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【インタビュー】「リアルイベントに極限まで近づけたい」オンライン展示サービス「Nora」の目指した体験とは

ここ最近、個人や少人数で開発されたゲームの展示イベントが急増している。
集英社ゲームクリエイターズCAMPでも「クリエイターが活躍する場を広げていきたい」という想いのもと、「Indie Games Connect」「BitSummit」「福岡インディーゲームエキスポ」などに協賛し、さまざまなクリエイターの皆さんと交流することができた。

しかし一方で、住んでいる場所が都市部から遠かったり、機材などの準備の大変さから、なかなかイベントへの参加に踏み出せない方もいるだろう。

実は、そんな方々でもオンラインで簡単に展示ができる「Nora」というサービスがあるのをご存知だろうか。

これまでも、体験版を配布しつつバーチャル会場でコミュニケーションが取れるようなオンラインイベントは開催されてきた。
しかし「Nora」では……

  • 体験版を配布・ダウンロードする必要がない

  • 人がプレイしているところをリアルタイムに見られる

  • プレイを見ながらテキストやボイスでコミュニケーションできる

など、これまでのツールにはない特徴を持っており、リアル会場での展示会に極めて近い体験が可能となっている。

「Nora」展示ブース ブラウザから参加してプレイ可能(公式サイトより)

集英社ゲームクリエイターズCAMPでは、リアルイベントになかなか参加できないクリエイターにも活躍の場を広げてもらいたいという想いのもと、「Nora」と連携してキャンペーンを開催することとなった。

その一環として今回は、「Nora」の開発者であるるっちょさんに開発の経緯などを伺わせていただいた。
るっちょさん自身もインディーゲーム開発者であり、最近では幽体離脱2Dアクションゲーム「地下楼」がインディーゲームレーベル「ヨカゼ」に参加したことでも話題となった。

「開発者だからこその目線」で作られたという本サービス。
「リアルの展示会はハードル高いけど、自分のゲームを人に試遊してもらいたい!」と思うクリエイターには必見の内容となっている。


ゲームを配布せずに試遊してもらえる!
Noraの仕組みと特徴

ーー本日はよろしくお願いいたします!
では初めに、まだ「Nora」をご存じない方に向けて、どんなサービスなのか軽くご説明をお願いしてよろしいでしょうか。

るっちょ
はい。まず一番基本的なところからいきますと「小規模な開発者が、オンラインで自分のゲームを展示できるプラットフォーム」ということになっています。

特徴としては、ゲーム開発者は自分のPCでゲームを動かしており、試遊する人はそこへ自分のコントローラーから入力情報を送信する形で参加する、というところだと思います。

「Nora」によるリモートプレイの概念図

あとはそうですね。リアルでのゲーム展示イベントの体験を再現するということをやっていて。
例えば「待機列」の仕組みですね。試遊待ちのため列に並びながら、前の人がプレイしているのを眺められるようになっています。
またテキストチャットやボイスチャットで、展示しているゲーム開発者と試遊している人がコミュニケーションできるようになっています。

ーー「ゲーム開発者のPC上で動くゲームをプレイできる」というのは、かなりユニークなポイントですよね。

るっちょ
そうですね。このようにした理由としては、まず「開発中のゲームを配布しなくていい」というのがあります。
あとは技術的な事情ですね。開発者のPCではなくサーバーでゲームを動かすとなると、ちょっとこちらで運営できる規模を超えてしまうので。

ーーなるほど。やはりゲーム開発者としては「開発中のゲームを配布する」というのが難しい場合もあるのでしょうか?

るっちょ
そうですね。「ゲームのデータを守る」という視点もありますし、あとは「さまざまなPCで動作するようにする」というのも結構大変な作業になりますので、動作が安定しているであろう開発者のPC上で動かせるというのは、さまざまな人に遊んでもらうという点でもいいかと思います。

ーー確かに。もうアーリーアクセスとして出せるレベルまでできていれば、そういう形で遊んでもらうのも可能だとは思いますが、そこまでできていない場合は、配布することにリスクもありそうですよね。

るっちょ
そうですね。

イベントの醍醐味は「待機列」にあり!?
Noraで再現したかった体験とは

ーー「リアル展示会の体験に近づけたい」というのも先程おっしゃられたかと思うのですが、そう思われたのもやはり、ご自身がイベントに参加されたことがキッカケだったのでしょうか?

るっちょ
「Nora」の元となるものを開発し始めたのが2020年ごろなのですが、当時はコロナ禍もあって、インディーゲームのイベントが相次いで延期や中止になっていた時期だったんですよね。
自分も出展予定だったイベントが中止になってしまったりして。

それで代替となるようなサービスを作ろうとしたときに、まずはリアルな展示イベントのフォーマットを念頭において考えようと思い、「待機列」の仕組みから作り始めました。

ーー「待機列」というものが、ご自身がリアルのイベントに参加された際に重要だと感じられたポイントだったのでしょうか?

るっちょ
そうですね。私自身がイベントにおいて好きな部分だったりします。
列に並びながら、前の人が遊んでいるところを「どうやって操作するのかな?」と見ていたり。
「人が遊んでいるところを見られる」というのも、イベントに参加する意義だと思っています。

ーー確かに。説明やPVを見るよりも、誰かが遊んでいるときの画面や反応を見るほうが、どういうゲームなのかわかりやすかったりしますよね。
それがたくさん見られるというのも、イベントでしか得難い体験だったように思います。それが「Nora」により、オンラインでも再現したかった体験ということですね。

今後もイベントは大歓迎!
オンライン展示会はぜひ「Nora」で

ーー今回はキャンペーンという形で、より「Nora」を使ってもらうキッカケが作れたらと、我々から話を持ちかけさせていただきましたが、るっちょさんとしては「どういう方に、どう使ってもらいたい」みたいなイメージはあるのでしょうか?

るっちょ
先程もお話したとおり「リアルイベントが開催できない中での代替手段」というのもありますし、あるいは「より手軽な選択肢」としても使っていただけたらと思います。
リアルイベントに出展するとなると、物理的に準備しなければならないモノも多いですし、移動も大変ですし、だいぶ敷居の高さはあると思います。
それが「自宅からWebでできる!」となれば、だいぶ敷居は下げられるのかなと。

ーー今回のようなキャンペーンやイベントは、今後も機会があればやっていきたいというのはあったりしますか?

るっちょ
そうですね、ぜひやりたいです!
「Nora」はリリースから1年ほど経っており、機能としては準備ができているのですが、実際にどういうタイミングで使ってもらうかは悩んでいたポイントでしたので。
しっかり皆さんに使ってもらって、「Nora」をプラットフォームとして存在感があるものにしていきたいと思っています。

ーーそうですね。我々としてもぜひ、他のインディーゲームを支援しているような団体であったりクリエイターさんにも利用していただけたらと思いますし、今回のキャンペーンがそのキッカケとなればいいなと思います。

CAMPが技術面も全面サポート!
今回行った技術検証について

ーー今回のキャンペーンに先立って、「通信負荷やセキュリティ面の検証をさせていただけないか」というご相談をさせていただき、実際に弊社の技術チームと連携してさまざまな検証を行わせていただきましたが、そのあたりについては実際いかがでしたか?

るっちょ
私自身のメインはやはりゲーム開発で、Web技術に関する知識はそこまで自信がなかったので、ちょっと緊張はしましたね。
ですが今回いろいろと検証いただいたことで、勉強にもなりましたし、「Nora」をより良くできたという点でもありがたかったです。

ーーありがとうございます。そう言っていただけると、我々としても良かったです! 他で作られたサービスに「検証させてください」と言うケースはなかなか無いので、内心「どう思われたかな……」と心配だったのですが。

るっちょ
いやぁ「そういうものなのかな」と思ってました(笑)。
むしろ「よく任せてくださったな」と思ったところはありますね。「Nora」は個人で作ったものでしたので。

ーーこの企画を立てたとき、他にもオンラインオフィス的なサービスが候補として挙がったのですが、やはり「出展者と来場者が同じゲーム画面を見ながらコミュニケーションできる、というのは必要だよな」という話になりまして、100%に近い形でリアルイベントの体験を再現するならば、「Nora」がベストだという結論になりました。
そういった経緯があり、今回のお話を持ちかけさせていただきました。

るっちょ
いやぁ、ありがたいですね。本当に。

ーーでは最後に、この記事を読んでくださっているであろう「Nora」の利用を検討されているクリエイターさんに向けて、何か一言お願いします。

るっちょ
「Nora」を開発している私自身がインディーゲーム開発者でもある、というのが結構重要なことなのかなと思っておりまして。
自分のように小規模で開発をしているクリエイターが使いやすいように考えて作っていますし、そういったポイントに親近感みたいなものを感じていただけるのではないかなと。
そういう部分は、アピールポイントとしてお伝えしたいですね。

ーーなるほど。ありがとうございました!


「待機列の重要性」や「ゲームを配布せず試遊可能にする」ことなど、ゲーム開発者としての経験とこだわりがしっかり伺えたインタビューとなった。

「クリエイターと同じ立場で考える」というのは、クリエイター支援をさせていただいている我々としても日々磨こうとしている感性であり、そういった点でも非常に学びが多かったように思う。

冒頭で述べたとおり、集英社ゲームクリエイターズCAMPでは「Nora」と連携してキャンペーンを行う。
本記事で興味を持たれた方は、ぜひ参加してみてはいかがだろうか。

「Nora 使ってみようキャンペーン」詳細

クリエイターの皆さんに「Nora」をご活用いただく機会として「Nora使ってみようキャンペーン」を開催いたします。

開催期間中は、集英社ゲームクリエイターズCAMPや集英社ゲームズのメンバーも試遊させていただく予定です(※)。もちろん一般の方も自由に試遊していただけますので、ぜひご参加ください。 

※出展された全ブースへ、集英社ゲームクリエイターズCAMPや集英社ゲームズのメンバーが試遊へ伺うことを保証するものではなく、時間帯によっては試遊できない可能性があることをご了承ください。

  • 開催期間:2023年4月28日(金)〜5月10日(水) 

  • 《出展者向け》出展方法:「Nora」の「ブースを作成」から出展

  • 《来場者向け》参加方法:「Nora」の「公開中の展示ブース」から試遊

出展方法やシステム要件は展示ガイドをご覧ください。
出展可能なコンテンツについてはガイドラインをご確認ください。
試遊方法やシステム要件はプレイヤーガイドをご覧ください。

集英社ゲームクリエイターズCAMPでは今後、さらにNoraを活用したイベント等も計画しております。ぜひこの機会に一度、Noraに触れてみてください。

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