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J1第10節 北海道コンサドーレ札幌対川崎フロンターレ プレイヤーレビュー 旗手怜央 選手

今節のMOFは旗手怜央選手。試合中にポジションを入れ替えながらも好プレーを見せた。正直まだあまり旗手の良さというのを理解できていなかったが今回分析するとどこか家長のようなものを感じた。詳しくはレビュー内で。
今シーズンはルヴァンカップで1ゴールと結果だけ見ると三笘に先を越されている感が否めないが、今節の働きは今後を期待させるものだった。

1.スタメン

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スタメンはこちら。チャナティップは下がり目の位置にいることが多いため実際は札幌3412のような形。

2.前線からの守備での判断

この試合でまず最初に感じたのは旗手の守備意識の高さ。怪我する前の長谷川も守備意識は高くSBのフォローをしながらタックルしてボールを奪うことができていた。ただ自分の勝手な印象になってしまうがそれが1試合を通して持続的にできていたわけではなかったように感じる。印象なのであてにならないが。それに対し旗手は前プレでも撤退守備でも持続的に対応できていた。実際走行距離は11.9kmで両チームを通じてトップだった。攻守にわたって走れていたということがわかる。

前プレでは中へのパスコースをきりつつ進藤を監視。最終ラインに落ちた荒野(下のシーンでは深井)や宮澤がパスコースを探していると進藤へのパスコースを切りながらよせる。中をきりつつ進藤を監視するのと切りながらよせていく判断が優れていた。

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このシーンでは旗手がボールによせはしなかったが進藤へのパスコースを切っており、中は脇坂がいたため深井は川崎の右サイドへ展開。しかしそのボールを宮代がカットした。チームとしてボールを上手く奪取できたシーンであった。

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次に進藤へのパスコースを切りながらよせていったシーン。上のシーンでは宮澤がボールを持っているがだしどころに困っている。すると旗手は進藤へのパスコースを切りながらプレス。脇坂もそれに合わせて囲み、札幌にボールを蹴らせた。一つ目と二つ目のシーンのように自分で判断して(後ろからの声がけがあったかもしれないが)よせるのかどうかの判断とよせるならどうするのかという判断ができていた。

給水タイムの後に旗手と宮代が左右を入れ替えた。これはおそらく守備を考慮した修正で札幌の攻撃を左サイドでは上手く守っていたが右が上手くいっていなかった。車屋はルーカスフェルナンデスを押さえ込んでいたため旗手より守備面で劣る宮代を左に移しても左サイドは抑えられるという判断だと思う。そこで守備ができる旗手を右に移したことで右サイドも改善した。
以下はその修正が上手くいったシーン。

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この場面であれば守田がマークにつくはずの駒井がフリーになっていたため旗手が福森と駒井の二人を見なければならなくなっていた(黄色いゾーン)。守備の形を442に変更したため中盤の枚数が1枚減ったことに慣れず守田が前に行ってしまったためだと思う。しかし旗手はパスを予想し駒井へのパスをインターセプトした。おそらく守備が苦手な選手であれば自分がマークすべき選手である福森に近いポジショニングをしていたはずだが臨機応変に対応していた。

3.自陣まで下がりボール奪取

前プレでの旗手の判断を見てきたが次からは自陣に下がっての献身的な守備を見ていこうと思う。

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開始早々30秒のシーン。上のシーンになる前旗手は中へのパスコースを切っていたつもりだったが完全に切れておらず駒井にボールが渡り上のシーンになった。パスを通されてしまった旗手はスプリントして戻りルーカスフェルナンデスにプレス。札幌がボールを後ろに下げるとそのままスプリントでまたプレス。開始早々のシーンとはいえ、数的有利であったシーンでスプリントを連続してプレスをできる守備意識の高さに純粋に驚いた。

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このシーンになる前に宮代の見事なターンからの攻撃があった。その際に車屋はペナルティーエリアまで上がっていた。そこを旗手がカバーリングしたシーン。普段はこのスペースをカバーリングするのは大島だが出場停止でいなかったため旗手がカバーリングした。これができるのとできないのでは大きく変わる。旗手がここをカバーリングしないとなると脇坂がカバーリングすることになる。そうするとハーフスペースがぽっかりと空いてしまい、ルーカスフェルナンデスの裏へのパスコースができたり、チャナティップのドリブルスペースを作ってしまう。旗手のカバーリングで危険な攻撃を未然に防ぐことができた。
74分35秒にも小林のカバーリングで札幌の攻撃を遅らせていた。

4.家長のようなプレー

ここまで守備について離してきたがこれからは攻撃の話。冒頭に家長のようなものを感じたと話したが、具体的に言うとフィジカルの強さとドリブルの方向だ。

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4点目のシーン。ソンリョンからのロングフィードをトラップし、中野と入れ替わりドリブルから三笘にアシストしたシーン。旗手は三笘を完全に確認はできていない。おそらく「薫だったらここにいるはず」と思って出したラストパスだと思う。ルヴァンカップ鹿島戦の三笘からの旗手の得点もそうだったようにこの大卒コンビの両WGはこれからも武器になりそうだ。

家長がサイドでドリブルするときによくするプレーがある。それが一度相手選手に体をぶつけてからドリブルのコースを内側にとるプレーだ。そうすることで相手は家長の後ろから追う形になり横からタックルできない。うしろからだとファールをせずにボールを奪うことは難しい。
このシーンで旗手はそれと全く同じことをやっていた。横からくる菅に一回体をぶつけることで菅の前方向にドリブルした。管はペナルティーエリア近くでファールすることができなかった。

5.まとめ

今回FWタイプの選手なのに守備の話ばかりになってしまった。自分の言語化能力が足りず攻撃でも良いシーンはたくさんあったのだが説明ができなかった。例えば22分45秒と26分50秒では良い裏への抜けだしをしていたし、6点目のアシストの前のシーンでは時間帯を考えスペースのあるリスクの低い方向にドリブルしそこから得点に繋がった。
得点などはまだ物足りないかもしれないが守備面での貢献などを考えると三笘と同等の活躍。これからが楽しみだ。

さて次節は難敵セレッソ大阪戦。J1最多連勝記録更新を阻むのがセレッソとは運命というかそういうものを感じる笑。理想はここで中村憲剛が復帰してセレッソに勝ち記録更新という展開。そんな簡単にはいかないだろうが楽しみだ。

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