【ITの教科書】1-3. 知的財産・個人情報 - 情報I 情報の特性と問題解決
知的財産権
知的財産権
知的財産権とは、人間の幅広い知的創造活動の成果について、その創作者に一定期間の権利保護を与えるようにした制度です。知的財産権は、申請の必要な産業に関する産業財産権と、申請の必要がない文化や芸術に関する著作権に大きく分けられます。
著作権
著作権とは、著作者に与えられる、自分の創造したものを他人に勝手に複製されたり利用されたりしないための権利です。
著作権法は、数年に一度の頻度で改正されています。最新の情報は、文化庁のWebサイトで調べることができます。また、公益社団法人著作権情報センターでも、著作権Q&Aを公開しています。このようなサイトを利用して最新の情報を確認し、知らぬ間に著作権を侵害してしまうことのないよう、著作権についてよく理解していく必要があります。
産業財産権
特許権・実用新案権・意匠権・商標権を総称して産業財産権と言います。これらは、特許庁に出願し登録することで権利が発生します。産業財産権の申請者は、自身の考案した新しい技術やデザインなどを独占的に使用できる権利が与えられ、他者による模倣から保護されます。また特性上、商標権は更新が可能となっています。
個人情報
個人情報
2003年に成立した「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)では、個人情報を以下のように定義しています。
「生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などによって特定の個人を識別できるもの(他の情報と照合することで簡単に個人を特定できるものも含む)、または個人識別符号が含まれるもの。」
個人情報の例
マイナンバーやパスポート番号などの個人識別符号が個人情報の代表的な例です。同姓同名がいない場合は、氏名がわかれば個人を特定することができ、DNA・虹彩・指紋・声紋などの生体情報も個人を識別するものとして扱われます。
個人情報保護の歴史
個人情報保護の先駆けとしては、19世紀末にサミュエル・D・ウォーレンスとルイス・D・ブランダイスが「一人にしておいてもらう権利」として主張した「プライバシーの権利」があります。
また、現在の個人情報の扱いの考え方の基本となっているのは、1976年にアラン・ウェスティン博士が著書の中で述べた「自己に関する情報をコントロールする権利」であると考えられています。
OECDプライバシー8原則
OECD(経済協力開発機構)では、OECDプライバシー8原則と呼ばれる「プライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドライン」を理事会によるプライバシーの勧告として公表しました。OECDプライバシー8原則は以下の8項目になります。
収集制限の原則
データ内容の原則
目的明確化の原則
利用制限の原則
安全保護の原則
公開の原則
個人参加の原則
責任の原則
日本では、この勧告を受けて2003年に個人情報保護法が成立し、2005年に全面施行されました。また、2015年の改正の際に「3年ごとの見直し規定」が設けられました。
個人情報保護のための権利
企業や行政機関は、個人情報保護法により定められた個人情報の扱いが義務付けられています。私たちは、個人情報を持つ企業や行政機関に対して、開示・訂正・利用停止等を求める権利が保障されています。
SNSでの発信
最近は、SNS等で自分の情報を簡単に発信することができます。公開する情報、非公開にする情報などについて、その影響も考えて適切に管理することが大切です。自分自身が情報を発信しなくても、知人の投稿で自分が一緒にいたことが書かれている場合もあります。
また、このような断片的な情報を検索して組み合わせることで、本人の名前や住所などの個人情報、趣味・嗜好などがわかってしまう場合もあります。
個人情報の扱い方
個人情報の提供
個人情報は自分でコントロールしていくものであるため、本人の同意なく、保有している個人情報データを第三者に提供したり提供されたりしてはいけません。企業などの組織でも、グループ会社や子会社への提供は第三者への提供にあたります。そのような情報提供が必要な場合には、原則としてあらかじめ本人の同意を得なければなりません。
個人情報提供の例外
ただし、次のような場合は、例外的に本人の同意を得なくても個人情報を提供することができます。
法令に基づく場合(例:警察、裁判所、税務署等からの照会)
人の生命・身体・財産の保護に必要(本人同意取得が困難)
公衆衛生・児童の健全育成に必要(本人同意取得が困難)
国の機関等の法令の定める事務への協力(例:国や地方公共団体の統計調査等への回答)
委託、事業承継、共同利用
出典:「個人情報保護法ハンドブック」(個人情報保護委員会)
匿名加工情報
個人情報保護の一方、個人情報を活用することで新しい便利なサービスが登場することにも期待があります。2015年の改正では、個人を特定できないように適切な加工を施した匿名加工情報であれば、本人の同意を得ずにデータの受け渡しが可能となりました。
匿名加工情報の活用には例として以下のような効果が期待されています。
ポイントカードの購買履歴や交通系ICカードの乗降履歴等を複数の事業者間で分野横断的に利活用することにより、新たなサービスやイノベーションを生み出す可能性
医療機関が保有する医療情報を活用した創薬・臨床分野の発展や、カーナビ等から収集される走行位置履歴等のプローブ情報を活用したより精緻な渋滞予測や天候情報の提供等により、国民生活全体の質の向上に寄与する可能性
出典:「匿名加工情報」(個人情報保護委員会)
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