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【気まぐれライナーノーツ】憧れたオトナの男の恋の歌〜「ハバナ・モヒート」山下圭志

 「ハバナ・モヒート」
     詞・曲/冴沢鐘己

細いラムの瓶が 残されたテラスに
君の甘い声は もう聞こえない
 悪い夢の中で 砕け散る空のように
 儚い恋だと 残り香だけ置いて
ハバナ ハバナの風 君を連れて消えた
ハバナ ハバナ・モヒート
グラス越し すり抜けた 恋の夢を見た

渚の約束は 朝までに消えると
ミントの葉を噛んで 目をそらせたね
 若く青い日々の 想い出を数えても
 儚い恋だと 忘れられないのさ
ハバナ ハバナの風 君は何が見えた
ハバナ ハバナ・モヒート
苦い汗 甘い息 君の夢を見た

 悪い夢の中で 砕け散る空のように
 儚い恋だと 残り香だけ置いて
ハバナ ハバナの風 君を連れて消えた
ハバナ ハバナ・モヒート
グラス越し すり抜けた 恋の夢を見た
ハバナ ハバナの風 君は何が見えた
ハバナ ハバナ・モヒート
苦い汗 甘い息 君の夢を見た


 あの大ヒット曲「ルビーの指環」(寺尾聡)がリリースされたのは1981年。「シャドーシティー」や「出航(SASURAI)」といった一連のシングルが含まれたアルバム「Reflections」は、それこそ空前のヒットで、なんならクラスの全員が持ってるんじゃないかというくらい。

 クラスって言っても、当時の僕はまだ中学生よ。そんな青臭いガキにああいった大人の恋の歌なんて、どこまでわかってたんだか。

 KCさんのプロデュースをする時に、第一のコンセプトはもちろん“シティーポップ”で、1stの「虹色のパレード」や「瞳にシャワーレイン」はそれこそポップでオシャレで爽やかな世界観を目指したのね。

 で、セカンドシングルとなった時に、あの頃憧れた“寺尾聡”のような大人の曲を作りたくなったのです。いわゆるAOR。

 大人の恋でしかも「夏」となれば、めざすはラテン。でもあんまり歌謡曲テイストにはしたくなかったので、洋楽ヒットの中からバリー・マニロウの名曲「コパカバーナ」をベースにすることに。

 コード進行にさりげない転調やモード進行を挟みつつ、要所要所に歌謡曲的なフックを入れて、後は歌詞の世界観よね。

 大人の恋といえば「お酒」なので、数ある銘柄の中からモヒートをチョイス。そこからの連想でラムからハバナ、そしてミント。

 小道具さえ揃えば、後はKCさんが歌ってる姿をイメージして、わりとすらすらと詞は出来上がりました。

 めちゃくちゃ短い歌詞だけど雰囲気と情感は描けたと思います。

 個人的には「君は何が見えた」の1フレーズがお気に入りで、恋のすれ違いは結局そのひと言に尽きるのよね。

 PVも、限られた条件の中ではかなりいい仕上がりになったと思います。初出(2016)から6年の時を経て、タイアップがついてテレビから流れて感無量。


山下圭志『SHORE BREAK』(2019リリース)『愛はプリズマティック』(2022リリース)収録。
テレビ朝日系列 YTS山形テレビ深夜版「Do~んな天気」2022年3月度タイアップ曲。

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