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J1第23節 川崎フロンターレ対名古屋グランパス プレイヤーレビュー ジェジエウ選手

久しぶりのレビューとなります。今回から今までとは少し内容を変えて書いていこうと思います。これまではMOFの選手のプレーを取り上げてレビューを書いてきました。内容的には数的有利を作る動き出しやプレッシャーのタイミングなどの個人戦術を取り上げてきました。
しかし正直言って回数を重ねるにつれて同じ選手を取り上げたりして、ネタ切れになってきました笑。ですので今回からは両チームのビルドアップや守備の形などのチーム戦術を中心に、MOFのプレーを取り上げていくようにしようと思います。本来サッカーは相手と味方がいて成り立つものなのでこっちの方が正しいプレイヤーレビューなのかなと思います。
そしてMOFはジェジエウ。攻守において活躍しフロンターレ初ゴールをゲットしたため選出。

1.スタメン

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フロンターレは前節温存と見られていた大島がベンチ外。怪我なのかどうか公式からの情報を待ちたい。そして前節アクシデントで交代した悠は肉離れで全治6~8週間とのこと。天皇杯決勝に間に合うかどうか微妙なところ。
名古屋は古巣対戦となる阿部ちゃんがスタメン。相手になるとやはり怖い選手だなと感じた。

2.フロンターレのビルドアップと名古屋の守備

フロンターレはいつもどおりポジションチェンジは行わずにビルドアップを開始。それに対して名古屋は442のミドルブロックを組みそこからフロンターレにプレッシャーをかけていく。ハイプレスほどのインテンシティではなかった。ただ19分に1度だけフロンターレのGKを含めたビルドアップにハイプレスをかけてきたときはボールを失ってしまった。フロンターレからするとハイプレスをかけてきた方が嫌だったかもしれない。阿部ちゃんもいるし。

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名古屋はハイプレスではないので人を捕まえるという意識は高くはない。しかし降りていく選手について行くくらいはする。フロンターレにはアンカーが名古屋にはトップ下がいるのでこの組み合わせであれば普通トップ下がアンカーにマンマーク気味でついて行く。ただ名古屋はマンマークではなく2トップが絞りアンカーを牽制していた。それに対してフロンターレは守田がダウンスリー(DFラインにMFが1人落ちる動き)でパスを受けたり憲剛が下がってきたりしてボールを引き出していた。ただ守田関してはそこまで頻度は多くなく、憲剛のほうが多かった。碧は右のハーフスペースにいることが多かった。

そして阿部と金崎は横方向にスライドすることが多かった。特にフロンターレの左サイド。おそらく降りてパスをもらった憲剛にプレッシャーをかけるため。稲垣が憲剛についていくシーンもあったが、そうすると中盤が米本1人になってしまうのでそれを避けるために2トップにスライドを要求したのだと思う。そうするとフリーになるのはジェジエウ。

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このシーンは憲剛とさらに出張してやってきた家長がいたので名古屋の中盤と2トップはかなりスライド。その結果ジェジエウの前には大きなスペースが。ボールをもらったジェジエウはそのままドリブルで駆け上がった。ジェジエウは自分で持ち出す意識が高くたまにボールロストしたりするが、現代的センターバックとしての能力が高い。またパスを出した後のサポートの動きも速い。すぐにバックステップを踏んでパスコースを確保する。
このようにジェジエウの前にスペースができることが前半多かった。

後半になるとそのスペースはあまりなかった。マテウスと前田の両サイドハーフの帰陣が遅くなったり、スライドが遅くなったりしていた。なので逆にそれがジェジエウの前のスペースを潰しているように見えた。

3.名古屋のビルドアップとフロンターレの守備

局面的にはフロンターレのビルドアップと名古屋の守備よりも面白い攻防が繰り広げられていた。
まず名古屋は4231のままビルドアップ。前半序盤のゴールキックからビルドアップしようする場合はCBが大きく開き、ボランチの米本がアンカーのようなポジショニングをし菱形を作る。それに対してフロンターレはダミアンと憲剛の2人で米本へのパスコースを切りながら守備。ただこの形は多くはなかった。

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これは前半序盤のフロンターレのハイプレスのやり方。ダミアンと憲剛が2トップになり442で守る。2トップは名古屋CBにプレッシャーをかけるとき2ボランチへのパスコースを切りながら寄せる。ただ最優先はボランチにパスを出させないこと。なので無理してCBにまでプレッシャーはかけない。その時はフロンターレWGが名古屋SBへのパスコースを切りながら寄せる。そのための準備のため名古屋CBがボールを持つとWGは早めにSBに近づく。

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これは前半16分名古屋に上手くプレスをかわされたシーン。中谷がボールを持つと憲剛とダミアンがCBにプレッシャー。守田と碧は名古屋の2ボランチを縦にスライドして捕まえる。そして三笘が早めに成瀬に近づく。そうすると中谷から内側に入った前田へのパスコースができる。その前田への縦パスから上手くプレスを交わされた。
このように前半名古屋は右ハーフスペースを前田が、左ハーフスペースを阿部ちゃんが使う5レーンの埋め方だった。

2CBに対して2トップでプレッシャーをかけるのは有効な手段。ただ433での守備の感覚が残っている三笘と家長は433と同じように守備をしてしまう。そうすると内側に入った名古屋のサイドハーフがボールを受けれる。ここで修正するとしたら三笘と家長にCBからSBにパスが出てからプレスをかけるように指示を出す。しかし鬼木監督は違った修正策を示す。

それは451守備への変更。こうすることで中盤が2対3で数的不利だったのを3対3の数的同数にする。さらにボランチが3枚になるので前田が使っていた右ハーフスペースをスライドして埋めることができる。1トップになったので名古屋のボランチにはフロンターレのIHが後ろから捕まえるようにして対応。そしてアンカーの守田が内側に入ってくるサイドハーフを監視する。
これに対して名古屋はSBから組み立てようとする。ただダミアンの周りを名古屋は2CBと2ボランチの4人でボールを回せるのに、中央を使う意識があまりなかった。そこでボランチの1人がダウンスリーをすることもあったが、そうするとフロンターレの3トップが誰をマークするか明確になってしまうので得策ではない。
後半名古屋は442に変更してマテウスを右に移す。そして74分のシーン。交代で入った山崎が中盤でレイオフ(ポストプレーを中盤で行うこと)でボールを受け前進した。このように中盤に2トップの1角が降りてこられると数的有利を作られるので嫌だったがあまりやってこなかったので良かったと思うシーンだった。

4.セットプレー

3得点すべてをセットプレーで得点したフロンターレ。また得点以外でもコーナーキックでいくつかチャンスをつくっていた。セットプレーは以前セットプレー解説記事を書いたので、そちらを読んでいただきたいのですが簡単に解説。


1点目と3点目のコーナーキックは結果はボールに触れた選手は違うが、構造は同じなので3点目の図を使います。二アに選手が走り込みそれをおとりに使いファーの選手が決めるという構造。

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まず各選手の役割は三笘が1点目のように二アですらしたボールを狙う。谷口、ジェジエウ、ダミアンは固まった状態から動き出して得点を狙う。家長がファーサイドのこぼれ球をケア。山根がショートコーナーを匂わせる。
ここで3点目は守田が二アに名古屋DFを引きつけてPA内の人数を減らすとともに、意識を二アに向けさせる。これに対して名古屋はゾーンで守っているのでボールウォッチャーになる。そこにジェジエウが入り込んで決めた。
一連の流れとしてはこんな感じ。もっと詳しく1人1人の動きの効果などは先ほどの記事に書いてあるので是非。

5.まとめ

自ら立てた記録は自らで塗り替えることを達成したフロンターレ。唯一敗戦し11連勝を阻まれた名古屋にリベンジできたのは大きい。あとはリバプールのように記録との戦い。リバプールのように優勝後に失速したりはしないでほしい。

このように今回はチーム戦術中心で、その中で注目すべき選手とそのプレーについて取り上げました。毎試合書くことはできないと思いますがこの形で書いていこうと思うのでよろしくお願いします。

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