コーチは発言に意図を持つ
先日の中学生クラスの練習で生まれたあるシーン。
練習最後のAT&DFでチームとしては意図を持ったプレーの中で、大外ラストフィニッシュまでというところである選手がボールファンブル。
その瞬間あるコーチが『集中〜!』と言ったところ、ファンブルした選手が『集中してます』と反応。
ミスを認めて「はい」と言う選手がほとんどですが、こういう反応する選手も稀にいます。
一瞬注意するか頭をよぎりましたが、コーチは『感情で決して否定してはいけない』と判断し、今回は特にそこに割って入ることはしませんでした。
よく考えてみれば注意すること自体間違っているように思うのです。
集中すれば、ボールが取れるなんて魔法はどこにもなくて、集中していてもミスは起きる時は起きる。
むしろ誰もミスしたくて、ミスしてるわけではないということを前提に考えれば、どうしたらミスが無くなるかを考える方がコーチとしてベター。
『集中』という言葉、コーチはよく使ってしまいますよね。特にミスが起きたとき、『集中しよ』ってとりあえず言ってしまうワードランキングでも上位にランクするでしょう。
『集中』とは色んな人が色んな意味付けができる、ある意味便利な言葉だと思います。
だからこそ、使い方には気をつけなくてはならない。
集中力を一言で説明すると「ひとつのことに意識を向けること」です。
フランスサッカー協会の指導教本には、
「選手に対して『集中』という言葉を使うのであれば、指導者は集中とは何かを知らなければいけない」
と書かれているとある記事で目にしました。
まさにこの時、コーチが発した『集中』という言葉に『意図』と『集中とは何か』を説明できるものがあったのか。
これが非常に大切だと思います。
その選手がどういう心理だったかは、正直わかりません。集中していたかどうかという見えないもので語るよりも、事実に対してフィードバックした方が建設的な解決に繋がる。
何かを始める前に『集中していこう』というスタートの声掛けはあったとしても、フィードバックとして『集中しよう』という言葉が適切なのかも考えなくてはなりません。
選手への声がけやフィードバックも『意図を持って伝える』こと。
言葉選びもコーチングにおいては大切なのは、どのコーチも理解していることかと思います。
正しい言葉を選ぶためにも『感情的』にならない。
本当に毎回の練習で何かしら考えさせられることがあるコーチングという分野は本当に奥深いです。
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