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<前編>データで見るボランチとチームの攻撃においての関係性~その結果から見えた特殊なチームとは~

前回までは選手紹介やコラム的な記事を書いてきましたが、今回は初めてデータ分析の記事を書いてみることにしました。初めてということで、そもそもデータ分析として成り立っていないかもしれませんがよろしくお願いします。


今回のテーマはボランチとチームの攻撃においての関係性です。どんなフォーメーションを使っていても必ずと言っていいほど存在するポジションボランチ。試合において、司令塔やゲームメーカーといわれる選手が多くプレーしているポジションです。そんなボランチに求められる能力の1つとして、パスの能力があります。ゴール前で得点に繋がるラストパスを出したり、ビルドアップ段階では、敵のプレスをかいくぐるパスを出す。このようにボランチの主なプレーはパスです。このボランチの能力が高いチームは攻撃においても高い能力を発揮するのか。これが今回の問いです。では実際に分析していきます。


1.データ

今回使用するデータはデータスタジアムが運営するサイトFootball LABに掲載されているデータを使用させていただきます。以下は使用データとその説明をリンク付けしました。また各データの簡単な説明も書いておきます。

パスCBP      選手が行ったパスをフィールド上の位置や難易度をふまえてポイント化したもの
ビルドアップ力       選手のパスやボール保持などのビルドアップ時のプレーをポイント化したもの
パスチャンス力  ラストパスやパスCBPを使い、選手のパス能力をポイント化したもの
AGI        攻撃の際に相手ゴール近くでボールを保持した時間やPAに行くまでにかかった時間などを考慮した各チームの攻撃ポイント

2.定義

今回の問いである「ボランチの能力が高いチームは攻撃においても高い能力を発揮するのか。」の中の言葉をデータ化するにあたって定義します。

キャプチャ1

3.分析方法

1.各チームにおいてボランチ3名もしくは2名の各データ(上の3つ)をそれぞれ平均化し、その値をボランチの能力値とする。
2.各チームのAGIとボランチの能力値の関係を調べるため、散布図を作成し、相関係数を求める。

4.予想

ゲームメーカーや司令塔と呼ばれるくらいのポジションですので、私はデータで見てもボランチのパス能力はチームに影響すると思います。皆さんも予想してみてから先に進むのも良いと思います。

5.分析結果

では実際に散布図と相関係数を見てみます。Football LABにはボランチの能力に関するデータが3種類あったので、それぞれについてAGIとの関係を調べました。

1.AGIとパスCBPの関係

キャプチャ2

相関係数 0.628

2.AGIとビルドアップ力の関係

キャプチャ3

相関係数 -0.072

3.AGIとパスチャンスの関係

キャプチャ4

相関係数 0.491


6.考察と結論

ボランチの能力3つとチームのAGIとの関係を調べてみましたが、相関関係の強弱を示す相関係数は高くありませんでした。特に2番目のビルドアップ力との関係はないと言えるでしょう。外れ値を除いた相関係数も調べてみましたが、あまり変化はありませんでした。
ビルドアップ力のデータにはパスだけでなく、ボール保持やドリブルも考慮されているのでこれが一番関係あるのではないかと考えていましたが、真逆の結果でした。
なぜこのような関係になったのか。別のデータを使うと異なった結果が得られるかもしれません。そこがデータ分析の面白いところです。他のデータを使用しつつこの結論を導き、また記事にしようと思っています。
ご意見がありましたら、twitterによろしくお願いします。

7.まとめ

まとめといきたいところですが、皆さんも既にお気づきだと思いますが、上の3つの散布図で共通していること。ほとんどのチームが集合しているのに対し、大分トリニータだけ異様な場所に位置しています。
なぜ大分トリニータだけ特殊なのでしょうか。大分トリニータといえば、疑似カウンター(相手チームを自陣におびき出し、GK高木の高いフィード技術によって相手陣地にボールを運ぶ戦術)です。
これと関係があるのでしょうか。疑似カウンターとの関係も含めて次回は大分トリニータのデータ分析をしてみたいと思います。

後編です



今回初めてのデータ分析ということで、わかりずらかったり間違っていたりしたかもしれませんが、次回も読んでいただけると幸いです。ありがとうございました。

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