iOS 13本の構想 #技書博
技術書同人誌博覧会という今月末に開催されるイベントで、iOS 13本とARKit 3本を出そうと思っているのですが、これらの本は、今までの「実践ARKit」や「Metal入門」とはちょっと違うポジショニングで考えています。
今まさに執筆中で、そのへんについての考えを整理しておきます。
サッと書いてサッと出す。こだわりすぎない
「実践ARKit」や「Metal入門」は、商業本レベルで書いたものです。何をもって「商業本レベル」といってるかというと、僕が商業本を書いた経験が複数回あって、同じ程度に力をいれて書いたから。
これらの本は、技術書典が初出ではあったのだけど、イベント後もBOOTHで売り続け、改訂も続けています。「MetalやるならMetal入門」「ARKitをネイティブでやるなら実践ARKit」・・・は言いすぎかもしれませんが、わりとそこに近い位置付けになれているのではと思っています。
一方で、今回のiOS 13本は、こだわりすぎず「ブログ以上・商業本未満」ぐらいの感じでなるべくサッと書いてサッと出したいと思っています。
この背景には以前出した、「iOSエンジニアのためのmacOSアプリ開発入門」という本での体験が原体験としてあります。この本、一番最初のバージョンは、表紙もつけず、サンプルもつけず、1日で書いて出したのですが、
これがめちゃくちゃ好評だったのです。
サッと書いたので内容も簡潔で、サッと読める。そして時間をかけてないぶん安くした(300円)ので、買いやすい。
確か1日で100冊以上売れました。単価が安いので売り上げとしてはたかが知れていますが、とにかく「サッと書いて出した本がめちゃくちゃ好評だった」という成功体験をここでしたわけです。
アップデートしない≒会場限定販売
で、上に書いたmacOS本、その後にわりと時間をかけてリライト・追記してページ数を2倍ぐらいにして、表紙もつけ、値段を少し上げた(500円)ところ、これがまぁ売れなかったのです。値段は1.7倍ですが、販売数は10分の1ぐらいになりました。300円に戻すとまたポツポツ売れるようになりました。
おそらくmacOSアプリ開発本については、
・300円・・・「すぐには作らないけどめちゃ安いし読んでみよう」
・500円・・・「すぐには作らないから今はいいや」
という購入判断の分岐点が300円と500円の間にあったのかなと思っていて、この価格帯に購入判断の分岐点がある本の場合は、サッと書いた文章なのかじっくりリライトされて整備された文章なのか、というところはあまり影響しないのかなぁと。
一方でMetal本やARKit本は、その分野を勉強するぞ、という人が少々高いお金(Metal入門は電子版だけで2,500円)を出してでも買ってくれてるので、しっかり校正して品質を上げることは重要で。
つまりサッと書いて出したあとに時間をかけて品質向上を行うべきかどうか、本ごとに考える必要がある。
で、iOS ◯◯と、iOSのバージョンを関した書籍というのは、どんなに重要なことを書いてあっても商品としての寿命が次のiOSバージョンが出るまで、という悲しい宿命にありまして。
たとえばiOS 11 ProgrammingにPDFKitの解説があるのですが、iOS 12が出たからといってPDFKitがdeprecatedになるわけではないし、他の新しい書籍に新しい解説が載るわけでもないので、iOS 12が出ても「iOS 11 Programming」という本の価値は下がってないはずなのに、やっぱりどうしても売り上げは下がる。
というわけで、iOS 13本は、スピード感こそが重要で、メンテし続ける類の本ではない → 基本的にはアップデートせず、サッと書いて直近のイベントで出して終わり、ぐらいのつもりでいようと。
第一目的は自分の勉強
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