【連載小説】マザーレスチルドレン 第十五話 ノセのオジキ【創作大賞2024漫画原作部門応募作】
「いらっしゃいませ、おしぃとりしゃまですか?」
一歩店内に入ると浅黒い肌をした女の店員が声をかけてくる。ヨシオカはそれには応えずせわしく目を泳がす。雑多な人種の酔客で溢れかえりあちこちで外国語と笑い声が飛び交っている二十四時間営業の低価格だけがうりの居酒屋チェーン。喧騒をかき分け進むといちばん奥のテーブル席で上下白のジャージ姿のノセがひとりジョッキを傾けていた。
「おう、久しぶりだな、ヨシオカ」
「ご無沙汰してます」ヨシオカが頭を下げる。
「かたくるしい挨拶はいい、まあ