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レーザー核融合の持続化へ、シード期18億円の資金調達 ジンが記す週刊SmartPitch[エネルギー関連業界]2023/07/26

執筆者紹介🖌

執筆者は2023年3月末に株式会社ショーケースにインターンとして参加したした通称ジン。SmartPitchの認知度拡大と最適化に奮闘する中で、資金調達やM&A、業務提携情報が一括でまとめられたメディアの有用性に注目して週刊SmartPitch発行を決意した。
日頃は新しいもの・ことに常にふれながら、個人の裁量が大きなこの職場で、第3者かつ学生独自の視点を活かしつつ、様々なことを実行に移しPDCAを回し続けることを心掛けている。


今週のPick Upニュース
インドで開かれた20カ国・地域(G20)エネルギー相会合において、化石燃料を巡って「unabated(排出削減対策が講じられていない)」燃料の使用抑制についてコンセンサスを得ることができず、排出削減の道筋を表現する文言で議論になり、化石燃料の段階的低減で合意に至らなかったそうだ。このように、今後どのようなエネルギーをどのように使用していくかは国際社会が抱える重要な問題である。今回は、そんなホットな話題を抱えるエネルギー関連業界について、資金調達情報、出資情報や業務提携情報をまとめていこうと思う。


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ビルが発電所に! 太陽光で発電する窓ガラスを開発するベンチャー「OPTMASS」へ出資

創業期のスタートアップから出資・成長支援を行う株式会社サムライインキュベートは、運営するSamurai Incubate Fund 7号投資事業有限責任組合より、株式会社OPTMASSへ出資した。

OPTMASSは、発電する窓ガラスの技術開発を行う京都大学発のスタートアップ。昨今、環境問題やエネルギー問題が社会課題になっている中で、クリーンで持続可能な太陽光エネルギーに注目が集まっている。太陽光エネルギーのうち利用されているのは目に見える光のみで、太陽光パネルも見える黒色。しかしながら、全体の約50%を占める目に見えない赤外域の熱線はこれまで利用されてきておらず、この熱線を活用すればパネルも透明にすることが可能だ。

OPTMASSでは、この熱線を有効利用するため、選択的に吸収して電力に変換する透明な発電ガラスの開発を進めている。発電ガラスは、発電によるエネルギー生産のみならず、省エネルギー効果を有しているため、ビル等の窓ガラスに代用することで省エネと発電の組み合わせによってCO2削減を実現することも可能。2027年の発電窓ガラスの社会実装を目指す。

OPTMASSの熱線制御技術は、窓ガラスから光を取り込みたいというヒトの根源的欲求と、省エネ・創エネのために光を遮る・吸収するという一見相反するニーズを同時に満たすことができる非常にユニークな技術。かつて隆盛を誇った日本の太陽電池技術が時代を超えて再興する。そんな夢のような話が現実となるよう、サムライインキュベートは支援していく。


自然電力がVPP事業を行う新会社「Shizen Connect」を設立

自然電力株式会社(以下、自然電力)は、100%子会社「株式会社Shizen Connect(シゼンコネクト)」(以下、Shizen Connect)を2023年10月に設立する。蓄電池や電気自動車(EV)、EV充電器などのエネルギー機器を集合制御し、発電所と同等の機能を提供する「VPP(仮想発電所)」事業などを行い、2030年までに売上高100億円を目指す。

 自然電力はこれまでもVPP事業を展開してきたが、今回の分社化により、Shizen Connectが展開するエネルギーテック事業のさらなる加速のためのデジタル人材の獲得及びデジタル人材がより活躍しやすい組織づくり、そして、パートナー企業との資本提携の促進を図る。

 自然電力は2018年より、IoT技術と人工知能(AI)を活用し、再エネ発電設備や蓄電池・EV・EQなどのエネルギーリソースを集合的に制御するアグリゲート・エネルギー管理システム「Shizen Connect(シゼンコネクト)」(以下、「Shizen Connect」)を開発してきた。これまで5年連続で採択された経済産業省のVPP関連の実証事業などを通じて「Shizen Connect」の機能や精度の増強を続け、2023年5月には、国内最多の家庭用蓄電池メーカーとの協業によるVPPサービスを実現し、東京ガスの節電キャンペーンに採用された。また2023年7月には西日本鉄道の系統用蓄電池事業での活用も発表した。

 新会社では「新しいエネルギーと電力システムの調和」をビジョンに掲げ、再エネ発電設備や蓄電池等様々な機器をつなぐことで、需要家や電力関連事業者、そして電力システム全体に役立つ制御を創出していきます。また小売電気事業者や電力関連機器メーカーといったパートナー企業のVPP事業を支援していくことが重要であると考えており、資本提携も含む連携強化を加速させます。2023年度中での資金調達ラウンドを設定することを予定しています。


米国核融合スタートアップBlue Laser Fusion Inc.が初回の資金調達を実施

核融合技術は、究極のエネルギー源として50年以上にわたり学術研究が続いており、新たなクリーンエネルギーとしての期待だけでなく、AI活用で爆発的に増加するデータセンターエネルギー源として期待が高まっている。

世界中で様々な核融合技術の研究・開発が進められる中、レーザー核融合は、2022年に米国ローレンス・リバモア国立研究所が入力レーザーエネルギーを上回るエネルギーの出力を人類として初めて達成したとの報道があり、フランスでは2兆円以上の予算により国際熱核融合実験炉ITER(International Thermonuclear Experimental Reactor)の建設が進められている。これらの国家的取り組みに加え、スタートアップの活動も活発化しており、すでに30以上のスタートアップが累積50億米ドル以上の投資を集めているのが現状だ。

Blue Laser Fusion Inc.(以下、「BLF」という。)は、独自のレーザー、核融合炉の発明をもとに、レーザー核融合(※)の商用化を目指すスタートアップとして、カリフォリニア大学サンタバーバラ校教授の中村修二氏をCEO、早稲田大学ベンチャーズ(WUV)共同代表の太田裕朗をCTOとして、2022年11月に米国で創業登記された。BLFは、独自のハイパワーレーザー発生方式、中性子を発生しないHB11燃料の組み合わせに基づくレーザー核融合方式を採用する方針を掲げている。

このたび、BLF社は、2023年7月に、SPARX(未来創生3号ファンド)、JAFCO(ジャフコV7投資事業有限責任組合、ジャフコSV7-S投資事業有限責任組合)をリードインベスターとする総額25,000,000米ドルの初回資金調達を実施した。
(※)レーザー核融合技術について、気になる方はこちらから


京葉ガス「カーボンニュートラルチャレンジ2050」達成に向けエクセリオの袖ヶ浦太陽光発電所に投資

京葉ガスとエクセリオは千葉県袖ケ浦市の太陽光発電所(16メガワット)の売買に合意した。今回の売買は再生可能エネルギーへの投資を促進し、京葉ガスが2022年4月28日に発表した「カーボンニュートラルチャレンジ2050」を推進することを目的としている。

2023年7月18日、ガス及び電力事業を行う京葉ガス株式会社は、再生可能エネルギー事業開発を専門とする世界的企業であるエクセリオ株式会社と、2023年初頭に稼働した千葉県袖ケ浦市に所在する16メガワットの太陽光発電所の売買契約を締結した。

エクセリオは、再生可能エネルギー及び持続可能エネルギーのプロジェクトにおける開発、建設、資金調達、運用を専門としており、ヨーロッパ、米国、南米、日本、オーストラリアなど世界で展開している。同社が18年間の活動で建設した施設の発電容量は2.8GWを上回る。エクセリオグループは再生可能エネルギーや持続可能エネルギーに関わる開発分野の世界的リーダーであり、温室効果ガスの削減および気候変動との戦いに精力的に取り組んでいる。2012年より日本で事業を開始し、日本のエネルギー転換に大きく貢献する392メガワットの太陽光発電プロジェクトの開発を行ってきた。

今後のプロジェクト運営は京葉ガスエネルギーソリューション株式会社が行行う。京葉ガスは持続可能な社会の実現に向け、グループ各社とともに「カーボンニュートラルチャレンジ2050」を掲げている。京葉ガスは今回の投資に加え、国内外の再生可能エネルギーの開発を積極的に推進し、脱炭素社会とSDGsに貢献する事業を推進していく。


双日、ターコイズ水素の製造技術開発のHycamite TCD Technologies Oyへ出資参画

Hycamiteは2020年に創業したフィンランドのスタートアップ企業で、天然ガスやバイオガスなどの主成分であるメタン(CH4)を熱分解し、水素(H2)と固体炭素(C)を製造する技術を有する。一般的にこの製法で製造された水素は「ターコイズ水素」と呼ばれ、製造時に二酸化炭素(CO2)を発生しないことから、次世代水素として注目されている。Hycamiteは独自に開発した革新的な触媒技術により、低いエネルギー消費量(電気分解による水素製造プロセスの13%の電力消費量)で水素を製造することができ、またカーボンナノチューブなど付加価値の高い固体炭素製品を併産する。

一般に、大気中へのCO2放出を抑えたクリーンな水素の社会導入には、製造過程で排出されるCO2の回収・貯留(CCS: Carbon dioxide Capture and Storage)や、安価な再生可能エネルギーの確保、輸送・貯蔵インフラの構築など、コスト面や技術面で課題がある。Hycamiteの技術は、製造過程でCO2を排出せず、反応時のエネルギー消費量が小さく、また地産地消型の水素供給事業となることから、これらの課題に対するソリューションとして期待できる。またHycamiteの技術で併産される炭素製品は、次世代リチウムイオン電池をはじめ複合素材などの高機能素材としての活用が見込まれる。製造工程でのCO2排出を抑えることが可能であることから、脱炭素を見据えた新たなニーズにも対応する。

今回の第三者割当増資による資金調達は総額25百万ユーロで、双日に加え、フィンランド政府系ファンドのThe Finnish Climate Fund、その他投資家が引き受けに応じた。Hycamiteは今回調達した資金を活用し、水素換算で年産2,000トン規模(約2,880Nm3/h)のデモスケールプラント建設を計画している。既にパイロットレベルでの技術実証は完了しており、フィンランド中部のコッコラ工業団地内にて2024年中頃の稼働開始を予定しています。


LONGi、ポルトガルの22MW太陽光発電プロジェクトの建設に参画

LONGi(ロンジ、本社:中国西安市)は、同社の両面発電太陽電池モジュール41,000枚超が、ポルトガルの新しい22MW太陽光発電所「トリアナ・ソーラー・パワー・パーク」に設置され、同発電所が電力系統に接続し運転を開始したことを発表した。

同発電所は、ポルトガルの首都リスボンから北へ50km弱のアレンケルに位置し、デンマークのクリーンエネルギープロジェクト開発企業であるユーロウィンド・エナジー社によって建設された。敷地面積は30ヘクタール、周辺地域の14,100世帯に電力を供給し、年間の予測発電電力量は41.5GWh、二酸化炭素排出量を推定19,000トン削減する。

このような公共事業規模のプロジェクトを実現させるまでのプロセスについて、ユーロウィンド社南ヨーロッパのマネージング・ディレクターであるペドロ・ペレイラ氏は、パートナー選定の重要性を指摘しながら「信頼性が高いパートナーとして知られているLONGiをサプライヤーとして迎えたことは、プロジェクトの資金調達にとても役に立ちました。また、開発や建設の段階でも、LONGiとの協業により、私たちは透明性のあるコミュニケーションができ、常に状況を把握することができました。」と述べた。

5年間の開発期間を経て2021年末に着工した同発電所は、2022年10月に竣工した。プロジェクト開発の初期には、当時のポルトガル市場特有の課題がありましたが、最近では許認可や接続のプロセスを簡素化する取り組みが進められている。ポルトガルでは2022年の前半だけでも2021年の設置容量を上回る太陽光発電が新たに設置された。政府は、2026年までに総設置容量を9GWとする目標を掲げている。ユーロウィンド・エナジー社も、2022年後半には50MWの新たな太陽光発電プロジェクトを着工している。


EX-Fusion、シードで総額18億円の資金調達を実施

株式会社EX-Fusionは、シードで総額18億円の資金調達を実施した。
なお、EX-Fusionは、これまで1.3億円の資金調達をしており、この度の資金調達により、累計調達額は19.3億円になる。

現在、脱炭素社会実現に向け、レーザー核融合の可能性への関心が高まり、国際競争が激しくなっている。これまで諸外国では、大学や国立研究機関を中心に学術研究・開発がすすめられてきていたが、12月13日に米国エネルギー省より発表があったローレンス・リバモア国立研究所の国立点火施設(NIF)のエネルギーゲイン(正味のエネルギー利得)の実験結果を受け、各国スタートアップを中心に、レーザー核融合の実用化に向け大きく舵を切っている。EX-Fusionは日本国内におけるレーザー核融合の実用化促進に努めている。高出力・高繰り返しレーザー技術と連続ターゲット供給装置や最先端の光制御技術を組み合わせることで、世界初のレーザー核融合商用炉の実現を目指し、エネルギー分野にとどまらず、様々な光産業分野の技術開発に貢献していく

前回の調達時より、レーザー制御のためのコンポーネント開発に注力をしてきた。今回の資金調達をとおして、自社の施設を設立し、それらのコンポーネントの統合試験ができる環境を整備していく。
また、より出力の高いレーザーを制御するためには、より大型のコンポーネントが必要となる。将来的な核融合エネルギー科学のグローバルリーダーになるため、専用レーザーシステムと高度な製造技術の内製化を目指すとともに、 レーザー核融合を中心とした多種多様な光産業を確立させ、クリーンエネルギーの産出国として大きく前進することを目指す。


シリーズBラウンド前半として、新たに19.2億円の資金調達を実施

株式会社パワーエックスは、この度、成長フェーズにおける重要な投資ラウンドであるシリーズBラウンドの前半として19.2億円に及ぶ資金調達契約を締結した。この資金調達は、昨年のシリーズAラウンドのリード投資家と新たに参画する投資家を割当先とする第三者割当増資によるものだ。これにより、当社の累計資金調達額は約125.5億円となった。こうした結果を当社および当社事業に対する大きな期待によるものと認識し、自然エネルギーの爆発的普及の実現に向け、蓄電、送電技術の進化に向けた新規事業の展開に邁進していく。

本ラウンド前半で調達した資金は、蓄電池製品の研究開発や、岡山県玉野市に建設中の国内最大級規模の蓄電池工場「Power Base」の設置費用などに充てられる予定だ。

近年の実績としては、今年4月には蓄電池型超急速EV充電器『Hypercharger』の製造を担う、徳島の提携工場が試験稼働を開始した。また東京・青山に『Hypercharger』の試験機を設置した。現在、この充電器は当社の社員や関係者が日常的に使用しており、まもなく一般のEVオーナーによるテスト利用を開始予定だ。当事業は、今夏の本格的なサービス開始を予定しており、都内を中心に年内に10拠点を開設する計画である。さらに、当社の完全子会社として岡山県玉野市に蓄電池関連製品の製造を担う株式会社PowerX Manufacturing(PXM)を設立した。今後、同社は蓄電池製造事業の成長拡大とともに、地元での雇用創出を進めていく。一方、岡山県玉野市に建設を進める蓄電池組み立て工場「Power Base」については、予定通り今年8月に製造棟が竣工する予定であり、その後、製造設備の導入などを進め、年内の試験稼働開始を目指している。また、製造ラインのさらなる最適化の結果として、将来的に同工場の蓄電池モジュール製造能力を年間10GWhまでに拡大する計画だ。加えて蓄電池販売については、昨年からの先行予約を受けて正式注文の案内を進めており、既報のとおり、マルチテナント型物流施設「プロロジスパーク草加」への定置用蓄電池の導入、日本瓦斯株式会社の営業所への蓄電池型超急速充電器の導入が正式に決定した。


EV充電インフラのTerra Motors、総額40億円のシリーズC資金調達実施

EVをもっと身近にすることを目指してEV充電インフラ「Terra Charge」を提供するTerra Motors株式会社は、シリーズCラウンドで総額40億円の資金調達を実施した。大阪ガス株式会社を始めとし、東京センチュリー株式会社、住友三井オートサービス株式会社、ペガサス・テック・ベンチャーズを引受先とした第三者割当増資等により資金調達を実施した。

テラモーターズは、「“日本発、世界一“を自らの手で。」をミッションに掲げ、2010年の創業以来、一貫してEV事業をグローバルに展開してきた。2022年4月に日本でEV充電インフラ事業に新規参入し、EV社会拡大のブレーキとなってしまっている充電インフラの不足解消に取り組んでいる。従来のEV事業によって磨かれてきた開発力・現場力により初期費用やランニングコストを抑えるという画期的なインフラを国内で初めて実現し、EV充電インフラの導入を加速度的に推進してきた。

日本の充電インフラ網構築に向け、マンション等の基礎充電だけでなく、お出かけ先で補給をする目的地充電、ホテル、ゴルフ場でのインフラ構築もスタートし、生活に欠かせないプラットフォームとなるべく、国内外での事業成長を続けている。


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