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消費者物価指数 3月分発表とその他経済指標から読み解く日本経済の現状

4月21日(金)、総務省より2023年3月分(2020年基準)の消費者物価指数(CPI)が発表されました。
結果は、全ての品目の動向を表す総合指数は104.4、前年同月比3.2%と上昇しました。
そして、最も注目されるコアコアCPIとも呼ばれる生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は103.2、前年同月比3.8%と上昇しました。
これは、値動きの激しい生鮮食品・外部環境に影響を受けるエネルギーを除いても物価がじわじわと上昇していることを表し、景気が徐々に上向いていることを示しています。

このコアコアCPIの上昇要因ですが、品目の内、先月に引き続き食料が前年同月比7.8%と高い上昇を見せました。
主な要因として、引き続き卵が高い水準のままであることが挙げられます。
これは、令和4年10月に発生した鳥インフルエンザの影響が大きく、採卵鶏全体の内、約10%に当たる採卵鶏を殺処分した結果、供給が不安定な状態がまだ続いているためのようです。

その他の品目で触れると、宿泊料ですが、前年同月比△0.6%だったものの、同月比は5.6%と上昇しました。

更に深掘りをしてみると、観光庁による2023年2月の宿泊旅行統計調査 日本人の宿泊者数は前年同月比49.4%と急上昇しています。
また、4月6日に旅行会社のJTBが、今年のゴールデンウィークの国内外の旅行者数がコロナ禍前の水準に戻るとの見通しを示しました。

全国旅行支援の影響もあり、旅行業界もコロナ禍前の状態に戻りつつあるようです。

為替を見ますと、ドル・円に関しては、現在大体1ドル130円台です。
一時期1ドル150円をつけていた状況を脱し安定してきており、ユーロ・円に関しても、現在上昇傾向ですが、大体140円台をキープしています。このことも海外旅行への需要増を後押しているものと思われます。

アメリカ・ユーロは、現在インフレを抑えるために金利が高い水準のため、通貨の流通量が減少している一方で、日本は金融緩和による通貨量増のため、円安ドル高、円安ユーロ高の傾向は強いままだと思いますが、今比較的為替は安定しているので、旅行業界そして航空業界にとっても追い風でしょう。

物価は上昇していますが、賃金はどうでしょうか。
厚生労働省は、4月21日(金)に毎月勤労統計調査 令和5年2月分結果確報を発表しました。
結果は、名目賃金は前年同月比0.8%の上昇、一方で実質賃金は前年同月比△2.9%でした。
賃金は上昇しているものの、まだ物価上昇に追いついていない状況が続いています。
国による賃上げ支援策が、大企業・中小企業に向けて行われていますが、まだ実質賃金上昇には時間がかかりそうです。

更に気になるのが、消費者のマインドですが、経済産業省が発表した2023年2月分商業動態統計確報によると、商業計の前年同月比は3.6%上昇、その内卸売業は前年同月比2.4%増、小売業は前年同月比7.3%増でした。
大手企業でみると、例えばイオンやユニクロ率いるファーストリテイリングは業績好調が報道されています。

以上を踏まえると、消費者の購買意欲はコロナ禍で落ち込んだ状態から脱却し、消費マインドが高まりつつあることが伺えます。

旅行による消費は、航空業界、鉄道業界、観光地域の経済活性化に繋がり、モノやサービスの消費は、卸売業、小売業、更には製造業にも好影響を与えますので、これが企業業績向上へと繋がるとともに賃上げにも一刻も早く繋がって欲しいものです。

日本経済の明るい兆しが見えつつあります。





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