_輝ける人民党_襲撃事件

「輝ける人民党」襲撃事件

その男は不思議な男だった。

男と会話をする。するとそれだけで、男のことをまるで長年の知己のように感じ始めてしまう。男に見つめられる。すると誰もが「私は彼のために何ができるのか」と考え始める。天性のカリスマ…多くの人は彼のことをそのようなものだと考えていた。

「輝ける人民党総裁、王神カズヤ先生です!」

アナウンスに街頭を埋め尽くす聴衆がどよめく。来たる総選挙で台風の目になりつつある「輝ける人民党」。その総裁、王神カズヤは今や圧倒的な知名度を誇りつつあった。

王神は静かに聴衆に語り掛けた。

「…皆さん。人の幸せとはなんでしょうか」

その言葉から始まった王神の演説は、まさに神がかったものだった。次第に演説は熱を帯びていく。熱狂する聴衆。街頭がごうっと揺れる。

その様子を冷ややかに見つめる男と女。

「ねぇ、本当にやるの?」

男は一呼吸おいて応えた。

「…あぁ。俺は奴と決着をつける…今度こそあの魔術師の息の根を止める」

【「呪的襲撃計画」に続く】


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