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槙島驟
2022年9月27日 20:29
「ねえ『涙うつし』って知ってる?」「ナミダウツシ?」 大学の食堂で町田薫が思い出したように私に話しかけてきた。彼女は大きな口でカレーライスを食べながら頷いて、まだリスのように膨らんだ頬のまま「ひああい?」と首を傾げた。「飲み込んでからにしなよ、私はもう今日は授業ないし、薫は次三限ないんだからゆっくり話できるじゃん」 呆れた私はスマホSNSアプリを起動させ、その海に身を泳がせた。ニュー