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Otaku記事#08「丸物専門職の話」

随分御無沙汰してしまいました。久しぶりのOtaku企画です。今回は私たち木地師が“丸物”専門であるというお話をさせていただきます。丸物、まるもの、マルモノと聞いて浮かんでくるのは…ドラ○もん??ア○パンマン??実はこの“丸物”というキーワードは、木地師の仕事の根本を知るとっても大切なポイントなんです。



そもそも木地?ってなんぞ?


き‐じ〔‐ヂ〕【木地】
1. 年輪や木材繊維の粗密などによる、木材の地質。木理もくり。木目もくめ。
2. 漆などの塗料を塗る前の、白木のままの木材・指物さしもの・器物
3. ろくろ挽びき、木彫りなどの細工をする材料の木を粗挽きしたもの。
「木地塗り」の略。
出典 小学館デジタル大辞泉


これは辞書でいうところの「木地」。私たちが「木地」という時はこの1と2と3を組み合わせた、漆などの塗料を塗る前の木材の轆轤(ろくろ)挽きをした白木のことを指します。

要するに、私たち木地師によって刃物を当てられて挽かれ、表面を整えられた後の“すっぴん”のままの木の器ということ。そして、この木地を挽く職人のことを木地師といいます。木地はここから目止めをするために、次の工程の職人下地師の上田さん[Project特集をご参照ください▶ 対談企画vol.2 下地師 上田敏樹氏に学ぶ]へと渡っていきます。




轆轤で回して、刃物を当てる『挽物』を作る


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木材を扱う職人さんは日本各地にいらっしゃいますが、私たち木地師が創り出すのは轆轤(ろくろ)に木材をセッティングし、木材そのものを回して刃物を当てて木を挽いていく『挽物(ひきもの)』。回転しているものに刃を当てるものなので、出来上がってくるものは自ずと左右対称の“丸い”ものになります。これが丸物専門職の所以。


ここでその工程を少しご紹介。


白鷺木工さん[Project特集をご参照ください▶対談企画vol.1 下荒挽き師 白鷺木工に学ぶ]から頂いた荒挽きの木地を旋盤轆轤にセットし、職人が手で削り上げた刃物を当てていきます。

動画内でご覧頂いても分かるように、かなり贅沢に木片が削られていくのが分かります。今回の動画は外挽き=外側を挽いているもの。この後内挽き=内側を挽いて最終的な形に仕上げていきます。
▶詳しくはShozu Shikkoの紹介ページまで



想像&創造力で様々な展開を!


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丸物専門??じゃああんまり色んなもの作れないですね?と思われた方、実はそうでもないんです。この轆轤の回転から生まれるマル、円を組み合わせていくと色々な形が作れちゃうんです。(たまに四角のお盆や左右非対称の彫り物のようなものをお願いされると流石に困っちゃうのですが…苦笑)

例えば…


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このストッパー。こんな曲線や窪みを組み合わせるとトランプのスペードの形も再現できます。これもどこを輪切りにしても「マル」ですね。


そして…こんなものも!

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2020年にKiwakotoさんとコラボレーション企画で作ったオーガナイザー。[Newsをご参照ください▶コラボレーションアイテムが出来ました。]こんなナナメの切り口も丸の組み合わせです。これも勿論輪切りにしても「マル」。

色々な想像&創造力を膨らませるとまだ今まで作られてこなかったものも作れるかもと、日々アイテムを考えている私たち。実は今、皆さんにもそのお手伝いをお願い出来るような企画を現在考え中です!近々発表いたしますので、楽しみにお待ちくださいね。




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