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男性カップルで「里親体験発表会」にいってみた&感想

ボコさん(パートナー)と「里親体験発表会」に行った。

これは、都で毎年の里親月間中に市区町村ごとで行われる、生の声を聞く会である。


東京都ホームページより)


初めての里親体験発表会へ~男2人で

ボコさんの重い腰を叩き(びびり)、気になる市区町村を選んで「体験発表会」へ行った。※そこは事前予約不要だった

公民館の会議室のドアを開けると、40人以上(参加者)がぎゅうぎゅうにつまっていた。

(思ったより、盛況だぁ)

大衆に男2人は目立たず、ボコさんもホッとして着席した。

体験発表会での知識アップデート

目の前には、里親さんと里子さん。

体験記を30分くらい。
親子のエピソードは、ほっこりするものや葛藤、感動するもの様々。
お2人の表情を見る。素敵な表情。長い人生、ここで語りつくせない色々な事があったんだろう。

里親さんが「実親の所在が不明で、児童相談所に引き離されるリスクは一切ない子でした。ほかの里親さんより恵まれていた」と語った。

他にも、ルーツを外国にもつ里子さんがいたり、社会情勢により、色々なケースがあると感じた。

ふつうに親子の歴史を聞くみたいな(感動)


体験発表会は終わり~そして不安も

さて、体験発表会と、その後の質疑応答タイムも終わり、参加者はぞろぞろとかえっていく。
主催者が「個別相談」を促すも、参加者はみな帰ってしまった。

・・・個別相談、どうしよう・・・

実は、最後の質疑応答タイムで主催者から「単身者は里親ムリ」という回答があった。

実は、厚生労働省では「単身、LGBTも里親に迎えるように」との公の通達があり、先の回答と矛盾する。(下図、参照)


【画像元】里親希望者が単身、共働き、LGBT等である場合の取り扱いについて(厚生労働省)

・・・もしかしたら、まだ現場へ浸透してないのかもしれない・・・

ボコさんに目くばせする。

ゆき「お願いします」
ボコ「お願いします」

個別相談で伺ってみることにした。


男2人で個別相談~ちょっと安堵

対応者は、20代と思われる方がお1人だった。

スタッフさん達にお客様のように扱われる。
ホワイトボードをパーティションにして、笑顔でどうぞと招き入れてもらえた。



「里親体験発表会」にいるスタッフさん達は、児童相談所の方と思っていたが、実は、自治体から委託された「NPO法人」だった。調べると、このNPO法人は、東京のほかに、大阪、千葉、福岡も受託されており、”フォスタリング業務” を担っているようだった。

つまり、里親とのマッチング、今回のような広報、里親教育を指す。

フォスタリング業務
里親の広報・リクルート及びアセスメント、里親登録前後及び委託後における里親に対する研修、子どもと里親家庭のマッチング、子どもの里親委託中における里親養育への支援、里親委託措置解除後における支援に至るまで
~(中略)~児童福祉法第11条第1項第2号トに掲げる業務に相当する。 

令和5年度 里親養育包括支援(フォスタリング)機関人材育成事業に係る公募について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)


同性カップルと伝え、相談をした。

門前払いかもと思ったが、丁寧で真摯な対応が嬉しかった。
(会話の詳細は文末参照)

要約すると、相談への回答はこんな感じ。

  • 同性カップルはもちろん里親になれる。長期の里子を預かった実績もある

  • 現状、同性カップルに未就学児の里子を預けるのはたぶん無い(子供の理解が難しい年齢+児相のサポート体制の課題)

  • 同性カップルであることをオープンにしないと、里親であることすらオープンにしずらいため、制度利用は厳しいかも

「不安が残れば、毎月開催の個別相談会もどうぞ。」と、優しく教えてくれた。

※回答内容はこの自治体のもので、全部がこうとは限らないです(と思う)


これからの僕ら

実は、このような境遇の僕らでは、と諦める前提で参加した「里親体験発表会」。

帰り道、ラーメン屋に立ち寄り、湯気立つラーメンをすすりながら、ボコさんが今日を振り返る。

ボコさん
「もし、近所の人たちが同性カップルを受け入れてくれる人たちだったら、オープンにできるし、里子を育てられるかもね」

消極的だったボコさんが言った、優しい言葉だった。

今回参加した開催場所は、僕らが終の居住とする候補の市区町村だ。

里子について触れて知識が深まった。それだけでも、意味があった。

最後に思うこと

現状、児童相談所は、なりて不足&人手不足で、業務も多忙だと聞く。
今回のように、NPO法人が一部を担っているのが、その表れだろう。

今の児童相談所のマンパワーでは、僕らのような「新しいケース」を対応する余力は無いように思った。

・・・今の僕らだけでは、力不足な気がする。

あと10年もすれば、同性カップルへの理解もかなり醸成し「一般的なケース」になるだろうか。

その頃、僕は55歳だ。


P.S.
これだけ一言。
「里親体験発表会」で配られた冊子が素晴らしかった。
他の里親さん、里子さんの体験がオムニバスで赤裸々に綴られており、沢山のリアルがありました。(PDFで公開されています

一見の価値あり






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※おまけ

「里親体験発表会」担当のNPOの方との会話の詳細です。ご興味がある方はどうぞ。
(長文だったため、本編から切り離しました)

うる覚えなので、不正確な表現があると思いますが、受けた印象のニュアンスとしてで、ご了承お願いします。

回答内容はこの自治体のもので、どこも一律こうとは限りませんので、ご参考程度にどぞ。

ゆき「僕らはまだ、里子を検討している段階で、何の準備もしていません。率直に伺いますが、僕らは男性カップルなのですが、同性カップルへの取り組みについて、こちらの自治体はどうですか」
NPO「もちろん同性カップルの方も制度利用の対象です。わたしたちの地域は事例はないのですが、他の市区町村で男性カップルの方が女子の里子を長期で育てていると聞きました。ただ、里子さんは10代で、迎え入れるのは幼児や未就学児からの事例はありません・・・」
ボコ「まだ、LGBTなどの知識が入っていない状態の年齢の子は難しいということでしょうか」
NPO「というのもありますし、LGBTと言う言葉もやっと浸透したばかりで、周りのサポートがまだ整っていないという現状があります。里親制度自体にも様々な課題がある状態ですので。」
ゆき「なるほど」

ゆき「里子さんは、戸籍上で実親との関係は残ると思うのですが、実親さんが同性カップルに預けたくない、といったケースはありますか」
NPO「それは、ありません。というより・・・その手前の「里親自体に預けたくない」が多いですね。”私達(実親)はこんなにこの子を愛しているのに、施設に預けるのはいいとして、どこぞのだれともわからない人に預けたくない――”が大半です。里親に預けられる子は、そもそも実親との連携が取りずらいことが多いです。そうなると児童相談所としては、登録されている里親さんに預けるだけで、同性カップルがどうこうは判断材料になりません」

ボコ「地域住民に僕らのことをカミングアウトせずに、里子を育てることは可能ですか?」
NPO「難しいかもしれません。里子を育てるにあたり、関係をオープンにしたほうが育てやすいと考えています。地域で育てる信条もありますし。そうですね。例えば、男性カップルをオープンにしていない場合、里親、里子の関係性がわかりにくい。そこに急に年齢のいった子供が出入りするようになると、「あそこの家はなんだろう」ということになるかもしれません。先ほど言った通り、LGBTについて周りのサポートが整っていないとはこのことで、困難があると思われます。」
ボコ「なるほど。わかりやすく想像できました。」
ゆき「先ほどの男性カップルさんはオープンにして里子さんを育てていらっしゃるのでしょうか」
NPO「すいません。そこまで把握できていません」

ゆき「里子には、LGBT当事者の子もいると思っています。もしかしたら、私達のような境遇の人間のほうが、里親として適切なパターンもあると思うのですが」
NPO「その通りだと思います。そのような視点は大変大事だと思っています。もちろん里子の中にもLGBT当事者はいると思っています。」


※こちらもご参考にどうぞ


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