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「ありがとう」という言葉にやりがいを求めてはいけない理由

*この記事は、AJグループ各社(アーキ・ジャパン、アクト・ジャパン、AJホールディングス)社員に向けた社長メッセージです。noteで #オープン社内報 として公開することで、社外の方にも当社の文化社風、大切にしている価値観、経営者の考え方などが少しでも伝われば幸いです。

他人から「ありがとう」と言われると嬉しいものですよね。今日は、私たち人材派遣の仕事において、この言葉を仕事のやりがいにしてしまうと途中で心が折れてしまうという話をします。

社会貢献度の高い仕事がしたい

当社に来てから30代未満の若い層の方々と面接をする機会がとても増えました。当社を志望してくださる方は皆、社会貢献意識が高く、中でも人材サービス業は雇用創出の観点からも社会貢献度が高いと認識しているようです。また、人に関わりたい、人に寄り添いたい、支えたいという気持ちを強くもっている方も多いですね。社員の皆さんの中にも同様の観点から当社を選んだ人は少なからずいるでしょう。

当社の社員の年齢構成も25歳~30歳が最も多く、(勝手に名前をつけてくくられるのも気分が悪いかもしれませんが)いわゆるミレニアル世代、Z世代と言われる世代です。

・モノの消費にお金を使わない
・デジタルネイティブである反面リアルなコミュニケーションが苦手
・多様な価値観を受け入れる
・社会貢献意識が高い

あくまで統計的にではありますがこのように特徴づけられることが多いですね。もちろん個人差はありますが、面接時の会話からも近しい価値観を持った方が多いように感じます。

正直私は学生時代に社会貢献につながる仕事がしたいとは思ったことはありませんでしたし、どんな仕事が格好いいか、次にくるブームは何かとどちらかというと自分本位で仕事を探していましたから素直に素晴らしいことだと思います。社会貢献活動を経験してこられた方に対して面接時に聞くようにしているのは、「どのような時にやりがいや達成感を感じましたか?」という質問。多くの方は、「ありがとう」と言われた時に、やってよかったとやりがいを感じると答えます。ただ、社会貢献と志すところが高い分、ゴールをどこ設定するかによって逆に疲弊しかねないなと感じます。

ダイバーシティ(多様性)を受け入れるって本当に難しい

縁あって当社に技術者として入社してこられる方々は本当に多種多様な特徴やバックグラウンドをお持ちです。学歴、職歴、健康状態、人間性、志向性、建設業で働くということへの興味ややる気、そもそも社会人としての仕事への意欲や姿勢などなど。まさにダイバーシティ(多様性)とはこのことだと感じます。

こちらが良いと思っていることが、必ずしも相手にとっても良いことではない場合もありますし、仕事に就く、キャリアを築くという観点からも自分と相手が同じ熱量・志向性をもっているとも限りません。ですから、技術者の要望に添った派遣先や仕事を必死に探して職場見学を設定しても、本人都合でのお断りが続いたり、配属3日で無断欠勤、そのまま来なくなってしまったりということもあります。結果として、努力の甲斐もむなしく「ありがとう」の言葉は得られず、やりがいも得られない。そんなことが続くと心が折れてしまいますよね。

それでも、私たちは彼らの意向を受け止めつつ、派遣先からの要望に沿ったサービスを提供していかなければならない。ダイバーシティを受け入れながら、ひとつの方向性に導いていくということに難しさを痛感します。

あなたにできるのは「自分の信じる最善の道を選ぶこと」

当社のミッションは「未来を創るひとづくり」
建設業界での未来創りを担う人を育て上げることであって、「ありがとう」と言ってもらうことでも感謝されることでもありません。技術者ひとりひとりに様々な考えや志向性がありますから、時にぶつかったり、がっかりさせられたり、お互い理解ができないこともあります。それでも、当社のミッションのために自分が正しいと思える行動を最後までとったかどうか、技術者が建設業で活躍できる人材になるために最後まで伴走することができたのかが大切なことです。

アドラー

アドラーの心理学をわかりやすく解説した書「嫌われる勇気」(岸見一郎著)の中の一文に

あなたにできるのは「自分の信じる最善の道を選ぶこと」、それだけです。その一方で、その選択について他者がどのような評価を下すのか。これは他者の課題であって、あなたにはどうにもできない話です。

とあります。また、

「あの人」の期待を満たすために生きてはいけない。

とも言っています。「ありがとう」という言葉を返してもらえることは嬉しいことですが、それがなかったら目的が達せられなかったのか、やってきたことに意味や価値がなかったのかと言われればそれは全く違います。両者の想いがぴったり合致することがなかったとしても、技術者と出会い、伴走することで、彼らの人生に何らかの影響を与えることはできたはず。それをひたすら繰り返すことによって、たとえ10人にひとりでも、100人にひとりでも、建設業界未経験者から未来創りに携わる人を生み出すことができたなら、それは大きな価値であり私たちは使命を十分に果たしていると言えます。

私たちの行動に対して技術者がどのように評価するか、それは他者の課題であって私たちがコントロールできることではありません。私たちにできること、それは私たちが信じる最善の道を前に進むことに他なりません。自信をもって前進していきましょう!

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