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J1第6節 ベガルタ仙台対川崎フロンターレ レビュー コンディションに不安要素が見られたフロンターレ

昨シーズンのユアスタでの試合は自分の中では、最も印象の悪い試合の1つだった。そんな同カードはいくら絶好調の川崎で相性の良い仙台が相手だとしても簡単に勝てる気はしていなかった。その予感は運悪く的中してしまった。

1.スタメン

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フロンターレは負傷したジェジエウの代わりの車屋以外は相変わらずのメンバー。流石に疲労がたまっているだろう。特にダミアンはそれが顕著に出ていたと思う。

2.仙台のハイプレスから撤退守備への変更

仙台は試合開始数分はハイプレスをかけてきた。ハイプレスの仕方はフロンターレのCBには基本的にプレスはかけず、長沢が碧へのパスコースを切りながら寄せるシーンもあることはあった。タイミングとしては川崎のバックパスが続いた時だったと思う。


その仙台がハイプレスをやめ撤退守備に切り替えた要因は下の図のシーンだと思う。前からプレスをかけるためライン間(黄色いゾーン)にスペースができ、谷口からのパスを碧がワンタッチで脇坂に繋いでチャンスになったシーンだ。

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実際の関口と椎橋の間は図のよりももっと狭かったが簡単に通してしまった。仙台は中央を固めていて普通であれば簡単にパスが通るような守備ではなかった。仙台としてはライン間にスペースができていてもパスを通さなければ良いということだったかもしれない。しかしそこにパスが通されてしまったためライン間のスペースを消すためにハイプレスをやめ撤退守備に変更したのだと思う。

3.仙台の撤退守備と川崎の攻撃

ハイプレスから撤退守備に変更した仙台は人につく意識がかなり高くライン間でボールを受けても前を向かせてもらえない事が多かった。下の図はその内の一部。

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もともと家長はダミアンと同じ高さでボールを受けたが3人に後ろから当たられて図の場所まで押し戻されてしまった。このとき山根は裏を抜ける素振りを見せたが家長は後ろ向きで、パスを受けた大島も寄せられて出す事ができなかった。
また、ライン間のスペースが使えないためダミアンのポストプレーができなかった。
こうして前半は仙台の守備ブロックに苦労した川崎だった。鬼木監督も試合後のインタビューで語っていたが自分たちで試合を難しくしてしまった。サッカーの鉄則として、スペースがないなら裏に走りスペースを作ることが求められる。しかし前半は裏に走る選手が少なかった。これはやはり過密日程の影響なのは間違いない。これからは上手くターンオーバーしていくことが鬼木監督には求められるだろう。

4.息を吹き返した後半

前半45分に負傷した長谷川に代わって三笘。後半から脇坂に代えて旗手、ダミアンに代えて小林を投入。このフレッシュな3人が試合の流れを変えた。
まず3人が入ったことで変わったこと。中盤ではポストプレーを主にするダミアンよりも小林は常に仙台DFラインと駆け引きをしている。それによって前半に比べてライン間にスペースができ、仙台DFも強気に前にでていくことができなくなった。
三笘と旗手はより裏への意識が強く、コンディションが悪そうにみえた長谷川より果敢にドリブルを仕掛けることで仙台DFを食いつかせていた。

その効果がでていたのが先制点のシーン。

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仙台の関口と長沢はCBにまで寄せに行ったが、後ろが付いてきておらず大島と家長がフリーになっていた。さらにライン間(緑色のゾーン)にスペースができていた。
前半はあれだけ人につく意識が高く、DFも前に潰しに行くことが多かった仙台がこれだけスペースを与えてしまったのは先述の通り交代で入った選手の動きだと思う。小林がDFラインと駆け引きをすることで仙台CBが前に潰しに行くのを躊躇させ、旗手が裏に走ることで山根をフリーにさせる。

家長が後半からトップ下に入り、自由に動き回ることで攻撃を活性化させていたのは間違いない。しかし、少し気になることがあった。「降りてきすぎ問題」だ。これはリバプールの南野や日本代表の中島でよく言われることだが、家長にも同じ事が言える。66分と70分では家長が仙台FWと同じラインまで降りてきてしまうことで前を向けない上に、ライン間に選手がいなくなっていた。ライン間にポジショニングするのは大島や脇坂の方が上手い。家長がバックステップを踏みながらライン間にポジショニングするようになれば、さらに攻撃が活性化するだろう。

5.まとめ

長谷川の怪我など選手の疲労が見えたこの試合だったが、そんな選手の中で一番勝利に貢献したのは田中碧だったと思う。SofaScoreによるとパス成功率は91%、タックル8回、インターセプト2回、地上戦12回(勝利9回)、空中戦7回(勝利3回)と攻守において活躍。仙台のカウンターの芽を碧がいち早く潰していた。ヒートマップをみてもピッチを走り回っていたことがわかる。
個人的にはこれだけ走り回っていると疲労から怪我に繋がって、ステップアップの機会を逃してしまうのではないかと心配してしまう。

次節は湘南ベルマーレとの神奈川ダービー。スタメンに注目です。


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