えてしまうと、ことビジネスにおいては成長や成果創出には繋がりづらいと考えています。

とは言え、実行に移すことはある種の恐怖も伴います。実行は学びとは異なり、頭の中で自己完結できないため、何かしらアウトカムを伴います。時には「他者に否定される」リスクもあります。

新たな情報や知識をインプットし、実際に行動に移すことは現状維持からの脱却となり、現状変更をすることになります。現状維持はコンフォートゾーンに留まることになるので、文字通り快適です。
ただ、快適であると思っているだけで、実際は茹でガエルになってしまうということは歴史を振り返っても明らかです。大きな声で言いたくありませんが、我が国の「失われた30年」の原因の1つは、この茹でガエル状態になってしまったことが大きいと言えるのではないでしょうか。



ちなみに、先ほどの図をもう一歩引いてみると下図になります。危機感・内省ともに実は各ステップに存在していると考えています。

友人や同僚、SNSによる情報など、何らかの刺激をトリガーに、現状維持を望む「安心の領域」にいる自分自身が危機感を感じ、内省を経て、怖れの領域に進みます。
そして怖れからさらに危機感が強まり、深い内省を経て、学びの領域に進む。そして上述したように、さらなる危機感と内省が、成長へと繋いでいく。どの領域においても、危機感と内省が、次の領域に導いてくれる構造になると整理しています。

危機感や内省は自身をステップアップさせるための起爆剤となりえます。あまり気持ちの良い言葉ではないかもしれませんが、成長痛のようなポジティブな変化だと捉えるのが良いと思います。

誰でも、綺麗な花を咲かせられるんです

危機感と内省を自ら醸成するための2つの方法

最後に、危機感と内省を自ら醸成するために、今日から実行可能な2つの方法を紹介します。

つまるところ、成長するためには、自ら問いを立て、探求、実行を繰り返す、自走的なセルフコーチングができるようになれば良いのですが、そう簡単にできることではないので、まずはこのあたりから考えてみることをおすすめします。

方法1:マネージャーや、外部メンターに助言を仰ぐ

まず1つ目が、マネージャーや外部メンターに助言を仰ぐこと。
いきなり危機感や内省について考えても、モヤモヤだけして終わってしまいがちです。具体性のない曖昧な危機感では具体的な内省はなかなか難しいものです。

そこでシンプルにマネージャーや外部メンターに話を聞いて第三者からフィードバックを与えてもらいます。そして、フィードバックされた内容を内省し、現状を顧みてください。

周囲からのフィードバックは、すぐに実践できて、かつ危機感や内省に繋がる有力な刺激です。まずは検討してみると良いですね。

ただし、みなさんにお願いしたいことがあります。それは、前述した思考停止状態の「正解を求めるような受け身の質問」はしないように

具体的には「どうすれば良いですか?」という粒度の粗い質問ではなく、「〇〇だと思ったので、△△を試してみようと考えているのですが、どう思いますか?」というレベルまで問いを研磨してください。

こうすることでフィードバックする側も、より具体的かつ核心的なアドバイスがしやすいものです。ぜひお試しください。

方法2:「アンラーン」を実行する

アンラーン、つまり過去の成功体験や、今まで学んできたものをいったん忘れて、虚心坦懐に現状を振り返ってみませんか?という提案です。

アンラーンでは、かつては有益だった手法も、現状にそぐわないものは素直に手放します。そのうえで有益な知識はブラッシュアップし、必要なスキルを習得していく。まっさらな視点で自身の経験・知識を棚卸しして、整理するのが狙いです。

特に過去の成功体験には固執してしまいがちですが、ぜひアンラーンでアップデートしてみてください。

自分をアップデートさせる方法は過去のnoteでも綴っていますので参考に。

おわりに

長文、お疲れ様でした。
ここまで読んでくれたあなたに、問いかけたいことがあります。

いつ、マネージャーや、外部メンターに助言を仰ぎますか?
いつ、アンラーンについて考えてみようと思いますか?

「明日」「今度」「落ち着いたら」そう思った人は、一度胸に手を当てて考えてみてください。自分も変わらなくてはまずいぞという危機感、持てていますか?持てていない場合、自分は何がどうなると嬉しいのか、何がどうなると嫌なのか、そしてそれはなぜなのか、を自問してみましょう。

どういう時に胸がざわつくのか、どういう人の状態をみると羨ましく思うのか、妬んでしまうのか。その感情と大切に向き合うことで、自分が守りたいものや大事にしたいものが見えてくると思います。そしてその守りたいものや大事にしたいものを失うことが危機感に繋がっていくので、日々の忙しさからちょっと離れて自分自身と向き合う「内省」の時間を確保してみてください。

このnoteを読んでいるということは、その時点で「学びの領域」まで到達しているはずです。あとは学んだことを実行するだけで何かしらのアウトカムが得られ、それを元にまた問いを立てて探究する、という成長へのステップへ進んでいきます。

もう一度問います。

いつ、マネージャーや、外部メンターに助言を仰ぎますか?
いつ、アンラーンについて考えてみようと思いますか?

このnoteが、あなたの成長に向けて一歩踏み出すきっかけとなれば嬉しく思います。


参考図書↓


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