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J1第9節 川崎フロンターレ対大分トリニータ プレイヤーレビュー 田中碧 選手

今回のMOFは田中碧選手。脇坂選手にするか迷いましたが、出場時間が短く取り上げる場面が少ないのでフル出場した田中選手に決定。田中選手についての記事を以前投稿しました。今読み返すとたいしたこと書いていないですがよろしければそちらもよろしくお願いします。

1.スタメン

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スタメンはこちら。フロンターレは今シーズン初めてダミアンと小林を併用。三笘とジオゴマテウスがJ1初出場。なにかと初の組み合わせがあり新鮮な布陣。一方大分は元フロンターレの高木がベンチ。個人的には高木の疑似カウンターが見たかったが残念。

2.プレスの仕方

大分のビルドアップは4123の形でGKを含めて行う。その大分のアンカー的な存在の長谷川を碧が後ろから押さえに行っていた。

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ただ必ず大分の長谷川を抑える訳ではなく、サイドに追い込んだ場合は長谷川を捨ててサイドにより包囲網に参加する場面もあった。それが下のシーン。

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このシーンでは大島が立ち位置を離れて前まで行っていたため、大分の渡がフリーになっていた。このとき渡の後ろには広大なスペースがありボールが渡ると一気に前進させられてしまう可能性があった。それをいち早く察知した碧は大分の長谷川を捨ててスプリントをし渡をマーク。刀根は小出にパス。そこを登里と碧で挟みボールを奪取した。
フロンターレのハイプレスの肝は中盤3枚のマンマーク気味の守備だと思っている。この3枚の守備が緩かったりすると一気に前進させられてしまう。上のようなシーンで臨機応変に人を捕まえにいける碧がいることでハイプレスが効いている試合だった。

ここからはプレスというか碧の守備の特徴の話になるが、先ほどリンクを貼り付けた碧の記事でも書いた事だが碧の守備は体任せにならず頭を使っているのが特徴だ。もちろん体も強いことによって成り立っているのは間違いないが相手のプレーに対するよみでボールを奪いとることが少なくない。その碧の特徴がでていたシーンがこちら。

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文章と図だけでは伝えきれないので是非映像で見てほしい場面。結果は碧が守備に失敗したシーンなのだが碧が頭を使いすぎてしまったシーンと言えるかもしれない。大分の鈴木はボールを持ちながら前進。このとき碧は後ろに長谷川がいてパスコースがあるのを確認しており、鈴木がパスを出しそうなタイミングで右足を右方向に数回伸ばしている。そのせいで鈴木に対して十分によせきれず三笘もステイだったため前進を許し敵陣まで運ばれてしまった。
碧からしたらCBがこれより先にボールを運ぶよりも鈴木からみて左の長谷川にボールが出ると考えて体をぶつけずにインターセプトを狙っていたのだと思う。三笘もよせるような仕草をみせていたためインターセプトを狙ったのだと思うが結局二人ともよせなかった。ここはコミュニケーションをとらなければいけないし、位置的には碧が守るべきスペースだと思うのでここは頭よりも体を優先させるべきだったと思う。

3.ロングボール

フロンターレの悪いときの特徴としてボールに人が集まってきてしまい裏を狙う選手がいないことがあげられる。しかしこの試合では降りていったダミアンについて行った大分DFによって生まれたスペースを小林が使うことが多かった。その小林にボールを配球したのが碧。

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ダミアンが降りていくことによって生まれた黄色のスペースを小林が狙ったシーン。そこに碧がロングボールを配球。オフサイドにはなったが非常に連動していて良いシーンだった。
今までこのように裏にボールを配球する役目を担っていたのは大島だったが、大島が一列前に移動したことでこの役割が碧になった。今まであまりロングボールのイメージがなかった碧だが精度の高いロングボールを蹴っていた。このシーン以外にも数回裏へのロングボールを蹴ることが見られた。
またシーンとしては取り上げないが、碧がロングボールを蹴れることで逆サイドへの速いサイドチェンジも可能になる。このように碧がプレーの幅を広げればいずれ行くことになるであろう海外でも通用するだろう。
内容が濃いシーンではなかったが、これからの期待を込めてこのシーンを取り上げた。

4.スルーパス

この試合最も輝いていたのがスルーパスだと思う。

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碧はいつノールックパスを覚えたのか。図にある碧の視野の向きは間違えではなく実際に体はこの向きであった。しかしここから左足でジオゴマテウスへのスルーパス。ジオゴもまさかパスが来るとは思っていなかったかもしれない。ここは碧のパスが強すぎてラインを割ったがパスが通っていればフリーでジオゴが精度の高いクロスをあげることができていたに違いない。

逆サイドでの同じようなシーンがこちら。

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このシーンはビビッとくるシーンだった。このシーンでも左サイドはほとんど見ておらず、グランダーのボールで守田までつなげた。一瞬宮代へのパスミスかと思ったが、足の振り方からみて意図的に逆サイドに振ったのだと思う。学ぶが中へのランニングで高山を引きつけて生まれたスペースを見逃さずに狭いコースにパスを通した。
やはり碧の武器はスルーパスだった。

5.まとめ

今回は戦術分析というよりも碧の技術的な説明となってしまった。前節の大島はポジショニングが秀逸だったので戦術的な話をできた。といってももちろん碧のポジショニングが悪いわけではない。前線に飛び出すべきタイミングを見計らっているし、常に大分の1トップの後ろでボールを受け散らしていく。碧はボールを滅多にとられないので安心してチームメイトはボールを預けることができる。早く海外で活躍している姿を見たくなった。

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