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一番のセルフケアは、回復魔法を”かけ合う”こと|サンプルワークショップ2020「出す。」開催レポート#2

2020年を振り返ったらどんな1年と言えそうですか?
家にいる時間を楽しんだり、普段考えないことをゆっくり考えてみたり、自分を省みる1年だった人が多いのではないでしょうか?
いつ、何からダメージを受けるか分からない今だからこそ、自分を守り、回復する手段を蓄えておくことが大切なのかもしれません。

2020年9月19日に、食を通じた養生法を提案している新田理恵さんに、「薬草と未来のセルフケア」というワークショップを開催していただきました。
「セルフケアは絶対誰かにしてもらった方が何十倍も効く」という新田さん。自分を見つめなおすだけでなく、他者との良い関係性の構築についてもヒントをもらえる時間となりました。その様子をご紹介します!

<書き手:松井周の標本室運営>

新田理恵(C)Jin Hayato

<ワークショップタイトル>
薬草と未来のセルフケア


<講師プロフィール>
新田理恵(にったりえ)さん 薬草師/TABEL株式会社 代表

管理栄養士であり国際薬膳調理師。食を古今東西の多角的視点からとらえ、料理とその周りにある関係や文化も一緒に提案し、地域の商品開発やレクチャーを行っている。
日本の在来植物•薬草を暮らしに取り入れるためのリサーチをはじめ、日本各地をつなげながら伝統茶ブランド{tabel}を2014年に立ち上げる。
2016年8月にTABEL株式会社へと法人化し、2018年より薬草大学NORMも開始!
写真:©Jin Hayato

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{tabel}はすの葉茶

実践① 自分を知る

まずは、自分の身体の状態や、向いている食材を知る時間。
早速QusnokiというAI食養生アプリで、今の自分の状態をチェックしました。

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Qusnoki:性格や味覚について質問に答えると、今の自分の状態を8タイプに分類して教えてくれます。
自分の体調や気分によって結果も変わるそうで、ワーク参加者のタイプも見事にバラバラでした。

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次に、タイプを踏まえて「陰」「陽」の考え方で摂るべき食材についてレクチャー頂きました。自分のタイプだと食べたらよいとされる食材と、好きな食材が一致している!という感想も。必要なものは身体が欲しくなるのかもしれません。

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食べることが大好きという新田さん。
「食」という字は人を良くすると書きます。食べることを通じて誰かを良くすることを届けたい、とお話されていました。

実践② セルフケアを考える

「健康とは、WHOの定義によれば、肉体的にも精神的にも社会的にも満たされていて、他者とダイナミックに関係しあえる状態であること。孤立していない、誰かと助け合える関係性を築けていることも、健康の一部です。」とお話する新田さん。

回復のための知識をインプットしたところで、いよいよ養生のための実践編です。
まず、自分の体質にキャッチコピーをつける。その上で、自分のケアの方法を以下の3種類に分けて考えてみました。

<セルフケアの種類>
1. お金も時間もかからないセルフケア (ex.深呼吸)
2. 15分~30分でできるセルフケア (ex.お風呂に入る)
3. しっかり時間をかけて行うセルフケア (ex.旅行に行く、資格を取る) 

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新田さんお手製の薬草クラフトコーラを頂きながら考えました!

思いついたセルフケアは、人によってさまざま。例えば「料理をすると回復する」と話す人がいる一方、他の人は「料理をしなきゃと思うとストレスが増えるだけ」だったり。
中には「ドタキャン」がセルフケアになるという人も。
自分の積み上げてきたものを解放してよいのだ…と癒されるそうです。

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「猫を探す」といった不確実要素の多いものがケアになる人もいれば、
「九九を唱える」といった確実な儀式がケアになる人も。

大事なのは、辛い時に回復のカードがたくさん手元にあること。このワークでも、人からシェアされた回復法のうち、自分にあいそうな回復法をどんどん取り入れていって欲しい」とお話されました。

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ここで休憩。
新田さん自ら淹れて下さった温かいはすの葉茶で、心を落ち着かせました。

実践③ セルフケアし合う?ペアインタビュー!

お茶とワークによって、会場の空気もほぐれてきたところで、最後はセルフケアを、どう生活に取り入れていくか?を考えます。

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他者との関係性も、セルフケアの重要なポイントです。そこで、はじめましての皆さんでペアを組んで、インタビューを行い合いました。

<インタビュー内容>
①「あなたが喜びを感じることは何ですか?」 同じ質問を3回
②「あなたが苦手なことは何ですか?」 同じ質問を3回
③「あなたが隠していることは何ですか?」 1回
④「あなたが隠そうとしていることをやめるとどうなりますか?」 1回

話を聞いた後に、相手のキャッチコピーをつけて下さい。

3回繰り返すのは、同じ質問を繰り返すと、本心が出てくるからだそう。「聞いて、ただ受け取る」ことを意識しながら、インタビューが始まりました。

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多分、秘密をうちあけ合っている皆さん

最後に、相手につけたキャッチコピーを発表します。
「自分の名前を変えることも、簡単にできるセルフケア」なのだそうです。

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「クールなラプンツェル」「残響の人」など、その人のぱっと見とは結び付かないキャッチコピーが次々飛び出します。
自分でつけるものよりポジティブであったり、つけてもらったことがお守りのような効果を果たしたり。インタビューを通じてその人だけが知っている話をもとにしている(秘密も聞いてしまっているし)からこその、「名づけ」の新鮮さがありました。

自分を少し好きになって帰る

参加者の感想でも多かったのが、「自分の事を知るだけでこんなにケアになるんだ」「他人からしてもらったほうが効くなんて考えたことが無かった」というもの。インタビューや、つけてもらったキャッチコピーから気づいていなかった自分が引き出されることがあります。自己理解にも、他人の力が必要だと感じました。

本当に疲れている時に自分で自分をケアしてもあんまり効かない。絶対誰かにケアしてもらったほうが効く。だからこそ、他者を慈しみあえる関係性も視野に入れながら回復し合える状況を作れたら」とお話された新田さん。

ワークショップ自体が、セルフケアになっているような感覚を覚えた3時間半でした。

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新田さん、ありがとうございました!

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「松井周の標本室」とは

松井周が主催する、スタディ・グループです。
芸術やカルチャーに興味のある、10代~80代で構成されており、
第1期(2020年度)の活動期間は2020年4月~2021年3月の1年間です。
標本室メンバー自身も「標本」であり、また、
標本室の活動を通しあらたな「標本」を発見していきます。

「標本」を意識することで世の中を少し違って目線で見たり、
好きなことを興味関心の赴くままに自由に話しあえる場を作りたい。

そんな思いのもと、テーマに応じたトークイベントやワークショップを開催し、ゆくゆくは演劇作品のクリエイションを行っていく予定です。

お問合せ先:hyohonshitsu@gmail.com


サポートは僕自身の活動や、「松井 周の標本室」の運営にあてられます。ありがとうございます。