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振り回されないために「円の中心に近づく」

上司の考えが変わった。また指示が変わった。
プロジェクトマネージャーから方針が変わったと伝えられた。

それにより、

徹夜して準備した資料が無駄になった。
組んでいた施策が、結果を見る前にストップの判断がなされた。
巻き込んでいた人達に頭を下げないといけない。

などなど。

私たちは「振り回される」ことがあります。
あるいは「振り回されていると感じる」ことがあります。

それによってストレスを感じることもありますよね。

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もう10年近く前になると思います。
セールスフォース・ドットコムで仕事をしていた時、
「キャリア勉強会」という施策を展開していたことがありました。
日本法人の社長以下、エグゼクティブメンバー一人一人が、これまでのキャリアについて、失敗、成功談。大事にしてきたことなどを1時間かけて語るという、参加者からもとても人気のある社内セミナーでした。若手だけでなく多くのマネージャー陣も参加していました。

そこで、とあるエグゼクティブが話した言葉が今も心に残っています。

「振り回されるな。中心に近づけ」

組織や仕事は円を中心にぐるぐる回っている。円の中心から離れれば離れるほど、その遠心力を強く感じてしまう。振り回されていると感じることになる。それが嫌だから、中心に近づくように意識してきた。

という趣旨のメッセージだったと思います。
なるほど!と膝を打ったことを覚えています。

そして、中心に近づくことの手段や意味についても考えました。

そのエグゼクティブの様にプロモーション(昇進)を重ねて、大きな意思決定に関われるようになる、あるいは自分自身がプロジェクトリーダーになるという手段もあるでしょうが、私のその時の解釈は、「リスクをとって手を挙げる。プロジェクトに入る。意思決定者たちに近づく」というものでした。曖昧ではありますが、等級や立場によるもの(だけ)ではなくて、誰でも(自分にも)できることがあるな、と感じました。

それから10年が経過して、社会人として20年の時を過ごして、感じることがあります。多くの場合、朝令暮改を含めて、多くの「変更」は悪気があって行われることはまずない。より良い方向に向かってのオプション検討だったり、決断だったり。単なるアイデアだったり。毎日、多くの情報に触れ、意識的にインプットをしていると、当然の様に起こり得ることなんだと思います。むしろ断固たる決断として方針を決めるのが難しいものであればあるほど、起こり得るような気がします。それはどんな立場にいる方であってもそうなのではないでしょうか。

なお、相手の立場によって「指示」と「アイデア(や疑問の提示)」が(プロジェクトオーナーや現場に対して)は混在して聞こえてしまうことがある。これは少しやっかいで、特に上位層の発言が、「鶴の一声」と捉えられた際に、実は発した側も迷っている中で発言している、ということは良くある。これは鶴の周りにいる方の器量やその方との信頼関係に委ねられることが多い気がします。また、あまりにもオーガナイズされていないプロジェクト・仕事の進め方が前提となっている場合は別物です。

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円の中心に近づくと、仕事が増えることもあるでしょうし、責任を取らないといけなくなることもあるでしょう。それでも、中心(や今より一歩近づいた場所)から学べること、そこに足を踏み入れたからこそ知れること議論できることがあります。結果的に仕事が速く進んだり、自ら成長機会になったり、日々の仕事のストレスが減ったり。色々と良い効果も多いように思います。

これは社内で上司やプロジェクトメンバーとの話だけでなく、顧客との文脈でも起こり得る気がします。今だったら、リモートの頻度を減らして対面でコミュニケーションしてみる。オフィス(クライアント先含む)で仕事してみる、というものHowの一つかもしれません。

「振り回されてるなー」と感じたら「円の中心に近づいてみる」という話でした。

歳を重ねると、別のソリューションとして戦略的に「様子を見る」というのもありますが笑。

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