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【PLUS】令和の「自動車の社会的費用」とまちづくり最前線〜日本人が気づかないポストマイカー時代に進む世界の変化〜

少し間が空いてしまいましたが、6月に京都大学・人と社会の未来研究院に創設された社会的共通資本と未来寄附研究部門の社会的共通資本を考えるシリーズに登壇させて頂きました。この本を初めて読んだのは高校の時。新書シリーズが大好きだったので、軒並みずーっとバックナンバーを読んでいる中の一つでした。1人あたり年間200万の社会的費用が発生しているのが自動車ということを語られていることに衝撃をうけました。同時に、米国がマイカー社会に変容していく中で宇沢先生が実感された違和感、まちの変容に関する記述(こどもたちが家の前でも安心して遊べなくなった)などはとても記憶に残ります。

今回、このように記憶に残る1冊をベースにした私なりの現在の考え方を語ったのは、宇沢弘文先生の娘さんにあたる、占部まりさんからお声がけ頂いての機会でした。当日の模様は占部さんのnoteでも触れてくれています。

さて、今回のコラムでは私の簡単な考え方と、国内外の自動車と都市形成、まちづくり、地域再生についての動画レク(90分)を配信いたしますので、どうぞご覧ください。

これまでの日本社会は何でもマイカー中心でこの半世紀社会変容を続けてきましたが、これって20世紀のアメリカで一瞬誕生した例外的な都市形成の一つなわけです。結果、今の地方都市は中心を失い、マイカーがなければ日々の最低限の生活すら成立しないという分断された都市機能の状況になっています。このあたりもコピペのまちづくりなんですよね。

なんにも自分たちの地域の状況や構造とか理解せずに、破壊的にマイカーバンザイ、道路バンザイ、これが先進的な生活だー、なんていっていたら、もう世界が変わり始めていることにすら気づかないのです。これは本当に危険です。


○ すでに変容を始めている自動車経済

すでに2010年代から自動車社会は世界で大きく変容を始めています。このことに日本人は気づいていない。それは日本が自動車生産国であり、GDPの3%程度を締める経済かつ550万人とも言われる自動車関連産業で飯を食う国ということで、かなりの規制が守られている特殊な環境で生活しているからです。

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