世界一わかりにくい算数(小学校1年_数と計算編)

0.始めに

私は算数というものは、全ての理系学問の基礎となる非常に重要なものだと思います。
そのためどういったことをどういった観点で教育したほうがよいか、海外のサイトを参考に考えてみようと思いました。
また大人が実践的に活かすために、子供のころは省かれていたり、伝わりづらかった部分を含め、別の目線で学びなおすことができないかと考えてこの記事を書いてみました。
一読してみてもらえると嬉しいです。


1.日本のカリキュラム

 日本のカリキュラムは整理すると次のようになります。
(以下のサイトを参考にしています。)

内容を私なりにまとめると以下のようになります。

(A.数と計算)
ものの個数や順序に数を対応させることができる。
数の大小関係を理解し、数直線で表したりできる。
1の位、10の位、100の位を理解し、数を表現できるようにする。
1桁の足し算、引き算、簡単な2桁の足し算、引き算もできるようになる。

2.米国のカリキュラム

 世界大学ランキングで上位を占める大学が多い米国を参考にします。
ソースはカーンアカデミーを参考にしています。

Early math review 段階を参考にしています。

1)数える
・数の表現(0-110)
・数を数える
・数の大小
2)足し算と引き算
・どういった表現を足し算にすべきか、引き算にすべきか
3)桁
・百の位、10の位、1の位
・不等号(>,<,=)
4)20までの足し算と引き算
5)100までの足し算と引き算
6)1000までの足し算と引き算

気づいた点は、文章題を多く練習しているという点です。足し算や引き算という数の世界と現実世界とのリンクを常に意識するためには大切なことだと思います。
日本だと計算練習が多いイメージなので、この辺りのバランスは意識すべきかと思います。
ただ AI の進化で計算能力はあまり必要ではないという意見もあると思いますが、私は依然として概算を計算する位の力は必要だろうと思います。

以前、Amazonのサイトで買い物をした際に、誤って商品を2つ購入しそうになったことがあります。そこで何かおかしいなと感じることができたのは、ある程度の計算能力があるからです。
プログラミングの演算では計算を間違えることはほとんどありませんが、私たちが入力をミスすることは度々発生します。
そのミスに気付くためにもある程度の計算能力が必要になると思います。

3.理解と社会的実践

(1)たくさんでは困る=数と数字

昔々、海に面した数字がない村がありました。
そこには魚を取りに行くチームと貝を取るチームがありました。
ある日、魚を取るチームの連絡係が「たくさん」魚が取れたと言いました。
そのため貝を取るチームは今日は服を作ることに専念しました。

帰ってきた魚を取るチームは5匹の魚を持って帰ってきました。
普段は2匹程度なので、いつもより「たくさん」取れたことになります。
ところが村人は20人いるので、全然足りません。そこで貝を取るチームはしぶしぶ貝を取ろうとしましたが、もう夜になっていて貝を取りにいくことはできませんでした。

上の話は私が適当に作った話です。ですが数を伝えることができないということは、「具体的な状況の把握」が非常に難しくなるだろうということはこの作り話からも容易に想像できると思います。
そのため人類はかなり昔から数をつたえるということをやっていました。
この数を表現したものを「数字」といいます。

「数」と「数字」は別のものとなります。
(星の個数)である「数」は変わらないのですが、「数字」は表現方法によって色々変化することが分かると思います。

数と数字

(2)「数える」と「測る」

上の図の(星の個数)は「数える」ことによって「数字」で表すことができます。
棒の長さは、目盛りのある定規で「測る」ことによって「数字」であらわすことができます。
世の中に「数」は溢れています。その対象に意識をもって「数える」、「測る」といった行為を行うことで初めて「数字」にすることができるわけです。

算数の問題を解く場合は出題されにくいのですが、現実問題に向かう時、難しい問題が2つあります。
(1)あなたが考えたい問題とは関係ない数字が存在します。
(例)動物園にキジが3羽、ニワトリが5羽、飼育員さんが3人いるとします。餌の量を計算するときに飼育員さんの人数は関係ありません。
(2)考えたい問題のキーとなる数を数えていなかったり、測ったりしていない可能性があります。
(例)今日は子供の誕生日です。友達1人につき小分けされたケーキを一つ買っていこうと思いました。ところが何人来るか全く知りませんでした。

大切なことは必要な数が何かを考え、数えたり測ったりする必要があるということと、今自分が考えたい問題と関係ない数字は排除する必要があるということです。

(3)数字でたくさんを表す

〇 数字は数えようとしている対象が無い状態である「0」から「1,2,3,4,5,6,7,8,9」と数字が増えていきます。
この次の数からは左に数字の「1」を書いて、「9」は「0」に戻ります。
「10」と表現されますが、左の「1」の部分を十の位と呼び、右の「0」の部分を0の位と呼びます。
「99」までいくと、この次の数は左に数字の「1」を書いて、十の位の「9」と一の位の「9」は「0」に戻り、「100」と表現されます。
この「1」の数字に書いてある箇所を百の位と表現します。
これらの位という考え方と「0~9」の数を使うことでどこまでも「たくさん」を表すことができます。

[算数の問題]
(1) □にあてはまる数字を答えてください。
 0, 1, 2, 3, 4, □, 6, □, 8, 9
10,11,□,13,14,15,□,17,□,19
20,21…..
90,□,92,□,94,95,96,□,□,99
100
(答え)
5 , 7, 12, 16, 18, 91, 93, 97, 98

数を数えるときは5個や10個で一つの固まりで考えると数えやすくなります。5個の固まりは、2つで10個になります。

(2) 次の数を答えてください。


丸の数

(答え)
27

〇 直線状に数を表したものとして数直線というものがあります。
数を見て捉えることができるので非常に便利なものです。
数直線は右になるほど数が大きくなっています。
また数の大小関係を示す不等号(<,=,>)というものがあります。
それぞれ(小さい数)<(大きい数)、(同じ数)=(同じ数)、
(大きい数)>(小さい数)となります。
記号の開いている方が大きいとみると見やすくなると思います。
(例)5<7, 5=5, 5>3

数直線

[算数の問題]
(1) 4と8はどっちが大きいでしょうか。数直線を見て考えてください。また不等号で4と8の関係性を表してください。
(答え)
8は4より右にあるので、8の方が大きいことが分かります。
不等号で示すと、4<8 または 8>4 と表せます。

(4)「数える」ことと1対1の対応

世の中には数えにくいものがたくさん存在します。例えば動いているものを数えようとすると、数えたものが移動する等していくつまで数えていたか分かりにくくなります。
このような状況で数えやすいものと「1対1」に対応させて、その数を数えるという方法があります。

動物園でペンギンの数を数えるより、ペンギン1頭につきタグをつけて、そのタグを数えるという方法の方がやりやすいでしょう。
社員の数を数えるより、社員IDから計算するほうが実践的でしょう。
このようにみると広く社会において意識的、無意識的に用いられている考え方であることが分かると思います。

[社会実践問題]
あなたはある山を所有しています。ある一定の範囲にある木の数を数えたいとします。数えてみたのですが、どの木も似ているため数えるのが大変なことが分かりました。どのように数えるのがよいでしょうか。

[答え]
色々な答えがあると思いますが、リボンや紐を木に巻くという方法が考えられます。全て付け終わったことを確認して、リボンの数を数えると(リボンの数)=(木の数)となり、木の本数を求めることができます。
またはもともとのリボンの数を把握していると、残ったリボンの数から木の数を求めることができます。

[算数の問題]
(1) 下の図の〇の数を数えてください。


問題

(答え)
綺麗に並んでいるものでなくても数えることができる必要があります。自分の手元で何か別のものを並べてその数を数えたり、数えたらチェックしたりする等工夫して数えられるようになるといいと思います。
また〇以外の図形は数えないということに注意を払う必要があります。
答えとしては、〇は6個です。

(5)数の操作(足し算と引き算)

〇 基本的な考え方
ある数に他の数を足して合計を求める計算を足し算と言います。
例えば4 (白いブロック)に3(青いブロック)を足す場合、
個数で考えると 1 2 3 4 5 6 7 で 7 となり、
数直線で考えると 4から3つ進むので、5,6,7 で 7 となることが分かると思います。
4+3=7 と表記されます。
また 531 といった数を 531=500+30+1 と足し算で表現することができます。


足し算(4+3=7)

ある数から他の数を引いて残りの数を求める計算を引き算といいます。
例えば7 から 3 を引く(取り去る)場合、
個数で考えると 1 2 3 4で 4 となり、
数直線で考えると 7 から3つ戻るので、6,5,4 で 4 となることが分かると思います。
7-3=4 となりますが、これは 7 を 4 と 3 に分解できるということも示しています。

引き算(7-3=4)

〇 引き算ができるようになるために
まずは1桁の足し算になれることだと思います。(指を使うと脳の活性化も起きるので、急いで指を使うことから脱却するようにしなくてもよいでしょう。)
そして□+3=7 のような計算をしてみます。これは 3 に何を足したら 7 になるだろうということを考える練習です。
始めの内はこの□に色々な数を入れていくことになると思いますが、それで慣れていく必要があると思います。
そしてこの□が 4 だと分かると、7 は 4 と 3 に分解できるということが分かります。
したがって 7-3 は、7が 4 と 3 に分解でき、3 を取り除いているので 4 が答えだと考えることができるようになります。

[算数の問題]
以下の□を求めてください。
(1) 7+5=□
(答え)
7+5=(5+2)+5=(5+5)+2=10+2=12
<1桁の計算に慣れている場合は、この計算過程は不要です。>

(2)□+2=8
(答え)3,4,5 と頭で試し、6 であることが分かると思います

(3)4-□=1   1+□=4
(答え)3

(4) 7 は 4 よりいくつ大きいか、小さいか答えてください。
(答え)数直線で考えてもいいですが、7の方が大きいです。
したがって 4 +□=7 となり、□は3となります。
よって 4 を 3 進めると7になることが分かります。
そのため 「7 は 4 より 3 大きい」が回答となります。

〇 より複雑な計算をするために
2桁以上の数を計算したり、3つ、4つと足し算や引き算を行うときは数を計算しやすい値に分解することをお勧めします。

- 足し算(1桁の数、2桁の数でそれぞれ分けると、桁数は異なりますが、1桁の足し算と同じ計算に落とし込むことができます。)
(例) 17+35=(10+7)+(30+5)=(10+30)+(5+7)=40+12=52

-引き算(引く数より少し大きい切りのいい数と分解すると計算しやすくなります)
(例) 79-41=(29+50)-41=29+(50-41)=29+9=20+(9+9)=20+18=38
 41は45か50という数が計算しやすいので、79 を 50 と 29 に分けました。

[算数の問題]
(1) 以下の□を求めてください。
53+13-71+29=□
(答え)
先に足しても後に足しても答えは変わらないのでまず足し算をしてみます。
53+13-71+29=53+13+29-71=(50+3)+(10+3)+29-71=(50+10)+(3+3)+29-71
 =60+6+29-71=(60+6)+(20+9)-71=(60+20)+(6+9)-71=80+15-71
 =95-71=(15+80)-71=15+(80-71)=15+9=24

慣れればもっと途中の式を書かなくて済むようになりますが、上手く数を分けるということが計算を上手くやるコツとなります。

〇 足し算と引き算の関係性を整理して、難しいときは足し算で関係性を捉えられるようにすることをお勧めします。
まずは以下のような問題を解いてみましょう。足し算か引き算か考えやすい問題です。

[算数の問題]
(1) クッキーを4個持っていて、更に5個クッキーをもらいました。今、全部で何個クッキーをもっているでしょう。
(答え)
4+5=9   答え 9 個

(2) 目の前に 9 匹のチョウがいます。4匹飛び去りました。今、目の前に何匹のチョウがいるでしょう。
(答え)
9-4=5  答え 5匹

この問題は比較的簡単だと思いますが、苦戦した場合は
(問題文:現実)=>(必要な数の特定と計算:数の世界)=>(答え:現実)
のどこで苦戦しているか特定する必要があると思います。

ただ問題の中には足し算か引き算か考えにくいものが存在します。そう言ったときにはまず足し算の関係性を見つけることをお勧めします。
例えばクッキーが7枚あり、A君とB君に分けるとします。その時、
(A君に分けたクッキー)+(B君に分けたクッキー)=(クッキーの全体:7個)
という関係が成立します。
そこで A 君にクッキーを4つ分けたとします。すると 4+□=7 となり、これは 7が 4と何に分解できるかという引き算の問題になることが分かります。
したがって 7-4=3 がB君に分けるクッキーの枚数となります。

なぜ足し算の関係性を見つけたほうがよいかというと、足し算は数を逆にしても変わらないので、1つ関係性を見つければよいからです。
例えば 3+4 と 4+3 は等しいです。そのため以下の関係性は、(B君に分けたクッキー)を先にしたとしても意味は変わらないので、この関係性だけ考えればよいということになります。
(A君に分けたクッキー)+(B君に分けたクッキー)=(クッキーの全体:7個)
対して引き算の場合、逆にすると答えは変わります(7-3 と 3-7 )
 A君に分けたクッキーを求めたい場合、B君に分けたクッキーを求めたい場合でそれぞれ別に考える必要があります。
(A君に分けたクッキー)=(クッキーの全体:7個)-(B君に分けたクッキー)
(B君に分けたクッキー)=(クッキーの全体:7個)-(A君に分けたクッキー)

具体例を見てもらいたいと思います。

[算数の問題]
(1) Aさんは金魚を飼っていました。新しい水槽を買ったのでそこに移し替えようと思います。新しい水槽に18匹移しました。元の水槽には20匹いました。Aさんは元々何匹金魚を飼っていたでしょう。
(答え)
ここで足し算の関係性を見つけます。
(新しい水槽の金魚の数)+(元の水槽の金魚の数)=(Aさんの飼っている金魚の数)
したがって 18+20=38 答え 38 匹

(2) 25 匹のサルがいます。10匹は木の上に、5匹はタイヤの上にいて、残りは木の下にいます。木の下にいるサルは何匹でしょうか。
(答え)
足し算の関係性を見つけます。
(木の上)+(タイヤの上)+(木の下)=(すべてのサル)
したがって 10+5+□=25 これは 15+□=25 となります。
25 は 15 と何に分解できるかということなので、引き算を行います。
25-15=(5+20)-15=5+(20-15)=10 答え 10 匹

足し算で関係性をまず捉えるとどのように計算すべきか考えやすくなると思います。

[社会実践問題]
あなたはある山を所有しています。リボンを木の一本ずつに括り付け、木の数を数えることとしました。最初リボンは500本用意して、括り付け作業が完了したとき、110本リボンが残っていることを確認しました。
木は何本あったでしょうか。

[答え]
まず木とリボンが1対1で対応していることが分かります。そのため
(木の本数)=(括り付けたリボンの本数) となります。
次に足し算の関係性を見つけます。
(残ったリボンの本数)+(括り付けたリボンの本数)=(用意したリボンの本数)
110+□=500 となりますので、500 は 110 と何に分解できるか考える必要があることが分かるので、引き算を行えばよいことが分かります。
500-110=(300+200)-110=300+(200-110)=300+90=390 
括り付けたリボンの本数は 390 本なので木の本数も 390 本になります。










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