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福岡・博多には「めんちゃんこ亭」という飲食店があります。「麺」+「ちゃんこ」で「めんちゃんこ」なんですが、おいしいメニュー盛りだくさんのお店です。

天神のお店の入口横には、写真のように、少し古びたレジが透明ケースに入れて飾られてます。
今日は「このレジはいったい何なのか?」というお話です。

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2001年9月11日、このレジの役目は唐突に終わりました。

1990年、ニューヨークに「博多めんちゃんこ亭55丁目店」が開店。同店、初の海外進出でした。1995年には、あの「ワールドトレードセンター」(WTC)内に、ビル内初の日本食レストランとしてオープン。そして、2001年の9月11日、このレジの役目は唐突に終わりを告げました。

その夜、突然「社長! テレビを見てください!」という連絡が…。

その連絡を社長が社員から受けたのは、9月11日の夜、福岡市内を散歩していたときだったそうです。
自宅に戻ってからテレビをつけると、WTCへの航空機の激突によって、ビルが黒煙を上げているショッキングな様子が映し出されていました。

「とんでもないことになった」という強い思いと動揺の一方で、すぐ頭に浮かんだのは従業員のことでした。6人いたという従業員は、その時、店内で仕事をしていたそうですが、幸いにもビルの崩落前に逃げ出して全員無事でした。
その後、社長が現地入りすると、現場には家族の情報を求めて顔写真や電話番号が書かれた紙が貼られ、その下には花が手向けられるという、当時のニュースで盛んにとり上げられていた光景が広がっていたそうです。

米国中に怒りと憎しみが広がるなかで、次のテロの噂や標的となる場所の情報等があふれ、「身を守るため」に戦争へと突き進む様子を目の当たりにして、「普段は戦争に反対している人びとも、世論のうねりに巻き込まれてしまうのが怖かった」と話します。

10月には、「レジが3台見つかった」との連絡が…。

およそ1ヶ月経った、翌月のある日、「レジ発見」の一報が入りました。地元の警察署でレジを引き取ると、レシートに「9.10」の刻印がありました。

「風化させてはいけない」と日本に持ち帰り、現在は福岡市早良区の藤崎本店と中央区天神店の2ヶ所、出入り口の付近に展示されています。

あれから20年・・・

このテロをきっかけとして始まった「米国史上最長の戦争」は終結し、アフガニスタンでは、イスラム主義の組織・タリバンが再び実権を掌握しました。

社長は「あの戦争は何だったのかと思う。20年間で犠牲になった人たちを思うと、胸が痛い」と話していたそうで、「平和の大切さを考えるきっかけになれば」と、このレジは設置したのだそうです。


ラーメンでもない、うどんでもない、ちゃんこでもない、おいしい「めんちゃんこ」。福岡にお越しの際は、ぜひお食事の候補のひとつに選んであげてください。


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