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J1第32節 サガン鳥栖対川崎フロンターレ データプレビュー

前倒しで行われた第30節マリノス戦以来のデータプレビューとなってしまいました。ほんとうなら優勝決定の可能性のあった大分戦とガンバ戦のデータプレビューを書きたかった...。
時間も経ってしまったので軽く振り返りたいと思います。大分戦で3敗目を喫し、谷口が出場停止で迎えたガンバ戦は不安を払拭してくれた素晴らしい試合運びだった。家長のハットトリックも素晴らしかったが、齋藤学が5点目を決めた時、スタジアムで泣いてしまった。やっと報われたという気持ちでいっぱいだった。そして優勝を決めた次節は清水戦。前節2位相手に5-0で勝利したのが嘘であるかのような試合だった。来シーズンへの不安ができたサポーターも多かったかもしれない。しかし今課題が明確になったのも良かったのかなと思う。では残りの試合はどう改善していくのだろうか。

1.両チームの成績

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フロンターレはG大阪戦で史上最速優勝を果たし、最多勝ち点と最多勝利数も更新した。残るチームとして達成可能な記録は最小敗戦数と最多得点記録。達成するには残り3試合、4得点で1試合も負けられない。前節清水に終了間際の山根のゴールで同点に追いつき引き分けたのは大きかった。しかし今シーズンTOTALでの引き分けと負け試合数の約半分は直近5試合でのもの。前節の結果は大きかったが好調とは言えない。ここ1.2ヶ月間フロンターレに対してしっかり対策してきたチームに対しては苦しい試合を強いられている。ただそれをも乗り越え勝利してきたのが今シーズンのフロンターレ。残り3試合も強さを発揮してほしい。
鳥栖は現在勝ち点31で14位につけている。シーズンでまだ6勝しかできておらず、引き分けが13とかなり多い。敗戦数はリーグ10位で悪くないのだが引き分けがかなり響いて順位を落としている。1試合平均得点が1.0で失点が1.3とうことで、得点が少ないところを見ると、相手チームに追いつかれてしまうのではく、勝ちきれない試合が多いのかもしれない。親近感が沸くのは何故だろう笑。直近5試合では1勝3分1敗で平均得点失点ともに1.0ということで好調でも不調でもない感じ。最近では鳥栖ユース出身の若手選手の出場機会が多い。それでこの成績というのは良いと思う。若手好きとしては楽しみな対戦相手だ。

対戦成績を見ると、やはりフロンターレの圧勝。ただ直近5試合で両チーム合わせて得点は3点のみ。19年4月に鳥栖ホームで1-0と18年4月に鳥栖ホームで2-0の3点だ。どちらもフロンターレの勝利だがロースコアになることが多い対戦カードだ。その勝利した2試合はどちらも鳥栖ホームでのものなのはポジティブなデータだ。

2.チームスタイル分析

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鳥栖は中央とサイドで指数の偏りがあまりない上に、両サイドのシュート率もあまり差が無い(中央はどのチームもシュート率が高くなる)。比較的まんべんなくサイドと中央を使いながら攻めてくる。ボール支配率が52.6%でリーグ5位。ポゼッションの指数も敵陣が54で自陣が59と高い数字。シーズン途中でマリノスから朴一圭を獲得したことからもポゼッションをしたいことがわかる。ただシュート率とゴール率もあまり高くないことからボールを持って攻めあぐねているのかもしれない。面白いデータがショートカウンター。指数自体は39とかなり低いがシュート率が23.6%で4位という数字。さらにハイプレスの指数が61と高く、守備成功率も44%でリーグ3位。これらのデータから鳥栖は攻撃時にはポゼッションをし、守備時にはハイプレスで前から奪いき来てショートカウンターを狙うスタイルだということがわかる。フロンターレと似たスタイルを志向している。

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上の2つは両チームのプレーエリアとリーグ平均との差。赤いと平均より高く青いと平均より低くなる。鳥栖は自陣中央が赤くなっているのでやはり自陣でボールを繋いでいることがわかる。赤い場所的に低い位置のボランチがボールを触ることが多そうだ。
ちなみにフロンターレは両サイドが真っ赤に染まっている。これはまさにシステムを433にしてサイドにボールを持てる選手を置いた効果が現れている。昨シーズンを見てみると左サイドは赤いが右サイドはそこまでだった。やっぱり今シーズンの強さは山根が加入し家長が再び活躍するようになったのが大きいなと感じた。

3.攻守のスタッツ

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先述したとおり鳥栖は失点は少ないが得点も少ない。1試合平均にすると四捨五入されて1.3で7位だが、1.3のチームが多いため実際は5位。守備のデータだけ見るととても14位のチームとは思えない。被攻撃回数が5位というのもポゼッションでボールを支配してることの恩恵。被シュートも少なくしっかりシュートを打たせず、被シュート成功率も10.3%で打たれたシュートに対してもしっかりと対応できている。問題なのは攻撃面。そもそもシュートを打てていない上にシュート成功率も8.6%でリーグ8位と低い数字。シュート数が少ないのは今までも見てきた通り、ボール保持をしているがそれが自陣での場合が多く、ボールを前進できていないから。ここはチームとして残り3試合と来シーズンまでの課題。シュート成功率はチーム内トップスコアラー5人は全員10%を超えている。このデータは良いが何故かチームとしては下がってしまう。となるとこの5人以外の選手がなかなか決めきれずチームとして成功率が下がっていると考えられる。実際に両サイドハーフのレギュラーである樋口と小屋松はそれぞれ0%と4.8%だ。

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鳥栖はやはりゴールがゴール期待値を下まわっている。この期待値との差はリーグで下から4番目。シュート成功率が低いのも期待値の高いシュートを決められていないからかもしれない。被ゴールは期待値を上回ってはいるが差も少なく、期待値自体もリーグ7位。守備面では期待値を見ても良いデータを残している。
ちなみにフロンターレは被ゴール期待値と期待値の差があまりなかった時期があったが、現在は持ち直している。

4.得失点のプレー割合

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鳥栖はショートパスが最も割合が大きい。次いでクロスとこぼれ球。こぼれ球から6点取っているのは下位チームの中では多い方。得点が少ないとは言えこぼれ球でゴールを奪えるのはストライカーのの意地の現れ。特にフロンターレにとって都合の悪いデータはない。

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ショートパスはもちろんだがフロンターレが今シーズン武器となったセットプレーは今節も武器になりそう。フロンターレは15点取っており2番目に多い。大して鳥栖はセットプレーから8失点とこちらも2番目に多い。このカードはロースコアが多いとは言えフロンターレにとっては有利な組み合わせ。

5.両チームの注目選手

鳥栖の注目選手は中野伸哉。まだ17歳で筆者と同い年。今シーズンから試合に出始めた鳥栖ユース出身で年代別代表にもU-19に飛び級で招集されている。選出した理由としては直近5試合でのCBPが奪取と守備でチーム2位。17歳でJ1において守備面のデータが高い数字なのが驚き。ちなみに1位はどちらもエドゥアルド。古巣対戦だしエドゥアルドにするか迷ったが、若さを考えて中野を選出した。
フロンターレの注目選手は田中碧。前節ダミアンとの見事なコンビネーションでゴールを決めた碧。碧がああいう飛び出しをしていくとチームとして攻撃が活性化される。またセットプレーでもプレースキッカーとして可能性を感じさせる。いつ海外に移籍するかわからないので碧のプレーを目に焼き付けておきたい。

6.まとめ

残り3試合は鬼木監督もおっしゃっていたように記録を狙いに行ってほしい。でも原田をはじめ若い選手ももっと見たい。でも憲剛を最後にたくさん見たい。残りリーグ戦3試合と天皇杯は来シーズンへの楽しみを残す内容で終わってほしい。

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