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妖怪は世界を平和にする⑤

約6年にわたり、「妖怪アートプロジェクト」なるものに携わってきた筆者が、これまでに得た知識や経験を基にたどり着いた一つの結論「妖怪は世界を平和にする」について連載形式で述べていきます。

YOKAISM(妖怪イズム)とは?

さて、お話しはまた妖怪にもどります。
これまで述べたように、妖怪はあくまでも「娯楽」であるということを強調したいのです。妖怪というものは、基本的には怖がって楽しむための存在です。ただし、怖いだけの存在だけではない、より多くの魅力があります。さらに妖怪は単なるキャラクターの集まりではなく、概念である、ということについてもお伝えしたいのです。

そして、そのような説明によって、私は妖怪的精神性・妖怪主義ともいうべき「YOKAISM(ヨウカイズム)」(=妖怪イズム)を提唱したいと思います。私はこの概念を「妖怪という娯楽」を通じて拡散・共有していくことが、世界平和につながると考えています。

なぜなら、このYOKAISMこそが、私が先に述べた妖怪の定義そのものなのです。

現代においても日本人が持っている独特の精神性であり
今もなお創り出されている文化
平和につながる心理的要素の核(コア)であり
世界規模での規範となり得る概念

そして、このYOKAISMがどんなものなのかについて、これから説明をしていきたいと思います。主に以下の四つの要素から成り立っています。

(1) 余暇:娯楽的であること
(2) 他者への寛容:多様性を認めること
(3) 自己内の寛容:不寛容にも寛容であること
(4) 平和:心が豊かで平和的であること

これらは、妖怪文化やその精神性を背景に持つ日本人に既に備わっている平和的な素養である、ということができます。これらのベースにあるもの、言い換えるなら、文化的な背景となるもの、それは多神教の精神性です。

多神教的な精神性は、古代より日本人に引き継がれていました。しかし、明治時代において、覇権を拡大する欧米列強に対抗するためには国民が一つの方向に進んでいく必要がありました。そのために導入されたのが国家神道であり、天皇はその頂点と定められました。そして、これとセットで国民の道徳観の基準となったのが「教育勅語」です。これらによって、一神教的な文化や価値観が導入され、これが戦後まで続きます。

太平洋戦争での敗戦後、日本国憲法が発布され、天皇は国民の総意に基づく象徴天皇となりました。そして時代は平成を経て令和の時代。今、妖怪の文化や古来からの精神性に、改めてスポットライトが当たっています。



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