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日進月歩 ~Road to MBA~#96

2021/4/19:コーポレート・ストラテジー1②
 春学期の月曜日は、組織学習理論やネットワーク理論を専門とされており、最近では組織学習の失敗要因、戦略的転換の促進要因を研究されている安田先生の講義で本日は2回目となります。
 経営戦略の全体像(現象)は、➀理念(ミッション)、②企業目標、③外部・内部環境分析、④企業戦略、⑤事業戦略、⑥機能・市場戦略である。今回は現象であるRIZAPグループで振り返った(特に「①理念(ミッション)」に焦点)。

■経営戦略の全体像

 まずは前回の中でもあった経営戦略の全体像を、現象(RIZAPグループ)を用いて、振り返りをしていきました。見るべき視点としては、企業戦略はどうなっているのか、勝てるフィールドであるか、それを支える人的資源は十分であるかといった点などがありますが、改めて構造に沿って確認してみようと思います。また、それに合わせて各項目で利用可能なフレームワークの一覧についても、自分自身の中で整理しました。
※以下図等は「RIZAPの中期経営計画(COMMIT 2020)」および「RIZAPのHP」より抜粋

➀理念(ミッション)
 会社の存在意義を示すものであり、メッセージ性があったほうが分かりやすい特徴をもっている。何かを判断する際の判断基準になるものでもある。

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②企業目標(ビジョン)
 中長期計画として「COMMIT2020」を発表し、その中で企業がどうなっていきたいかを、定性的および定量的に目標設定をしている。

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③外部環境・内部環境
 まずはマクロの視点で考えるPESTELや業界分析をするためのFive forces分析、競合分析をする外部環境がある。その市場に機会や脅威があるのか、業界や顧客にはどういったプレイヤーが存在し、どのような提供価値が必要となるのかなどを考える過程となる。

●利用可能なフレームワーク
PESTEL:政治・経済・社会・技術・法律・環境の6つの視点から分析
Five forces:業界に影響を与える5つの力の分析
3C:自社・顧客・競合の3つのポイントから事実整理

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 また、コア・コンピタンスを構築するためのVRIOやバリューチェーンといった「内部の経営資源を評価(強みや弱みを把握)」する内部環境の過程がある。加えて講義では、”転用可能性があるか”といった環境の変化に対する適応力の重要性を示唆するキーワードもご紹介いただいた。
※中期経営計画には明確に記載は無かったが、強みは「商品・サービスの企画力と販売力(マーケティング力)」であり、その背景には「人財」にあるとRIZAPは考えている。

●利用可能なフレームワーク
VRIO:経済価値・希少性・模倣困難性・組織に関する問い
バリューチェーン:事業の活動を「主活動」と「支援活動」の2つに分類
7S:ハードのS(戦略・組織・システム)とソフトのS(価値観・スキル・人材・スタイル)の合計7つから全体像と関係性を把握

 このように、外部環境の市場における機会や脅威を考え、内部環境の持っている経営資源の強みや弱みを考えることで、顧客にどのような価値が提供できるのか、この過程で整理を実施する。方向性を考えるために整理できるフレームワークが、SWOT分析となる。

●利用可能なフレームワーク
SWOT:外部環境(機会・脅威)と内部環境(強み・弱み)の4分類で整理


④企業戦略
 市場で競争優位を獲得するためにとる行動のことであり、選択基準としては「規模と成長性」、「競争の程度」、「自社の強みを活かせるか」といった視点で考えていく必要がある。そこに”時間軸”という概念を加えることで将来的なライフサイクルまでを考えて意思決定する過程となる。

●利用可能なフレームワーク
製品市場マトリクス:市場浸透・市場開拓・製品開発・多角化の4象限
PPM:市場成長率とシェアで4分類(花形・問題児・負け犬・カネのなる木)
製品ライフサイクル:導入期⇒成長期⇒成熟期⇒衰退期の4段階

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⑤事業戦略

 目的は、自社のポジションと競合他社のポジションとの間に違いを創り出すこととなる。”Who?””What?””How?”といった視点で、どの顧客を対象とし、ニーズは何か、どのように顧客ニーズを満たすのか意思決定していく過程となる。現象において、他と違いを明確化するためにまずは「常識」を知ることが必要であり、そうしなければ違いを生み出すことはできない。このように自社のポジショニングを確立するためには、最も重要な2つの軸を決めて、競合と自社をマッピングする過程が重要となる。

●利用可能なフレームワーク
基本競争戦略:「コスト・リーダーシップ戦略」、「差別化戦略」、「集中戦略」の3つの戦略
ポジショニングマップ:縦軸と横軸の2次元から表現する競合との違い

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⑥機能・市場戦略
 具体的な施策の検討となるフェーズであり、市場機会の発見⇒STPの設定⇒4Psの設定を考えることで、一貫性のあるマーケティング戦略を設定することができる(マーケティング・プロセス)。また、バリューチェーンや7Sによって、経営資源を基に意思決定をする過程(ハード面だけでなく、ソフト面が大きく意思決定に関わる)となる。

●利用可能なフレームワーク
STP:セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング
4Ps:Product・Price・Place・Promotion
バリューチェーン:事業の活動を「主活動」と「支援活動」の2つに分類
7S:ハードのS(戦略・組織・システム)とソフトのS(価値観・スキル・人材・スタイル)の合計7つから全体像と関係性を把握

 最後に➀~⑥をまとめて、クロスSWOTにすることで様々な内容を総合的に示すことも可能になる。外部環境×内部環境による戦略オプションの検討をすることができ、事業環境(CONTEXT)に応じた優先順位を決めることができる。

●利用可能なフレームワーク
クロスSWOT:外部環境(機会・脅威)と内部環境(強み・弱み)の4分類で整理し、クロスすることで戦略を把握


■「➀理念(ミッション)」はなぜ重要なのか?

 ここからは構造における内容を各項目で深堀りしていこうと思う。経営理念は外部へのメッセージとなり、多様な人材を集わせるための求心力になる。また、事業領域を定義(やることを決めるだけでなく、やらないことを決める)する前提となるものでもある。
 このように組織の理念(ミッション)がある中で課題となっているのが、個人との対立でもある。このように組織が目標を立てるときに個人の目標と一致しているのか?組織の要求が個人の欲求と対立しないのか?などを考える必要があり、その乖離を少なくするために、コーディネーションを行うことが重要となっている。
 例題として、フィットネス業界における3社(RIZAP、セントラルスポーツ、ティップネス)を基に、「良い経営理念とはなにか?」を考え、ディスカッションを深めた。実行を考えていく上では、「Why?」という観点が最も重要な視点となるようだ。

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■「➀理念(ミッション)」の考え方

 先程「Why?」が実行を考えていく上で重要だとお話ししたが、「なぜから始めよう:優れたリーダーはいかに行動を奮い起こさせるか」を見ながら、アップルとライト兄弟の現象から学ばさせていただいた。

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 ライト兄弟の例では、サミュエル・ラグレー(富と名声を求める)との対比でお話をお聞きし、「飛行機が開発できたら世界が変わる=夢を信じて追求」することで、自らの信念を信じてくれる人を巻き込んでいった。イノベーションの普及の法則におけるキャズムを超える市場浸透率の事例を基に、理念の大切さを学ぶことができた。

平岩 宗(ひらいわ しゅう)
1986年12月14日生まれ(34歳)/愛知県出身
【サッカー】春日井JFC/FC.FERVOR/中京大中京高校/駒澤大学/横河武蔵野FC(JFL)/エリースFC東京(関東)/ラスタサッカーファミリー(埼玉)
※U-12日本代表候補/愛知県国体選抜(高校)/JFL108試合・天皇杯7試合(通算115試合1得点)
※https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%B2%A9%E5%AE%97
【ビジネス】株式会社ビーコンインフォメーションテクノロジー/コムテック株式会社/株式会社ミスミグループ本社/独立行政法人日本スポーツ振興センター(西東京市スポーツ推進委員)
【学校】中京大学附属中京高等学校/駒澤大学経済学部/立教大学大学院ビジネスデザイン研究科


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