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22歳からのポケモン入門

マセた子供だった。カッコつけて生きていた。
誰よりも本を読んでいた。そうすれば、かっこいい言葉が覚えられるから。
ニュースも見ていた。
本当は、流行っているアニメも見たかったけど、漫画も読みたかったけど。
子供っぽいような気がして、それらを足早に卒業した。

そのおかげである程度国語ができるようになったり、目をかけてもらえたような気がする。
でも反面にいくつかの事柄に、コンプレックスを抱いたまま大人になってしまったのも事実だった。
コナン、ワンピース、クレヨンしんちゃん、ジュエルペットに妖怪レストラン。
あの頃それらを子供っぽいと唾棄したせいで、みんなが懐かしいと盛り上がるたび、申し訳ないような苦しさを感じていた。

その際たる例がポケットモンスターだった。
私たちは(多分)ダイパ世代(?)に属していて、幼稚園から小学校までのあいだ、それはアニメという形で、カードという形で、ゲームという形で、何度だって登場した。
一匹のポケモンを扱う感動映画を毎夏しょこたんが宣伝していたし、マクドナルドにはDSを繋ぐ場所があった。あれってポケモンおそらく全盛期だったんじゃないか。
見たことのない私ですら、好きな男の子と仲良くなりたくてポケモンごっこに参加していたくらいだ。

けれど、ゲームもアニメもアニメ映画も、全部、私は避けていたから、そんな風に人づてにしか触れることはなかった。
心のどこかで、いいなあと思いながら。

そんな私が先月、人の誘いを受けて、突如としてポケットモンスターSVに手を出した。ちょっと浮いたお金ができたので、まあいいかくらいの気持ちで。

結論から言う。22歳からでもポケモンは間に合う。
皆がダイパ世代で、私だけSV世代だけど。全然間に合う。
と言うか、想像を超えたハマり方をして「周辺がパピモッチだらけのセルクルタウンと高レベルばかりのフリッジタウンだと後者の方が土地代や税金が安いんだろうな。」だとか「ベイクタウン周辺は土がいいのかな」みたいなことをずっと考えている。気持ち悪い。

けれど、初めのころしたんですか、と言うか今も、なんとなく知っているつもりでも衝撃のことが多かった。
そのことについて、大人になってから相棒を探すあなたのためにも書いておこうと思う。

ポケモンは倒すといなくなる

戦って倒したら仲間になると思っていた。違った。
体力を1でもいいから残した上で、ボールを投げないと仲間になってくれない。
逆に、戦わなくてもボールを投げたら仲間になってくれることもある。

ポケモンは数匹しか連れ歩けない

こ衝撃だった。手持ち数匹と、ボックスがあって、すぐに呼び出せたりレベルを上げられるのは「手持ち」の方だけだった。

初めの一匹だけを可愛がっちゃいけない。

22歳から始めたって御三家ではじめに選んだ一匹目はとてつもなく可愛い。
うちのホゲータは「がり」と言いう。

がりちゃんばかりを可愛がっていたら、がりちゃんのレベルはどんどん上がり、がりちゃんがひと吠えしたら、敵対ポケモンが一撃で倒れてしまうようになった。
けれどそう。前述したように瞬殺した場合は仲間になってくれないのです。

結果、がりちゃんと私は「一撃で死なない骨のある奴」を探す旅に出ることになり、その道中でより一層ムキムキになってしまい、
「がりちゃんと言うことを聞かない仲間たち」という悲しいパーティを組むことになった。

ポケモンは言うことを聞かない

「がりちゃんと言うことを聞かない仲間たち」がどうして出来上がったかと言うと、私(主人公)が未熟だと高レベルのポケモンはこちらの指示を無視するためです。実際、うちのヤドンは試合中ずっとボケ…としており、一切話を聞いてくれませんでした。初めはなぜかわからず、性格のせいだろうとヤドンを憎んでいました。

ポケモンマスターを目指してない

ポケモンマスターのこと、ゲームをしても何一つわからない。
サトシは何に憧れているのか、いまだにわからない。
地方が違うようなので、ローカルネタなのかもしれない。

繁殖が独特

メタモンを手持ちに入れてピクニックをしていたら、卵がバスケットの中に出現する。みんな卵生。イーブイも卵生。たまごっちみたいなお見合いとかはない。

ここからは、私が進化やキャラに関して驚いたことを書こうと思う。
これはある意味ネタバレなので、かつての私のようにいまだにポケモントレーナーになっていない人は読まないでください。

ミニリュウがカイリューになってしまったこと

あんなにすらっとした綺麗な水中の生き物が、なんとなく既に知っていたキャラに、しかもデカくて平成顔で、すぐ混乱して自傷するオレンジの生き物になってしまったことが本当に悲しかった。
けれど、すぐ混乱して自傷するのは、私がずっと「逆鱗」しかさせてなかったからだと知り、すぐにカイリューには謝罪した。
メンタルの落ち着いたカイリューは安心感があり、平成顔はもう愛おしい。

ヒトカゲがリザードンになってしまったこと

ミニリュウの件からもわかるのだが、なんとなく知っていたキャラがなんとなく知っていたキャラに進化すると、親しい人同士が付き合っていたのを後になって知って「いやいや!笑早く言ってくれればよかったのに笑水臭いな笑」と言ってる時と同じ気持ちになる。
ヒトカゲもリザードンになりますよと教えてくれなかったので、なぜか無性に悲しくなった。

リザードンとカイリューは同種のオスメスじゃなかったこと

と、上の二つを統合してこのことに気がついた。
逆に「え、なんだよお前ら付き合ってなかったのかよ笑」と気まずい思いをした。

パチリスは強くないこと

パチリスが何かの大会に優勝したニュースを知っていたので、パチリスは最強で、最強なのでアニメに出ていたと思っていた。捕まえた時に調子に乗っていた。
知人曰く「弱いから勝った時に話題になった」らしい。
確かにほっぺすりすりみたいな、愛嬌ゴリ押しみたいなことしかしてなかった気がする。

こんな一つ一つが、いちいち楽しい。
初めて知ることも、あの日知らなくて曖昧に笑ったことも、
全部が歪にでも保管されて、小さなコンプレックスが、斜に構えていた頃のかたちが、少しずつ融解していく気がする。

ポケモンfitがトレンド入りしていた。
どうやら小さなポケモンのぬいぐるみたちらしい。
ゲームのキャラのぬいぐるみ。
いつかの私が聞けば、子供っぽいと笑うかもしれないけれど。
でも、私はそんな斜に構えていた時よりもずっと、ずっと楽しくトレンドを眺めることができている。早くイッカネズミ出ないかなとか、がりちゃん欲しいな、とか。

あの時、なんとなく苦々しく眺めていたコンテンツも、冒険も、いつから始めたって遅くない。
子供っぽいと笑う方がずっと子供なことを、ようやく私は痛感している。

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