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昔勤めてた会社に、はじめてカラーコピー機が入ったときの社長の訓示(笑)
「いいか、お前ら、絶対にお札のゼロックスとるなよ! 絶対だぞ、絶対、わかったか!」
昔のデザイン業界では、コピー(複写)をとることを「ゼロックスとる」と言ってましたので(今では、そんなこと言うのはご老体くらいしかいないと思いますが)まぁ、どこでも導入時は、こんなやりとりがあったかと思います。今では「当たり前」のことなんで、わざわざ言わないとは思いますが…。

で、「オムロンリング」とはナニか? という話ですが、オムロンは、体温計、血圧計、体重計とか、改札機等のメーカーの、あのオムロンです。

黄色い丸がわらわらと…

お財布からお札、千円札にしましょうね、それを取り出しまして、野口英世さんの肖像画とは反対の面、裏面と言っていいのかわかりませんが、右下のほうを見てください。小さな黄色い丸がいっぱい入ってるのに気づくと思います。

オムロンリング

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下のは二千円札ですが、これもそうですね。

こいつが「オムロンリング」です。
「オムロンリング」は通称ですが、正しくは「ユーリオン」と言うそうで、この「黄色い丸」というのは、紙幣に限った話だそうです。

日本だけでなく、海外でも使用

「オムロンリング」は、1994年、その名の通りオムロンによって開発されました。日本だけでなく海外のお札にも、偽造防止対策として広く使われています。
その特許は一般には公開されておらず、中央銀行や印刷会社、ソフトウェア会社などの特許使用者にのみ公開されています。

例えば画像ソフト側でこの丸を検知して開けないようにしたり、印刷機ではこの丸を検知して印刷ができないようにしてたりします。

ふと思う「コピー機のメーカーは罪に問われないの?」という疑問

いわゆる「偽札」を作る行為を禁じる法律は2つあります。ひとつは「通貨偽造罪」。もうひとつは「通貨及証券模造取締法違反」というやつです。

前者の罰則は「無期又は3年以上の懲役」。極めて厳しい罰則ですが、行使の目的で製造した場合に限定されます。

後者は行使の目的でなくても罰せられます。行使しなくてもコピーしただけでも「製造」にあたる行為となり、起訴される可能性はあります。
この場合の刑罰は「一月以上三年以下ノ重禁錮(←この場合は懲役ですね)」と比較的軽いものにはなります。

この罪で割と有名なのは、前衛芸術家による「千円札裁判」で有罪が確定した例ですね。
この方は、超拡大したバカでかい千円札を作ったりしたんですが、「紙幣に対する社会的信頼を損なうおそれがある」として起訴され「懲役3月、執行猶予1年、原銅版没収」の判決をうけ、最終的にも有罪が確定しました。
こういうことをしただけでも、こんな罰をくらうということですね。

で、コピー機の製造メーカーはどうなの? ってことですが、当然、偽札の行使が目的ではないですから、もちろん「通貨偽造罪」にはあたりません。
ただしですよ、目的はどうあれ、「通貨及証券模造取締法違反」の犯罪構成要件は、「外形的」には満たし得ます。
仕事でコピー機開発して、よもや起訴されるなんてことがあったらたまったもんじゃないので、動作確認のためには「模擬紙幣」というものを使ってるようです。まぁ、さすがに本物ではやらんでしょうね。誰がやったって法律違反ですから…。

紙幣にはいろいろと仕込まれてる偽造防止策がありますが、それを検知するための、いわゆる「センシング」の確認をしているようです、この「模擬紙幣」で…。ちょっと見てみたい気はします。


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