難聴という個性を授かって

いつも読んでいただき、ありがとうございます。Shuheiです。

福岡は本格的に寒さがやってきて、息抜きに散歩するときでさえ気合いを入れて歩いています。

そんな中、冷え性の方は頭が痛くなったり、眠気がとれない状態で1日を過ごすといった、軽視されがちで周りの理解が少ない症状もあるのではないかと心配しております。


今回は、同じように周りの理解が得にくい症状として、私が持っている難聴という個性についてまとめました。このトピックについては今後少しずつ発信していくので、徐々に知っていただけると嬉しいです。


はじめに

難聴とはどういうものか知ってますか?


皆さん、一度は難聴という言葉を聞いたことがあると思います。現在はイヤホンの普及によりどんどん身近になっています。そして実は私も難聴を持っている1人です。

難聴とは、ある音を正常に聞き取ることが困難になる症状です。先天性のもの(生まれた頃から持っている)と後天性のもの(ある年齢において現れる)があります。

ほとんどの音を拾えない方もいますし、部分的に聞きとることが難しい方もいます。高音が聞き取れない方も、低音が聞き取れない方もいます。

また、自分がその時にいる環境によっても大きく変わります。症状を聞かれても一概に説明できないのです。

例えば、居酒屋や複数人と会話する状況であったり、車の座席のように前と後ろでお互いの顔が見えないだけでかなり状況が変わってきます。

難聴は治らないのか

現在ではまだはっきりとした原因を調べる方法はありませんし、発症する根拠もわかりません。なので、症状を根本的に治すことや薬による治療も満足にはできないと言われています。

しかし内耳と呼ばれる部分を人工の内耳にすることや、補聴器の装用によって、ある程度は日常的な不便さを困らない状態に改善するといった手段はあります。

しかし、これらはあくまで「改善できる可能性」であり、「ある程度まで」と言うことを覚えていただけると幸いです。

つまり100%日常生活に支障がでないようにできるわけではありませんし、必ずしも正常な聴力に戻るわけでもありません。


私の難聴について

難聴の始まり

私の場合は後天性のもので、16歳の高校生の時に聴力検査で再検査になったのが始まりです。再検査になり、病院を推奨され、実際に病院にも行きました。しかし、検査の結果も問題なし。「ちょっと聞こえづらい音がありますねー。」で終わりました。

当時の生活に支障はなく、幸いにも家族や友人は声の大きな方ばかりでしたので自分の聴力が低いことは気にせずにいることができました。

その後、大学に通うことになりましたが、その時も、講義では資料を使っていましたので内容を理解するのに十分な環境でした。


、、ですが、大学1年生の時に私の耳にまたも大きな変化が訪れます。朝起きると、右の耳がほとんど聴こえなくなっていたのです。病院では、ストレス性の突発性難聴と診断されました。お医者さん曰く、一人暮らしを始め、友達も近くにいない中で多大なストレスがかかったんだろうと。。

この突発性難聴では、ステロイド等の処方はされず経過観察ということになりました。(後から調べたところ、このタイミングで適切な処置をすると大きく聴力が下がることを抑えることができるというデータがありました)

徐々に聴力は戻りましたが、以前の状態にまではいかず、この頃くらいから不便さを感じるようになりました。

例えば、3回以上聞き返しても聞き取れない。話し手が言ったことを確認したら全く見当違いで笑われる、天然と言われる(以前からそういった要素はありましたが、それまでは真剣な会話の時に言われたことはありません)と言った感じです。耳元でのささやき声も拾えません。耳鳴りも定期的に鳴り続けていました。


仕事をしている時にも、、、

大学を卒業してからも、法律の勉強をしながら飲食店での接客業を続けていましたが、毎日のように顔や口元を見ながら時間に追われる業務をすることでメンタルも頭も限界が近づいていました。私の場合は、持ち前のコミュニケーション能力を120%活かすことで毎日を乗り切っていました。(もちろんお客様、スタッフの理解もあってですが)


そして順調に信頼を築き、ワインソムリエとして重大なポジションを任された頃、ついに補聴器を購入する決心をしました。


補聴器を購入してからの苦悩

最初の補聴器は比較的廉価な15万円の補聴器を使いました。(当時の私にとってはとても大きな金額です)

しかし、換気扇や多方向からの音が多い飲食店ではほとんどたちうちできず、逆に頭が痛くなったのです。この時、補聴器でもダメなのかとガックリと落ち込んだのを覚えています。


それからは誰にも難聴に関する苦悩を相談できずに、日々1人で悩んでいました。それでも諦めずにこの壁を乗り越えようと必死にアイデアを考えては動く、の繰り返しでした。

ここで人を頼り、似たような症状を持っている方に相談すれば良かったのですが、毎日の試験勉強と仕事により心と時間に余裕がなく、1人で抱え込んでいました。(このことが今では大きな教訓となっています)

難聴を受け入れ、生活が変わった瞬間


そうしている内に、かなり高い最新型の補聴器を購入する機会がやってきました。思えば、これが一つの人生の転機だったと思います。

その補聴器を購入後、100%とまではいかないけれども、仕事でもプライベートでも非難聴者に近く生活ができるようになったのです。

日常生活が少し快適になったこともあり、このくらいの時期から、難聴というものを個性として認識できるようになりました

それからは難聴であったが故に得た能力や経験によってポジティブな気持ちと自信が生まれ、以前のように会話も流暢にできるようになりました。

それでも複数人での会話や電話は、場所によっては苦戦します。ちゃんと準備をしてからでないと不安で仕方がありません。


しかし私の難聴という個性によって、大きな目標が見つかり、周りの人々の暖かさにも気づくことができるようになり、人間として大きく成長する種を授かったのも事実です。

海外留学での挑戦


一昨年の冬のことです。私は難聴という個性を持って、海外留学に行って現地で働くという挑戦をしました。(海外留学についてはまた別の機会に詳しくまとめます)

この挑戦では、新しい言語を習得する上で難聴だからこそ極端に困難な場面が何度も何度もありました。

日本語で話す時も、レストランやパーティのような常に多方向から音がする環境には弱く、顔や口元を見ることなしに正確に音を判断することが難しいと感じていました。

そのこともあり、2人1組で一斉に話す授業では、ガヤガヤに相手の声がかき消されて全く音が拾えず、本当に苦痛でした。その時に自分の難聴の説明も英語ではろくにできなかったので、語学学校に行くのが億劫で仕方がなかったのを覚えています。

また、カナダで働いていた飲食店では、同僚が指示をする時に視線を合わせてくれないことも多々ありました。なので、通常業務に追われているけれども、同僚の近くまで寄り、「さっき何て言いましたか?」と聞く毎日でした。

難聴を説明する時は、それは英語が下手くそだからなのか、それとも難聴だからなのか自分でもよくわからなくなり、所詮全部言い訳だろうと考えるのをやめて自暴自棄になりかけたこともあります。

しかし、周りの支えが中心となり、それらを乗り越えることができて、今の自分があると確信しています。


では、この周りの支えとはどういうものだったのかを1つここで紹介します。

私が留学をしたカナダではホームパーティに参加する機会がたくさんありました。ここではやはり場を盛り上げるためにBGMを流します。

通常の聴力の方は、それほど音量が大きくない限りこのような場面では何も影響はありません。しかし私は音楽と話し声が重なって聞こえ、極端に高度な集中力を要します。つまり、単なるBGMとしてもガンガン音のなるクラブの中で話している感覚です。

しかし、その時に私のパートナーは、私が難聴であることをさりげなく他の人に伝えてくれたり、ところどころで「大丈夫?頭きつくない?」と細かい気遣いをしてくれました。

私自身は周りに遠慮してしまいがちで、はっきりと伝えることが苦手です。聞き取りが難しい状況だと「言わなきゃ、言わなきゃ」とプレッシャーをいつも感じています。

その時も「せっかく主催してくれているから、言うのは我慢して乗り切ろうかな」と考えていました。

なので、そういう優しい気遣いが私の気持ちにどれだけの救いを与えてくれたか計り知れません

そういった出来事や周りの助けを経て、無事に海外留学を果たすという夢の一つを叶えました。それらの経験によって、難聴という個性を授かったことに意味があると思い、日々を生きています。

なので、難聴や視力等の身体的な事情で挑戦することをためらってほしくありません

難聴であれば私も多少の理解はありますし、苦手な分野でのサポートもできると考えています。

そういった状況に寄り添って、挑戦する心を応援したい。そして、そういった個性を持っている人にしかできないことを一緒に作り上げたいと思います。

まだまだ手話や点字はおぼつかないですが、それらも何かの助けになれるのではないかと思い、少しずつ学んでいます。

小さな支えかもしれませんが、私自身が誰かの大きな一歩の糧になれるようにこれからも努力を続けます。

私自身も新しい挑戦の度に悔しいことや惨めな思いをすると思いますが、そんな時も私の個性の一部として、理解を得てもらう努力を続けていこうと思います。


最後になりますが、、

この記事が少しでも難聴や、それに類する理解のされにくい症状を持った方のためになることを願います。


そして難聴であっても、視力に自信がなくても、自分でお仕事を作っていきたい方は、お気軽にご相談ください(^ ^)


かなり長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございます!


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