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J1第17節 浦和レッズ対川崎フロンターレ プレイヤーレビュー 山根視来選手

久しぶりのレビューとなってしまいました。プレビューはあまり時間がかからないので毎節書けるのですがレビューは試合を見返したりと時間がかかるので毎節は難しい...。
という言い訳はどうでもよくて。前節から1週間あいた後半戦の初戦。三笘と橋岡がベンチ外なのには驚いた。
少しプレビューを振り返るとフロンターレは中央を使いたい浦和に対して中を閉めるように442で守備。これは上手くいっていたように思う。攻撃時では横方向にコンパクトに守る浦和に対してサイドチェンジを多用するわけではなかった。あとはやはり浦和はクロスに弱い。クロスを狙うためにダミアンが先発だと予想していたが、ダミアンの高さではなく小林の動き出しで点をとった。

MOFは素晴らしいボレーシュートで先制点を決めた山根。なるべく得点した選手以外を選出するようにしてるが他のプレーも素晴らしかったので選出。

1.スタメン

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フロンターレのスタメンはベストメンバー。今節も学がスタメンに起用された。浦和は柏木が今シーズン公式戦6試合目の出場。

2.ハーフスペースの静と動の使い分け

この記事を読んでくださるような方なら十分わかっていると思いますが、今シーズンはノボリと山根の両サイドバックが欠かせない役割を担っている。そのなかで現代らしい役割がハーフスペースの使い方。

まずはあの先制点豪快ボレーシュートから。

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もう説明不要だと思うが、脇坂が家長にパスを出した後そのまま裏に走ったため浦和のDFがフロンターレの右サイドに偏る。そして柴戸がDFラインをカバーしたためバイタルエリア(赤いエリア)がすっからかん。そこにいた山根が家長の浮き球パスをボレーシュート。このシーンはハーフスペースよりは中央のスペースだが内側に入るという動きは同じ。

このように山根は(ノボリもだが)内側でプレーするのが上手い。ではどういう風に上手いのか。それはテーマでもあるハーフスペースのの使い分けだ。説明する前にもう一つ別のシーンを紹介。

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これはすぐ4分後、またも家長からの浮き球を山根がボレーシュート。
このシーンでは山根はハーフスペースを縦に走り裏のスペースでボールを受けた。

同じような2つのシーンだがハーフスペースの使い方が違う。1つ目のシーンは内側で止まってパスをもらった。つまりの状態でシュートをした。逆に2つ目のシーンはハーフスペースを走る。つまりの状態からシュートに至った。このの使い分けが上手い。では何を基準に使い分けているのか。それはハーフスペースの先端だ。上の図で言うと山根がちょうどシュートを打ったあたりの場所。そこに人がいるのかいないのかで止まるのか走るのかを使い分けている。これは今自分がフリーになれるスペースとその次に使えそうなスペースの2つを認識していなければならないので難しい。

3.家長と脇坂との三角形

ここ数試合脇坂のパフォーマンスが悪いとまでは言えないがベストではなかったが今節はかなり良かった。それが右サイドでの3角形の形成に好影響を与えた。この三角形の作り方は基本的に山根が家長や脇坂の立ち位置を見て残り1つの頂点を埋めるという手順。

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基本的な三角形の形はこれ。フォーメーションどおりにWG家長が幅を取りIH脇坂がハーフスペースで山根が後ろでサポート。こうすることで山中と関根に対して2対3の数的優位をつくり出している。このシーンになる前山根は家長にボールが出た時点でハーフスペースに走るような仕草を見せていたが、脇坂がハーフスペースに向かって動いていたのを見てサポートに切り替えた。

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これは三角形というよりは守田を含めた菱形という方が正しいかもしれない。関根がチャンネルランをした脇坂について行ったためハーフスペースがあいたところを山根がもう一度狙ったシーン。こういう三角形の頂点が流動的に動き続けるのはフロンターレの得意芸。ただここで山根が出て行けたのは守田が後ろでバランスを取っていたから。ここを忘れてはいけない。

この2つの三角形以外には家長がハーフスペースで山根が大外のパターンや、脇坂が大外で家長がハーフスペースのパターン(1分30秒)もある。このようにフロンターレは三角形の形を誰々がここみたいに常に決まっているわけではない(左サイドで三笘が出場している場合は別)。海外だとマンチェスターシティはWGが幅を取ってIHのデブライネがチャンネルランをしてマナスにグランダーのクロスというのが定番だが、あれはプレーの質が高くスピードも速いので分かっていても止められない。しかしフロンターレにあそこまでの質と速さはないので三角形をランダムに変えることで防がれないようにしている。

4.人を捕まえる守備

フロンターレがシーズン序盤に433でWGが相手CBに外を切りながらプレスに行った時に高い位置をとった相手SBがフリーになってしまうことがファンの間で問題になっていた。その解決策の1つとして442で守ることをやり始めた。ただ433で守る時もある。シーズン序盤はIHが出て行くことで対応していたが最近はフロンターレのSBが相手のSBにつき、CBがスライドして守ることが多くなっている。ただこの守り方だとほとんどの場合でDFが数的有利を捨てることになるのでリスキーではある。
今節は442で守っていたため浦和のSBを山根が抑えるというシーンは少なかったが(一度だけ46分にありました)浦和はサイドハーフの選手が内側に入るのでCBからの楔のパスを受けやすい。そこを山根が抑えにいくシーンの紹介。

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上の図のように浦和のサイドハーフ関根が内側にポジショニング。家長は外側から山中にプレスをかけているので関根へのパスコースが生まれている。そこを山根が早めにチェック。細かいし難しいことではないように見えるがこういうディティールをアンカーやDFラインの選手がサボらずに行ってくれるのでハイプレスが上手くはまっている。ちなみに山根が関根に行くともともと山根がいたスペースにCFの選手に走り込まれるとジェジエウが引っ張りだされるので嫌なのだが杉本がそういう動きをしなかったので助かった。

5.まとめ

試合後のインタビューで山根も言っていたが家長に預けたら取られないので走って行ける。山根は前に家長がいることで活躍できている部分もあるとは思うが逆もそうだと思う。山根がタイミング良く走ってきたりサポートしてくれたりするので家長へのプレッシャーが弱くなったりする。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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