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【サービスローンチまで6ヶ月!】顧客の声をスピード実現したeKYC「ProTech ID Checker」誕生秘話

ショーケースが開発・提供するオンライン本人確認/カンタンeKYC※ツール「ProTech ID Checker」は、金融機関やリユースショップ(古物商)など多くのお客様に導入いただき、2021年7月に累積オンライン本人確認数が10万件を突破しました。

※eKYC:「electronic Know Your Customer」の略で、「オンライン本人確認」の略称。

この記事を読んでくれている方も、口座開設などでオンラインの本人確認をしたという方がいるかもしれません。本人確認書類をコピーしたり、郵送する手間を省き、皆さんの感染症リスク低減に貢献できていたら嬉しいです。

そして、“なりすまし”防止によって不正利用を防いだり、企業の本人確認業務の効率化や非対面取引の推進などの役に立っているのではないかと思います。


ショーケースは、2018年に顔認証技術の研究開発がスタート。
取引先の銀行からの相談を受け、2018年末頃、製品化に向けて動き出しました。
それからわずか3ヶ月で全貌が見える形に作り上げ、細かい調整を重ね、2019年10月にeKYCツールとしての提供をスタート。
なぜ、そのようなスピード感で製品化を実現することができたのか?

今回はそんな「ProTech ID Checker」の開発秘話を、代表取締役社長:永田と、CTO:髙野に聞きました!

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(写真左:CTO 髙野、写真右:代表取締役社長 永田)


日々の業務から得た「ショーケースは何でもできるエンジニア集団だ」という他社からの信頼

――eKYCツールを作ろうと思ったキッカケは何だったんでしょうか?

髙野:
2018年の末頃、お取引のあった銀行から「犯罪収益移転防止法の改正に伴って、お客様が銀行口座開設時などの本人確認が厳しくなりそうです。従来の郵送ではなく、顔認証などのオンラインで本人確認をしたいのですが、何かいいソリューションありませんか?」というご相談をいただいたのがキッカケです。

その時、僕が在籍していたオープンイノベーション本部では、ちょうど顔認証技術の研究をしていました。オープンでフラットな組織なので、そういった情報も営業担当がちゃんと把握してくれていて、「この顔認証技術、使えませんか?」と相談してきてくれたんです。

――なぜ、顔認証技術の研究をしていたんですか?

髙野:
当時はiPhoneをはじめ、中国やアメリカなどの海外では、顔認証などの生体認証が実用化され始めている時期でした。
そういった潮流を捉えていたので、きっとこの先、日本でも顔認証が来るということは確信していました。

その頃、日本でも空港出入国時の顔認証ゲートなど、顔認証に一早く目を付けていた企業はありました。

ですが、とにかく導入コストが高かったんです。

なので、「もっと気軽に色んな人に提供できる顔認証ツールを作りたい!」という想いだけで研究していました。

――研究というと、具体的にどんなことをされていたんでしょう?

永田:
コード開発以外にも、色々とやったよね!?
会社に荷物を運んでくれる方々に協力していただいて、実証実験的なこととか。

髙野:
やってましたね!
配達員の方たちがオフィスに荷物を運ぶ時って、セキュリティのため受付表に企業名や用件などを毎回書かなきゃいけなかったんですよ。オフィスを出る時もまた紙に必要事項を書かなければならず面倒だったので、それを顔認証で自動化してあげたいなと思って。いつも来られる配達員の方に、顔写真の撮影にご協力いただいて、それ以降に配達に来た際は、入口に設置したカメラで顔認証を行うことで受付表の手間を省いていました。

配達員の方は、「紙に書かなくていいので楽で助かる」って仰ってましたね。
精度も高かったので、ピッピッピッってスムーズに顔認証できていて、僕からみても楽そうでした。

2018年の半ば頃には、研究開発の一環として企業名・入退室時間などを顔認証を活用したシステムで管理できるようになっていました。

――その後、2018年の年末に銀行から相談を受けたとのことですが、なぜショーケースに相談をされたんでしょうか?

髙野:
その銀行には、既にフォームアシスト※を導入いただいていました。
既存サービスの枠にとらわれず、銀行の入力フォームに合わせたカスタマイズや、期待を超える価値を提供してきた実績から、「ショーケースは何でもできるエンジニア集団だ」という認識を持っていていただいたようです。

なので、銀行の担当者の方から「ショーケースは、自分のアイディアをカタチにしてくれる会社だ!」と信頼してくれて、「こういうのも、開発できちゃうんじゃない?」という感じで相談してくれました。

フォームアシスト:ショーケースが国内で最初にサービス化した入力フォーム最適化ツール

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永田:
担当者の方には、銀行に一番フィットしたシステムを作りたいという熱意があったんです。

いままでシステム開発を担っていたSIerには、開発費が高い、時間がかかる、期待している水準に達しない、という不満が欝積していたようでした。

そのような中で、「ショーケースはリーズナブルな開発費用で、レスポンスも良く、さくっと期待以上のシステムの作ってくれるよね」と、日頃の信頼の積み重ねから、うちにオファーをしてくれたということなんじゃないでしょうか。

――製品化へのプロジェクトはどのようにして進んでいったのでしょうか?

髙野:
相談を受けてすぐ、2019年の頭にはプロジェクトがスタートしました。
まず、犯罪収益移転防止法と銀行のオペレーションについて情報をインプットしていきました。

法律に関する知識と業界知識を素早く吸収するために、上記2つの情報に精通した銀行と二人三脚でプロジェクトを進めていきました。
定期的にお互いが行き来して、銀行がポンチ絵を書いてディスカッションをしながら、銀行のオペレーションに合うフローを考えて、イチからサービスを設計・開発していきました。

ある時、一部の特殊なオペレーションを除けば、銀行をはじめとする金融業界に幅広く役立つサービスとして展開できることに気付いたんです。

ProTech ID Checkerを正式なサービスとしてリリースしようと、この頃から考え始めていました。

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企画からローンチまでの早さの秘訣

――実際にカタチになるまでにはどれくらいの時間を要しましたか?

髙野:
全貌が見えるようになるまでは本当に早くて、3ヶ月くらいですね。

――3ヶ月!なんでそんなに早かったんですか?

髙野:
あんまり細かいことを気にしないからです(笑)
まず、最低限お客さまが使いたい部分をしっかり作ります。でも僕は、ポイントを押さえていればある程度許容するというスタンスなんです、常に。
そこから育てていけばいいと思っているので、とにかく早いです。

他の企業で同じものを3ヶ月で作ってって言われたら出来ないと思いますよ。
僕らの開発スピードは早いと自負しています。
スピードも品質であり、おもてなしですからね。


永田:
プロジェクトがスタートする時点で、顔認証の基礎研究は終わってたよね?

髙野:
そうですね。基礎研究は2018年に終わっていたので、そこに工数をかけなくて済んだのも早さの要因の一つです。

永田:
フォームアシストをはじめ、うちはWebアプリケーションをずっとやってきているから、Webに関する知見の蓄積があったというのも大きかったね。

――ProTech ID Checkerを育てていく中でどんな課題がありましたか?

髙野:
技術的にはなかったんですけど、犯罪収益移転防止法の理解を求められるという点には苦労しましたね。
法改正して間もなかった頃ので、一つ一つ法律を解釈をしていくのが一番大変でした。

パブリックコメントを読んでもいまいち漠然としていたので、警察庁に問い合わせをしたり、法律事務所に相談に行ったり、日頃の業務ではしたことのないことを結構やりましたね。

しかも、パブリックコメントって結構変わるんですよ。
開発途中でちょいちょい変わるので、「せっかく作ったのに、ココ作り直しだね」みたいなことは少なからずあって。そこは大変でしたね。

だから、「法令変更カレンダー」っていうWebサイトは毎日見てました。
これを見てるエンジニアなんて、なかなかいないと思いますよ!(笑)

でも、こういったことが次の新しいサービスを作るきっかけになったりもするんですよ。

最終的には、銀行と協力しながら法律を解釈して、システムの要件を決めていきました。

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――最終的に完成したのはいつ頃?

髙野:
最終的に銀行に納品したのは、2019年の12月ですね。相談から1年以内の納品でした。

――ものすごいスピードですね!
  研究段階から製品として実際にリリースされるまでを見てきて、永田さんはいかがでしたか?

永田:
法律が変わるということは、対象となる全事業者が半強制的に対応することになります。
最初にこのプロジェクトの話が出た時は、すごく大きなビジネスチャンスになりそうだなと感じました。銀行との取引がなければ、法律が変わるなんてこと知ることはできなかったと思います。
しかし、取引を通じて、信頼関係を築いてきたことで、こういったチャンスに巡りあうことができました。経営者としては、ここで新しい事業の柱を作りたいと強く思いました。

しかし、そうした思いとは裏腹に、顔認証のサービスは個人情報を取り扱うので、厳しいセキュリティレベルも問われます。

法改正やセキュリティなど、制約が厳しいサービスを3か月でα版をつくって、半年後に納品するとなると、通常の作り方ではなかなか成し得ません。

「スピードと品質はトレードオフじゃない、両方をこなせる何かがあるはずだ」といつも髙野さんに言っていますが、これを成し遂げられたのは、開発体制の良さがポイントだったと思います。

新しいサービスをつくる時は、開発メンバーがコミュニケーションをとりあって、お互いが妥協せずに「どうやったら、良いサービスをつくれるか?」を議論しながら、開発を進めるチームの雰囲気が、とてつもないスピード感を生み出せた要因になっていると思います。

リモートワークになってからも、オンラインでチーム全員と常時接続し、いつでもすぐにコミュニケーションがとれるようになっているので、サービスを生み出した後も、サービスの質をよりスピード感をもって高めていくことができていますね。

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髙野:
そうですね。
ProTech ID Checkerは、オープンイノベーション本部のメンバーが「自分たちでつくろう!」と決めてスタートしたサービスです。
サービスをつくりだした生みの親でもあり、どうやって育てようかという育ての親みたいな感覚なので、本気でやるし、スピードも早いんだと思いますね。

「赤字だったら価値はない」ショーケースのエンジニア魂

――永田さん、オープンイノベーション本部の立ち上げからこの一連の流れは、ご自身の期待度と比べていかがでしたか?

永田:
全く想定していなかったです。

普通は商売になることを大前提で開発をすると思いますが、オープンイノベーション本部は何も縛りがなく、実に自由にやってもらいました。

商売が前提になると、目の前にあるすぐお金になるようなことをやってしまいがちです。
しかし、それでは、なかなか中長期的に大きい仕掛けはできません。
そこで、一旦実験的に商売とは切り離した部門を作ってみようということで始めたのがオープンイノベーション本部でした。

オープンイノベーションなので、自社のサービスや技術にこだわらず、他社との協業や他社の技術を取り入れるなど、自由な発想で次の一手を探してくださいという位置づけでした。5年後のデファクトスタンダードになるものは何かを考えるというミッションなので、ここ1、2年のことは考えなくていいと話していました。

こういう部門をつくると、「AIやりたい」「ブロックチェーンやりたい」など流行りのテクノロジーに飛びつき、研究するだけして商売にならないということが多いんです。流行りのテクノロジーがだいたい理解できると、その知的欲求が収まってしまうので、こういう部門から本当に次の事業の柱ができるというのは非常に珍しいことなんです。

オープンイノベーション本部、今のProTech開発本部は、テクノロジーを手段に儲けることを目的としたエンジニアチームです。営業組織じゃないのに、売上などの指標を掲げているエンジニアチームは結構珍しいと思います。


髙野:
永田さんの仰る通り、エンジニアって自分の知的欲求を満たすために色んな事を習得しようとするんです。でも、それが世の中に提供されて人に使われないと、僕は、価値ゼロだと思っています。やはりテクノロジーは使ってもらってこそ価値があり、そういったサービスを世の中に出さなければいけません。

だから、ProTech開発本部を一つの会社として考え、人件費なども考慮した上で、利益が出る売上金額をProTech開発本部の目標にしているんです。「赤字だったら俺たち価値ねぇぞ」って僕はいつも言っていて、「売れるためには、企業と顧客にとっていいものを作らないといけない」という考えが部門に浸透しています。プレッシャーもありますが、本当に楽しいですし、逆に自分を追い込めるんですよ。

かつてない部門横断のチーム力

――ProTech ID Checkerの開発を通して、人間的な成長はどうでしたか?

髙野:
一番良かったことは、部門横断のチーム力を発揮できたことですね。
このプロジェクトを通じて、営業と開発のチームワークが強化されました。
開発は開発、営業は営業というよりは、”ProTech ID Checkerチーム”みたいな。そういうチームができたのは、ショーケースとして新しいことです。新しいチームワークが生まれたというのは貴重だなと思います。

サービス開発の源泉は、各部の衝突を恐れないことだと思っています。
「こうやりたいんだけど、みんなに批判や否定をされるから言わない」と思う人が1人もいないんです。各部員が自分の立場で好き勝手言うので、まとめるのはめちゃめちゃ大変なんですけど(笑)でも、だからこそ、すごいスピードで商品が良くなっていくんです。責任があるから、みんな妥協しないし、言いたいことを言う。

そういうチームでサービスを作れたのは、すごく大きなことだと思います。

――次に挑戦してみたいことを教えてください。

髙野:
顔認証がもっと手軽に使える世の中にしていきたいです。
オンライン本人確認(=顔認証)のシステムはたくさんありますが、まだまだ導入価格が高いと感じています。 ProTech ID Checkerはそんな中でもリーズナブルに提供できて、柔軟性があるので、あらゆる企業にとって導入も簡単というところが強みです。

将来的には、顔認証での決済やオートロックといった分野にも進出していきたいと思っています。
ですが、そのためには、eKYC領域でもっとショーケースの知名度を上げなければなりません。ショーケースの認証だったら安心だよねと言ってもらえるように、やはりまずは、ショーケースのeKYCツール ProTech ID Checkerをもっとたくさんの方に使ってもらえるようにしたいですね。


――永田さん、髙野さんありがとうございました!


今や銀行だけでなく、古物商、不動産、婚活サイトなど様々な業界への導入が進むオンライン本人確認/カンタンeKYCツール「ProTech ID Checker」。

ショーケースでは、今後も企業と顧客をつなぐ本人確認を「見やすく、わかりやすく、使いやすく」するビジネスやサービスを展開していきます。

納期も機能も不可能を可能にするショーケースのエンジニアチームの今後に、どうぞご期待ください!



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