Sansanのプロダクトデザイナーについて
こんにちは、Sansanのプロダクト開発部、デザイングループでマネジャーをやってる鈴木です。
緊急事態宣言は解除されたとはいえ、世の中の流れとともにリモートワークを続けておりますが、だいぶこのスタイルも定着し、もはやこれが当たり前のような感覚で仕事をしている感すらあります。
ほんの2ヶ月前は想像できなかったこと(みんながリモートワークになること)ですが、やはり「慣れ」に勝るものはないな、と。
一方、自宅のネットワークの調子によってリモートでのコミュニケーションが快適にできないことにストレスを感じたりしています。
一説によると、今後のモテる条件として「お金持ち」とか「容姿がいい」とか「おもしろい」よりも「強固なネットワーク環境がある」という点が重視されるとか。
なるほど、どれだけかっこよくおもしろいことを言ってもネットワークのせいで相手に伝わっていなかったら意味がないですし、互いにストレスを感じてしまいますよね。
そのあたり、コミュニケーション設計をミスらないようネットワーク環境を改善していければと思う今日このごろです。
さて、今回はSansanのクリエイター組織の概要から入り、プロダクトデザイナーが担う役割や、普段やっていることを紹介していきます。
Sansanに所属するクリエイター
Sansanには、デザイナー / ディレクター / ライター / エディター / 動画クリエイター/ その他… のようなクリエイティブに関わる職種、あわせて40名ほど(2020/05現在)のクリエイターが在籍しています。
ですが、「デザイン部」のようなセントラル組織があるわけではなく、それぞれが別の部署に紐づき、違う業務を遂行しております。
その中でデザイナーはおよそ20名強というところでしょうか。
プロダクトそのものをデザインする人、オンライン / オフラインのプロモーションをデザインする人、ブランドエクスペリエンスをデザインする人など、それぞれが専門の部署に紐付いています。
部署ごとにクリエイターを紐付けることでやることが明確化され、作業効率はあがっていくのですが、コミュニケーションがそこで閉じてしまうことがよくあります。(部署を超えたコミュニケーションは意識しないとなかなかできないものである。)
せっかくたくさんのクリエイターがいるのに部署で閉じちゃうのももったいないよね、もっとコラボレーションして何かやりたいよね、というような思いから横串でクリエイターをつなぐプロジェクト「Juice」が誕生しました。
このような枠組みを用意することでみんな距離が縮まり、仲良くなり、たくさんアイディアが生まれ、今までなかったようなものがつくれる、みたいな相乗効果が期待できます。
実際、業務には直接関係のないクリエイティブな活動に時間や予算を使うことも可能で、ここからうまれた公式ノベルティなんかも多数あったりします。
先日は試行錯誤しながら、オンラインでAppの設計をするワークショップを実施しました(企画/準備大変だった・・)w
プロダクト開発部デザイングループ
Sansan全体のクリエイターについて書いてきましたが、ここからは私が所属するプロダクト開発部デザイングループについて紹介していきます。
読んで字の如く、「プロダクト開発部」という部署に属するデザイングループ、すなわち、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」を開発している部署のデザイングループです。
いわゆるプロダクトデザイナーで構成されているグループで、現在はマネジャー(私)含め8名が在籍しています。
このような体制で提供するプロダクトすべて(PCブラウザー、スマートフォンアプリ、その他)のUI/UX設計全般を担当しています。
※日常的にすすめているプロジェクトについては↓の記事にまとめてあります。
プロダクトデザイナーの責務
基本的にはシステムとユーザーの接点すべてがデザイン範疇なので、よく「ユーザーコミュニケーション設計全般」という表現をしています。これはSansanだから、ということでもなく、プロダクトデザイナーとして一般的なものだと捉えています。
それとは別に、私たちプロダクトデザイナーのミッションめいたものを掲げていたりします。
「ユーザーにSansanの価値を伝え、しっかり機能するデザインを提供する」
[価値を伝える]
プロダクトはフェーズや時流によって提供できる価値は変わっていくと考えています。
Sansanはまさにその手のプロダクトで、価値が伝わらないとフル活用できない(しようとすら思わない)という状態になってしまいます。
たとえば、「名刺を登録する」という行為にはさまざまな価値につながっていきます。社員全員が出会いを共有することで接点データベースが強固になり、そのデータをさまざまなビジネスシーンに活用することで、新しいビジネスがはじまるきっかけがうまれる。
そんな夢のドリームのような価値があるはずの行為ですが、単純に「名刺をスキャンして登録してください」という文面だと自分が交換した名刺をデータ化して自分の名刺帳として使う、にとどまってしまう。終いにはめんどくさくなって登録という行為すらしなくなってしまう。
ユーザーがこのような状態になってしまうことはある程度デザインの力で防げるはずなので、新機能や改善に関して「それにどのような価値があるのか」という観点で設計に向き合っていきたいです。
また、afterコロナの世界では新しいビジネス様式がうまれ、Sansanが提供する価値もアップデートしていきます。しっかりをその価値を伝えていかねばなりませんね。
[使えるものにする]
仮に価値は伝わっているとして、すごく使いたいんだけど、でも難しくて使えない。これだと本末転倒、お互い幸せになれません。
Sansanは業務アプリケーションなので、想定されるユーザー像やリテラシーはかなり多岐にわたります。
また、機能によってシナリオや使うシーンもバラバラ。
社外の人と名刺交換する機会の多い営業職をメインターゲットとしているものの、そこに特化しすぎた体験設計では偏りがうまれてしまう。
Sansanはあらゆるビジネスパーソンが業務で日々使いできるビジネスインフラになることを掲げるプロダクトでもあるので、こういった制約に向き合いながらなるべく利用のハードルや学習コストを下げることを意識せねばなりません。
こちらはβ版という扱いで一旦定めたものではありますが、上記を意識し、最適なデザインを提供していくことが私たちがここにいる理由だと宣言したものになります。
少し粒度の違う話をいきなりすると、結局のところSansanのプロダクトデザイナーに求められるのは会社が掲げるMission (出会いからイノベーションを生み出す) やプロダクトのコンセプト (名刺管理から、働き方を変える) を具体化することだと考えています。
「実現したい世界ってなんなんだっけ」とか「明日の当たり前をつくる」とか、そのような極めて抽象度の高い営みの最前線で戦うことができるのがSansanというプロダクトにデザイナーとして参画できる喜びと楽しみなのかなーと。
注力していること
つらつらと書いてきましたが、結構当たり前なことをミッションとして掲げています。
そんなもんだと言ってしまえばそれまでですが、こちらをひねり出すのにデザイナー全員の結構な工数を使ってるんですね。。何よりここに至ったプロセスが大切で、「共通認識」を持てさえすれば使った工数ペイできるかなと考えています。
しかしながら、「共通認識」という言葉。この仕事をしていると流行語かと思うくらいよく使います。それほど大事なことなんですね。
はい、ここからは私たちが所属するデザイングループの注力ポイントについて書いていきます。
常々、偉い人たちからこのように言われます。
「設計のスピードをあげてほしい、クオリティは担保したままで」
つまり、「よいものを、はやくつくる」ということですね。
そのために私たちは現在、以下2つに注力しています。
1, [生産性をあげるために] 強固なデザインシステムの構築
Sansanは10年以上フルスピードで駆け抜けて開発されてきたサービスです(現在進行系ですが)。
それは先人たちの汗と涙の結晶と言っても過言ではなく、スピードを重視してつくられてきました。
見た感じは完成されたサービスに見えるかもしれませんが、改善すべき箇所は山ほど、特にフロントエンドの実装には非常に課題感があります。
共通化を進めず、独自実装されてきたUIパーツたちで溢れかえっている現状。。
これではいかん、このままでは生産性が瀑下がりしてしまうということでプロダクトマネジャー/デザイナー/エンジニアでUIパーツのコンポーネント化プロジェクトを立ち上げ、いまこの課題に向き合っています。
実はこのようなプロジェクト(負債を返却し、生産性向上に資する)にコストをかけられるようになったのも最近の話なので、それだけでも大きな一歩かと。
まだまだ満足なものはできていませんが、なんとか運用できるものはローンチされています。
この営みは別記事にしようと思うのでまたそのときに詳しく・・
2, [質を担保するために] デザイン指針の作成/運用
なぜそのデザインが「よい」とされるのか。
他人の制作物の批評をするとき、デザインレビューをするとき、そのあたりの観点がブレて話が平行線になってしまうことってないでしょうか?
画面を設計するとき、A案とB案、両案とも要件を満たし、課題は解決できるんだけど確信を持ってこっちのほうがよいと判断できずに困ることってないでしょうか?
私たちはよくこういうシーンに遭遇します。
複数人で同じプロダクトをデザインするためには「よい」とされる基準を策定する必要があると考えます。
では、「よい」とはどういう状態か。
その問いに答えるヒントはユーザーが持っている場合が多いです。
ここでいつもユーザーへの共感 ・理解の足りなさという分厚い壁にぶち当たる私たち。
前述の通り、業務アプリケーションであるSansanのユーザーは多岐にわたり、シナリオや使うシーンもさまざまです。そのひとつひとつを紐解き、リサーチを重ねながら確からしいユーザー像を導いていく必要があります。
これまでも指針作成にグループ全体で工数を使ってきましたが、まだ満足いくものはできていません。
「よい」とされる基準について共通の理解がすすみ、Sansanならではのデザイン指針が完成したらしっかりプロセスを記事化し、アウトプットしていきたいです。
強固なデザインシステムが完成し、軸の通った指針のもとデザインワークをすすめることができれば、だいぶ設計スピードはあがりクオリティも担保できると信じてこれからもこれらに注力していきたいですね。
ま、口で言うのは簡単なことで、実際には適宜ふりかえりながら方向性はピボットしていければと思ってます。
プロダクトづくりにおけるあらゆる営みにおいて「完成」とか「100点」みたいな概念は存在せず、常に現在進行系であるという感覚で取り組んでいるので。
さいごに: マネジャーは「役割」である
ここまで書いてきて、「これ完全にマネジャー目線になってるなー」と自分で感じてしまったので、最後にマネジャーとしてのふるまいについて自分なりの見解を述べて終わりにしたいと思います。
私が正式にデザイングループのマネジャーになったのはちょうど半年前くらいの話ではありますが、それ以前もそのような動き(採用/育成/評価など)をしていました。
「メンバーの強みを引き出し、アクションを促し、グループの成果にコミット!!そしてグループの北極星になり、常に方向を指し示すのだ!」
このような教科書めいたことを前提としつつも、私がマネジャーとしていちばん意識していることは「メンバーのみんながやるべきことに集中できる環境を整備すること」かもしれません。
それが整ってないと余計なことにアテンション奪われ、成果は最大化できないと考えてます。
また、私もデザイナーの端くれではあるので、やはりどこかで手を動かしていたいという気持ちがあったりするんですね。
部門内の重要なプロジェクトやスピードが求められるものに関してはメンバーに託して、あふれた細かな改善プロジェクトやコーポレート目線で必要とされるデザイン業務などは積極的に巻取り、現場感を保つようにしています。
何が言いたいのかというと、
マネジャーが指示をしてメンバーを動かしていくというよりは、グループの中にマネジャーとプレイヤーという役割の人間がいて、それぞれが自立してやるべきことをやる
組織図では上に置かれるマネジャーですが、フラットな関係性を保っていくことがデザイナーのグループを運営していくにあたり必要なことだと考えてます。
このような文化は私がマネジャーになる以前(マネジャー不在時)から培われ、「自走力」は各メンバーの強みのひとつでもあるのでこれからも大切にしていきたいですね。
それでは!
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