【連載小説】マザーレスチルドレン 第十六話 追跡されてる?【創作大賞2024漫画原作部門応募作】
「じゃあ、裏口から出るぞ、ハル」
「わかった」
二人は、駐車してあった古い型のライトバンに乗り込んだ。
「エアコン壊れてっから、ちょっと暑いけど我慢してくれ」
マスターはエンジンを掛けようとするが、セルモーターが弱々しく唸るだけで始動しない。
「バッテリーが弱ってるみたいだ、こんな時に限って……、たのむ、掛かってくれ」汗まみれでハンドルに頭をつけ祈るように何度もマスターはキーを廻す、五回目にしてやっと低い排気音が響いた。
「よし!」ホイルスピンさせながら通りに飛び出した、